[企業部門]
(1)金融危機後の過剰債務圧縮、平均8年続く(11/23) ***
欧州委員会は、日本のバブル崩壊など全世界で過去30年に起きた31の事例を集め、金融危機やバブル崩壊などが起きた後、企業が過剰債務を圧縮する「バランスシート調整」は平均8年続くとの分析結果をまとめた。
バランスシート調整は、2つの面から景気に影響を与える。企業は債務を減らすため設備投資を抑制し、さらに、賃金や雇用を抑えるなどで人件費を削減し、個人消費を下押しするという構図だ。
分析結果によると、バランスシート調整の開始から4年後、企業の負債総額のGDP比は7.1ポイント下がり、実質成長率も3.3ポイント押し下げられる。欧州では08年のリーマンショック後にバランスシート調整が本格化しており、先行きの懸念材料だとした。日本はバブル崩壊後の調整が15年も続いたとして、欧州が同じ失敗を繰り返さないための課題として、次のものを挙げている。
- @ 銀行部門の再生
- A 構造改革による潜在成長率の引き上げ
- B 中小企業が増資をしやすくするための株式市場へのアクセス改善
[欧州経済]
(1)欧州金融市場、信用不安が一服(11/22) ***
信用不安に陥ったアイルランド政府が、21日欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)に金融支援を要請した。外国企業誘致で高成長を続けたが、金融危機で不動産バブルが崩壊し、銀行救済のため財政赤字が急増した。
この金融支援要請で、欧州金融市場では信用不安が一服した。アイルランドの10年物国債利回りは8.2%と前週末比0.2%低下し、財政赤字が大きい南欧各国の利回りも低下した。ただ、国債利回りは依然高水準だ。ギリシャに続きアイルランドも支援要請に追い込まれたことで、市場は他の財政赤字国への波及をなお警戒している。
アイルランドや南欧各国は、ユーロ参加で金利が急低下し、投資資金が流入し活況となった。しかし、産業競争力が弱いギリシャやポルトガルでは放漫財政で赤字が膨らみ、アイルランドやスペインでは不動産バブル崩壊で金融再建を迫られた。景気低迷で税収が伸びないなか、財政再建を着実に進められるかが焦点だ。