[国内景気動向]

(1)景気の谷は昨年3月(5/28) ***

 政府は、07年11月から始まった日本の景気後退局面が09年3月に終わったと認定する方向で検討に入った。6月始めにも、有識者の意見を聞いたうえで最終判断する。谷を09年3月と認定すれば、直近の景気後退局面は17ヶ月続いたことになる(戦後の平均は16ヶ月)。

 内閣府は、09年1月の景気動向指数研究会で、直近の景気の山を07年10月に暫定的に認定しており、6月の研究会で谷を暫定的に決める。1年後の研究会で、山と谷の正式な日付を確定させる。


[財政]

(1)国保赤字で税金投入最大(5/26) ***

 市町村が運営する国民健康保険(国保)の財政難が続いている。年度当初に想定した額を超えた赤字の穴埋めに市町村が投入した税金の総額は、08年度で過去最高の2585億円となり、2年連続で増えた。

 本来は保険料の引き上げで給付額をまかなう仕組みだが、住民の反発を恐れ引き上げを見送る自治体が多いためだ。厚生労働省は、市町村単位の国保運営は限界に来ているとみて、財政運営の広域化を促す方針だ。

 赤字補填目的で、全国の市町村が08年度に一般会計から投入した総額は2585億円と前年度から29億円増えた。これに出産一時金などに充てる分を加えた繰り入れ総額は、3668億円に達した。

 失業者の増加や家計悪化などから、08年度の国保の保険料は、全世帯の2割が保険料を滞納し、保険料収入は約3兆600億円と前年度比18.8%減った。全国1788組合のうち、45%が赤字だ。

 財政基盤の弱い国保には、国民健康保険法により支援制度があり、08年度には国と都道府県が約3.9兆円の公費を投入した。市町村も一般会計から約4000億円を繰り入れた。それでも不足する分は、保険料の引き上げで賄うのが原則だが、住民に負担増を求めるのは難しいとみて、法定外の繰り入れを実施する市町村が多い。税財源の投入は、都市部など比較的財政に余力がある市町村で活発だ。一方、積立金などが枯渇した市町村の中には、保険料の大幅アップを余儀なくされる例も目立つ。国保の保険料水準は、市町村により4倍程度の開きがあるとみられ、公的医療の負担に大きな差が生まれている構図だ。


[東南アジア経済]

(1)東南アジア17.7%成長(5/28) ***

 東南アジア諸国連合(ASEAN)の主要5カ国の経済成長が加速している。1〜3月期の実質GDP成長率は、前期比年率換算で平均17.7%に達した。中国やインド向けの好調な輸出が追い風となった。伸び率は、昨年10〜12月期(8.7%)のほぼ2倍にまで上昇した。

 特に、シンガポールの伸びは、38.6%と突出している。マレーシアの伸びも15.9%であった。いずれも、中印向けの輸出が寄与した。タイの伸びは、16.0%だった。自動車関連の輸出が大きく成長を押し上げた。

 フィリピンの成長率は12.6%、インドネシアは、5.3%であった。

 09年のASEAN主要5カ国のGDPは合計で、約1兆3000億ドル規模で、インド(1兆2000億ドル)をやや上回る。全体の4割を占めるインドネシアの成長率は5%前後で安定する反面、その他の4カ国は世界景気の強弱の影響を受けやすい。

 タイの混乱や欧州の信用不安などは懸念材料だが、エコノミストの間ではASEANの経済は底堅く推移するとの見通しだ。