[企業部門]
(1)上場企業、経常益前期比25%増(5/13) ***
上場企業の業績回復が鮮明になってきた。2010年3月期の連結経常利益は、コスト削減を支えに前期比25%増え、2期ぶりの増益に転じた。電機と自動車で損益が3兆7000億円改善したのが大きい。今期は、新興国需要の拡大を背景に3期ぶりの増収が見込まれ、リストラ主導から需要拡大型へ回復局面が移る。しかし、円高や資源高など懸念材料も多い。
12日までに決算を発表した3月期決算企業767社を対象に集計した。社数で全体の5割、利益額で8割程度を占める。10年3月期は、売上高が前期比12%減ったが、コスト削減や、新興国の景気回復も追い風となった。
ただ、デジタル家電や自動車の販売を促す各国の需要刺激策が、期限を迎える影響も出そうだ。エコポイント制度が年末に終わる国内家電業界では、今期の市場規模が2%縮小するとの見方もある。ギリシャ危機が、世界景気の足を引っ張る懸念もくすぶる。
今期見通しの利益は、ピーク時の08年3月期に比べると、6割程度の水準だ。企業業績の改善が、家計や設備投資に波及する好循環が期待される。
[EU経済]
(1)ユーロ防衛、最大89兆円(5/10) ***
欧州連合(EU)は、ユーロ導入国が財政危機に陥った場合に備え、国際通貨基金(IMF)と合わせて最大7500億ユーロ(約89兆円、EUで5000億ユーロ)の緊急融資制度の創設で合意した。欧州中央銀行(ECB)は、ユーロ導入国の国債を市場から買い取る方針を示唆した。
EU財務相理事会は、9日11時間以上にわたり協議し、10日未明に合意内容を発表した。ギリシャを発端とする欧州発の金融危機の連鎖を阻止し、単一通貨ユーロ防衛へと不退転の決意を示した。緊急融資制度は、巨額の財政赤字抱えるユーロ導入国が国際金融市場から資金を調達できなくなった場合、迅速に融資できるようにするのが目的だ。
EUの最大の5000億ユーロの基金は、@EU予算を裏づけに欧州委員会が債券を発行し、危機国に融資する600億ユーロAユーロ圏各国による政府保証をつけた440億ユーロ規模の特別基金―の2種類だ。Aの各国の保証には、議会承認が必要と見られ、各国が迅速に国内手続きを終えられるかがカギを握る。
IMFは全体の融資額の3分の1を負担する。IMFの融資の活用は、IMFの厳しい条件をつけることで危機国への財政再建のプロセスを厳しく監視する狙いがある。
EUの基本条約のリスボン条約は、原則としてユーロ導入国に対する救済を禁止している。ただ、EU議長国のサルガド財務相は、緊急融資制度について「例外的な状況が 到来した」と説明した。