[金融市場]

(1)長期金利一段と低下か(3/22) ***

 債券市場では、新年度に入る4月以降、長期金利(新発10年物国債利回り)が一段と低下するとの見方が多い。大手銀行の資金運用難を背景に、国債への投資が再び勢いを増すとの読みか広がっている。4〜6月の予測の上限は、1.6%だ。長期金利は、09年度の最も高い1.56%を大きく超えそうにないと見られている。

 先週の新型オペの拡充を柱とする追加金融緩和は長期金利の低下要因となるだろう。また、景気の不透明要因が金利の低下につながるといえる。

 一方、金利の不確定要素として上げられるのが、夏の参院選をにらんだ追加経済対策だ。経済対策→国債増発→市場での消化懸念→金利上昇という流れは、昨年6月にもあった。

 しかし、鳩山政権は、補正を組むとしても1兆円の予備費の範囲内で済ませ、国債増発を抑える決断をするとするならば、長期金利の一段の低下は不可避だ。

(2)第一生命が来月上場(3/24) **

 国内生命保険2位の第一生命保険が、4月1日、大手生保4社の中で初めて、相互会社から株式会社に転換し上場する。売り出し価格は1株14万円で、株式時価総額が約1兆4千億円の大型上場となる。相互会社を所有するのは契約者だが、株式会社は株主だ。これまでの契約者は、株式をもらい株主となるか、現金をもらえる。保険の契約内容は変わらない。

 第一生命によると、全契約者821万人のうち738万人に株式を受け取る権利が割り当てられた。相互会社では、契約者が払った保険料の一部を、健全性を保つための内部留保として積んできた。契約者は、この内部留保への貢献度合いに応じて株数を割り当てられる。株式も現金も受け取れないのは、貢献が少ない契約者だ。

 株式を受け取るのは、120〜130万人だ。株式保有を希望しない場合は、第一生命が引き取り、市場などで売り出す。売却で得た資金を、現金での受け取りを望む契約者にお金を配る。今回は、約600万人に対し、総額約1兆円の現金が配られることになりそうだ。株と現金で契約者が手にする1兆4000億円は、09年の定額給付金(約2兆円)、来年度の子供手当て(約2.2兆円)に迫る。エコノミストによっては、現金分の約1兆円のうち、3割ほどが追加的な消費に回り、GDPを0.1ポイントほど押し上げるとみる。

 証券関係者が色めき立つのは、大量に生まれる新たな株主の存在だ。4月1日時点での株主数は、NTT(約103万人)を上回り、国内最大だ。株式を持ったことがない契約者が新しく証券口座を開けば、個人投資家の裾野が広がる。新たなマネーを呼び込み、市場を活性化するきっかけとなる。

 第一生命が株式会社化を決めたのは、国内市場の縮小の中で成長するには、株式会社化のほうが内外M&A(合併・買収)など柔軟な動きがとりやすいと判断したためだ。上場すれば市場から機動的に資本調達でき、公募増資のほか交換を駆使したM&A可能だ。相互会社では出来ない手法だ。第一生命の決断の成否は、株式会社化をどれだけ成長につなげられるかにかかっている。