[景気動向]
(1)景気一致指数、10ヶ月連続上昇(3/10) ***
内閣府が発表した1月の景気動向指数(05年=100)は、一指数が前月比2.5ポイント上昇し99.5となった。指数の基となる有効求人倍率や鉱工業生産指数が上昇しており、景気が持ち直している現状を示した。10ヶ月連続で前月を上回ったことで、指数はリーマン・ショック時の08年9月の水準(98.8)を超えた。
一致指数の上昇幅は、過去2番目の大きさとなった。景気の基調判断は4ヶ月連続で「改善を示している」となった。一致指数を大きく押し上げたのは有効求人倍率で、最新の数字で0.46倍と、前月比0.03ポイント改善した。輸出が伸びたことで、鉱工業生産指数も前月比2.5%増となり、小売り・卸売り販売も好調に推移した。数ヶ月先の景気の動きを示す先行指数は、2.4ポイント上昇の97.1で、11ヶ月連続のプラスとなった。景気に遅れて動く遅行指数も2.2ポイント上昇し85.1となり、過去最大の伸びとなった。
[企業部門]
(1)iPodモデルで売る車(3/8) ***
日産自動車がEV(electric vehicle、電気自動車)の年内発売を前に、業界では例のない大規模なデータセンターを建設した。国家機密を扱えるほどの耐震性と情報流出を防ぐシステムを備えるという。日産は、EVの新しい売り方を探る。iPodにより、ハードとソフトの融合で、圧倒的な稼ぐ力を手にしたアップルの姿が日産を動かす。 iPodは、iPhone向けを含め、音楽や映画、ゲームの配信利用者は1億2500万人だ。価格競争と一線を画した機器の大量販売で、アップルは昨年10〜12月期も最高益を更新した。
日産は、「これからは情報の価値で車を売る」と、センター建設の狙いを説明する。高速無線で車と結び、走行情報を常に把握し、ドライバーは行き先の充電スタンドの場所や渋滞情報を簡単に受け取れる。
もう一つの大きな狙いは、価格の壁を越えることだ。EVの価格は、ガソリン車の2倍以上に膨らみ、上昇分のほとんどは電池代だ。中古車にする際に電池を高く売れれば、実質的な値下げになる。電池の使用状況や充電回数などの情報は、刻々と蓄積される。あと何年使え、いくらで売れるか。市場価値を正確にはじき出す。品質が保証された電池は、住宅用に転売もできる。
サムソン電子と並び韓国勢の代表格、現代自動車は、09年世界市場が縮む中で販売台数を11%伸ばした。最大市場の中国では、小型セダンを日本車より3割程度安く販売し、シェアを前年の5位から2位に上げた。11年にも電気自動車の量産に乗り出し、環境車を得意とする日本勢に挑む。
電気自動車は、構造が比較的単純で新規参入のハードルが低い。日産では、低価格競争よりも、他社が容易に攻め込めない仕組みを作るという前向きの姿勢だ。
世界の企業がもの作りを競う。問われるのは、情報やサービスを取り込み競争のルールを変える力だ。
[財政]
(1)後期高齢者、23都道府県で保険料率上げ(3/8) ***
75歳以上を対象にした後期高齢者医療制度について、23の都道府県が保険料率を来年度から引き上げることが分かった。高齢化が進み制度の対象者が増え、医療費が膨らんだためだ。厚生労働省は、保険料率の上昇を抑える異例の措置として、国や都道府県が資金を拠出する「財政安定化基金」の取り崩しを認める考えだ。それでも徳島県や広島県では、料率引き上げの影響で、一人当たりの年間保険料負担が平均3000円超増える。
75歳以上の約1300万人が入る後期高齢者医療制度は、同一都道府県内の市町村でつくる広域連合が運営している。保険料率は地域の医療費の水準などを反映させて2年に1度、広域連合が見直す仕組みだ。4月以降の新しい料率は11年度まで適用される。日本経済新聞社が全国に47ある広域連合に聞き取り調査をしたところ、4月から保険料率が上がるのは23都道府県だ。引き上げ幅が最も高い徳島県は、一人当たりの平均保険料が7.7%増える。年間の負担額は09年度よりも3478円増える。
埼玉など8県では、料率が下がる。埼玉では、高齢者の医療費が見込みより少ない上、「約89億円の剰余金を料率引き下げの原資にする」という。
保険料率を据え置く地域も16県ある。大分県の広域連合は、剰余金の活用で保険料率を据え置く。ただ、12年度には上昇する可能性があり、基金の積み立てを急ぐ方針だ。