[国内景気動向]
(1)日銀6月短観、大企業製造業の景況感2年ぶりプラス(7月1日) ***
日銀による6月の企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業でプラス1と、3月の前回調査(−14)から15ポイント改善した。5期連続の改善で、リーマンショック前の08年6月以来、2年ぶりにプラスになった。10年度の大企業の設備投資計画は、製造業、非製造業とも3年ぶりのプラスに転じた。ただ、3ヶ月先の景況感の見通しは、改善幅が今回の回復局面で最小であり、先行きに不透明感も残っている。
業況判断DIは、景況感が良いと答えた企業の割合から、悪いと答えた割合を引いた値だ。
機械関連や自動車など大企業製造業の主要業種が軒並み改善した。主要業種すべてが上向くのは16年ぶりだ。新興国経済の力強い回復を背景に、輸出関連を中心に企業活動が活発になっていることを裏付けた。大企業非製造業は、DIは9ポイント改善しマイナス5だ。5期連続で改善し、08年9月以来の高い水準となった。
10年度の設備投資計画が3年ぶりにプラスの伸びに転じたのは、企業収益の回復がある。経常利益は、大企業製造業で前年度比43.8%増、非製造業で8.7%増を見込む。設備の過剰感も薄らいだ。また、雇用の過剰感も和らぎつつある。
[財政]
(1)G20首脳宣言「財政赤字13年に半減」、日本は例外(6/28) **
20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)は、首脳宣言を採択し閉幕した。成長に配慮した財政健全化との基本原則を打ち出し、性急な財政引締めに動かないように配慮した。その上で、先進国は13年までに少なくとも財政赤字を半減させるという数値目標を明記した。日本については目標達成を強制しない「例外扱い」として、異例の措置をとった。
首脳宣言は、ギリシャ危機などを踏まえ、悪化した財政の立て直しを各国に求めた。同時に、緊縮財政による景気停滞のリスクにも言及し、各国の状況に応じ成長に配慮した健全化計画の必要性を訴えた。
財政健全化に向けての数値目標では、13年までの財政赤字の半減を経て、16年までに国内総生産(GDP)比で政府債務を安定、または、低下させる道筋を示した。数値目標は先進国が対象だが、日本は例外的に拘束されないことになった。
日本政府は、財政健全化計画で、国・地方のプライマリーバランスの対GDP比を15年度までに半減することをうたった。
一方、金融システム安定化に関し、欧州側が7月に主要金融機関の資産査定結果を公表すると表明したことを歓迎した。そして、保護貿易主義の再燃を避けるため、新たな貿易・投資の障壁を設けない措置について、遵守期限を13年末まで3年延長した。