[財政]
(1)財政運営戦略を閣議決定(6/22) ***
政府は、22日の閣議で中長期の財政健全化に向けた「財政運営戦略」を決定した。国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を、20年度までに黒字にする目標を掲げ、11年度から3年間は国債の元利払い費以外の歳出を横ばいで据え置く。内閣府の試算では、黒字化目標を増税で達成しようとすると消費税率で8〜9%引き上げる必要がある。膨らむ社会保障費の抑制も課題になりそうだ。
同戦略では、PB赤字額の対GDP比(10年度6.4%)を15年度に半減し、20年度に黒字化する。PBが黒字になれば、借金が雪だるま式に増える恐れが小さくなる。残高では、21年度以降に国・地方の借金残高のGDP比率を安定的に低下させるとする。
目標実現への第一歩として、「歳出増または歳入減を伴う施策を導入・拡充する際は、安定的な財源を確保する」とのルールも明記した。
11年度から3年間は、歳出・歳入の両面で枠をはめた。歳出面では、10年度当初予算の一般歳出と地方交付税を合わせた約71兆円を歳出の大枠として3年間の上限とする。ただ、社会保障改革による歳出減や増税により恒久的な財源を確保できれば上限を超えても認めるとした。歳入面では、11年度の新規国債発行が10年度当初予算の水準(約44兆円)を上回らないよう全力を挙げるとした。そして、税制の抜本的な改革を行うため、早急に具体的内容を決定するとも記した。
政府が新成長戦略で目指す名目3%・実質2%の経済成長を達成したとしても、20年度のPB黒字化には13.7兆円の財源が必要で、消費税に換算すると5〜6%の増税が迫られる。
[世界経済]
(1)G8サミット、成長と財政再建両立を(6/26) ***
カナダでの主要8カ国首脳会議(サミット)は、25日、世界経済について、依然として脆弱で短期的に景気への配慮を怠るべきではないとの認識で一致した。財政再建と経済成長の両立を掲げ、融和を演出したものの、成長優先を主張する米国と、財政引き締めを加速させる欧州の対立はなお残っている。
ギリシャ危機を発端とする政府債務の信認危機や金融システム不安を念頭に、緩やかな回復を続ける世界経済の先行きを懸念する声が相次いだ。欧州が重視する財政引締めや政府債務削減について、オバマ米大統領は「成長戦略の一環だ」と明言し、財政の拙速な巻き戻しが景気後退につながらないように、慎重な対応を求めた。
菅首相は、20年度までに実質で2%成長の実現を目指し、医療、介護などの社会保障分野の構造改革と雇用創出で成長軌道に乗せ、同年度までに基礎的財政収支の赤字解消を柱とする財政運営戦略を表明した。
[環境問題]
(1)東京都、米加州と温暖化会議(6/24) **
東京都と米カリフォルニア州は、温暖化対策に取り組む世界の国や都市を支援する国際会議を、今秋にも創設することで合意した。
国に先行して温暖化ガスの排出削減に取り組む両者が連携し、先進的な制度や技術を活用して、対策が遅れている国や都市を支援する。欧米やアジアの都市にも参加を呼びかけて、都市間で温暖化対策を前進させ、国家規模の取り組みを促す狙いもある。
設立する国際会議は、「クラブ・オブ・リージェンス」(仮称)で、温暖化ガスの排出抑制制度を持つか、同様の制度を導入する方針を表明している都市などをメンバーに加える方針だ。
欧州やアジアの地域ごとに事務局を設ける。東京都は、7月アジアの事務局機能を持つ担当チームを新設する。都は、日本の温暖化対策関連の技術や製品を活用する支援方法を提案することで、日本企業の成長戦略にも効果があるとみている。
都は、4月、大規模事業所に温暖化ガスの排出削減を義務付ける制度を開始した。カリフォルニア州も温暖化ガスの削減を求める対策法が成立しており、温暖化対策に取り組むネットワークの創設を提唱していた。 他の自治体と連携することで、世界規模で地球温暖化対策を前進できるとして会議創設を決めた。