[アメリカ経済]

(1)米景気回復に広がり−地区連銀報告(1/14) ***

 米連邦準備理事会(FRB)が、13日地区連銀経済報告を発表した。総括判断で「経済活動の水準は低いが、緩やかな改善を続け、地域的にも拡大した」として、景気回復の動きが広がってきたとの認識を示した。全12連銀のうち、10連銀の地域経済が上向いたと分析した。ただ、労働市場は依然弱いとして、商業用不動産市場にも引き続き懸念を示した。

 米景気の回復力は弱く、インフレ懸念も出ていないため、FRBは事実上のゼロ金利政策を継続するとみられる。 消費支出では、消費活動が最も活発になる年末商戦について「09年は大部分の地域で08年をやや上回った」と評価した。自動車販売についても「安定かやや増加」としたが、個人消費の本格回復には至っていないとみている。 労働市場では、一部に雇用の動きがあったとしたが、失業率は10%の水準にあり、判断を基本的に維持した。物価上昇圧力も抑制されている。

 企業部門では、製造業で改善の動きが出ていることから、「短期では楽観的な見通しを持っている」と強調した。ただ、長期見通しを反映する設備投資計画では、慎重な姿勢を崩していない。住宅市場はほとんどの地域で販売が増えたが、建設は低水準だ。政府の住宅購入支援策が市場を下支えしている状況だ。商業用不動産市場も、依然弱いとした上で「空室率が上昇し、賃貸料も下がっている」と指摘した。


(2)ビッグ3、再建ペースに差(1/13) **

 11日に開幕した北米国際自動車ショーで、GMやフォード・モーターは、最新の小型車や環境技術を相次いで発表し、経営再建が軌道に乗りつつあることをアピールした。ビッグスリーが米政府に救済を要請して、1年強だ。その間、GMとクライスラーは破産法を申請し、フォードは自力復活に挑む。そして、再建スピードに格差も目立ってきた。

 フォードは、来年から小型車フォーカスのEVを生産すると発表した。大型ピックアップのミシガン工場に4億5000万ドルを投じ、EVやHV車の一大生産拠点に改修する。一方、GMは、EVシボレー・ボルトを12年以降日本を含む海外に輸出を検討していることを明らかにした。

 今年のショ−は、激震の傷跡を如実に残している。GMが4ブランドを削減した結果、空き地が生まれ、EV専用コーナーに転用された。新型車がないクライスラーのブースには、提携先のフィアット傘下のフェラーリが置かれた。韓国や中国勢は去年より展示ペースを広げた。

 一方、ビッグスリー間の格差も目立ち始めた。GMの多くは発売まで時間がかかるコンセプト車であったが、フォードはフォーカスなど実際の発売モデルを発表している。昨年1年破産に費やしたGMやクライスラーと異なり、フォードは数年前から始めた経営改革の果実を得る段階にはいった印象だ。北米カー・オブ・ザ・イヤーでも乗用車とトラックの両部門を制した。しかし、フォードも財務内容や労働コストでは法的整理を経たGM,クライスラーに見劣りし、将来に不安を残す。

 販売不振が続くクライスラーは、「顧客の認識を変えるには、従来と異なる品質の車を投入するしかない」と強調した。ブランド回復に時間がかかることを認めた。GMは「われわれに二度目のチャンスはない」とする。

[中国経済]

(1)グーグル、中国と全面対決姿勢(1/15) ***

 中国にインターネットサービスの検閲撤廃を求めたネット検索世界最大手の米グーグルは、中国版サイトで天安門事件などの写真閲覧制限を解除し、中国当局との全面対決姿勢を示した。中国政府当局は、「中国のネットはオープンだ。管理は国際的慣行に合致している」と、反論した。

 グーグルは、中国側の要請で続けてきた自主規制を一方的に解除したと見られる。中国語版サイトで、1989年の天安門事件や、ダライ・ラマ14世などを検索すると、写真などの検索結果が表示されるようになった。しかし、表示されたサイトそのものの閲覧は依然として出来ない。

 ネット上では「言論の自由を大事にしている」とグーグル支持の声が上がる一方で、「中国の実情を考えていない」と批判する声も出ている。

 中国メディアは、グーグルが中国から撤退する可能性を報じているが、検閲をめぐる詳しい背景は伝えていない。