[金融情勢]

(1)銀行の貸出金利、最低に(3/5) ***

 銀行の貸出金利が低下している。全国の銀行の1月の新規貸出金利の平均は、年1.19%と前年同月比0.18%下がった。日銀が量的緩和を実施した2000年代前半の1.3〜1.9%を下回り、過去最低となった。企業、個人の資金需要が乏しく、預金をどれだけ融資に回したかを示す預貸率も過去最低の水準にある。危機対応の政府・日銀の資金供給策に加え、優良貸出先を巡る銀行間の競争が金利を押し下げている。

 日銀が追加緩和に踏み切れば、貸出金利が一段と低下する可能性がある。これは、企業や個人の経済活動にプラスであるが、資金需要が伸びない中で金融機関の経営体力をそぎ、将来の貸出余力をそぐ懸念もある。

 1月の全国銀行の貸出残高は前年同月比1.7%減り、預貸率は10年前と比べ20ポイント低い75%になった。

 企業の設備投資は11四半期連続のマイナスの伸びであり、資金需要は力強さに欠ける。一方、09年の普通社債発行額は、11年ぶりに10兆円を超えるなど大企業の銀行融資への依存は弱まっている。

 大企業向けだけでなく、中小企業向けでも大手行が手を引いてしまうほど低金利になることがあるという。金利もデフレになっているという声も出ている。


[アメリカ経済]

(1)米『雇用なき回復』懸念強く(3/6) ***

  米国で「雇用なき回復」が今後も続く懸念が強まっている。新規失業の発生には歯止めがかかっても、新規雇用には勢いがつかない可能性が高いためだ。家計部門は力強さに欠け、企業にも十分な資金が回らず、景気回復のペースが遅いことが背景にある。  米経済にとり、失業期間の長期化が大きな問題になる恐れも出ている。

 5日の米雇用統計では、失業率が9.7%で横ばいだったが、2月の非農業部門の雇用者数は前月比3万6000人減だった。先行指標となる週当たり労働時間は33.1時間で、前月比0.2時間減となった。米連邦準備理事会(FRB)は、雇用情勢について「多くの地域でレイオフ(一時解雇)のペースは緩やかになったが、新規採用計画は概して弱い」と分析している。

米景気は、雇用を新たに生み出すほどの力強さはない。個人消費の中でも好調なのは低価格商品だ。住宅は、政府の支援がありながら一進一退という程度にとどまる。企業は生産量を増やす一方、設備投資や雇用を増やすことには依然慎重だ。

雇用回復の遅れで、失業期間が27週間(約半年)以上の失業者が全体の40%を超え、1年前の2倍近くに上昇している。失業の長期化は、一般的に失業率の高止まりや、潜在成長率を低下させる要因として働くとされる。