[景気動向]

(1)09年10〜12月期、GDP実質4.6%成長(2/15) ***

 内閣府が発表した09年10〜12月期のGDP速報値は、実質で前期比1.1%増、年率換算で4.6%増となった。プラス成長は3四半期連続だ。輸出や個人消費も伸び、設備投資も増加に転じた。生活実感に近い名目GDPは、前期比0.2%増、年率換算で0.9%増となり、7四半期ぶりのプラス成長となった。景気の二番底懸念は後退しているが、経済対策の息切れなどで今年前半の成長率が低下するとの見方も出ている。

一方、GDPデフレーターは前年同期を3.0%下回り、過去最大の低下幅を記録した。名目成長率がプラスに転じても、デフレから脱却できていない。実質成長率が名目成長率を上回る名実逆転は、4四半期連続となった。

 実質GDPの水準自体は、ピークだった08年1〜3月期を約6%下回る。経済対策で打撃は薄れつつあるが、本格的な景気回復には時間がかかりそうだ。

個人消費の3四半期連続の増加は、エコポイント制度やエコカー減税などなどの効果だ。設備投資は7四半期ぶりに伸び、自動車や受注ソフトウェアーが牽引した。輸出は3四半期連続で増加し、自動車やクレーンなどの建機が好調だった。一方、公共投資は、2四半期連続のマイナスとなった。予算の前倒し執行などで高水準で推移してきた反動が出た。住宅投資も4四半期連続で落ち込んだ。

[09年10〜12月期の実質GDP増減率の内訳]
(前期比%、カッコ内は7〜9月期)
GDP 1.1(0.0)
(年率換算) 4.6 (0.0)

個人消費 0.7 (0.6)
住宅投資 −3.4 (−7.8)
設備投資 1.0 (−2.5)
政府消費 0.8 (0.1)
公共投資 −1.6 (−1.6)
輸出 5.0 (8.4)
輸入 1.3 (5.4)

 同時期の実質成長率は、米国が前期比年率5.7%、ユーロ圏が0.4%だった。新興国経済の成長や国内の経済対策に支えられ、先進国はいずれもプラス成長を確保した。


(2)09年GDP5%減、戦後最悪(2/15) ***

内閣府によると、09年暦年の日本の実質GDP成長率は、マイナス5%となった。2年連続のマイナス成長で、98年のマイナス2%を下回り、戦後最悪の落ち込みを記録した。実感に近い名目GDP成長率も、マイナス6%と戦後最悪の落ち込みとなった。
ドル換算の09年の名目GDPは5兆849億ドル(474兆9240億円)で、中国の4兆9090億ドルをかろうじて上回り、米国に次ぐ世界第二位の座を維持した。しかし、10年には、日中の名目GDPが逆転するとの見方が多い。

世界を見ると、09年の米国はマイナス2.4%と、91年以来18年ぶりのマイナス成長となった。ユーロ圏はマイナス4.0%で、99年の通貨統合後で始めてのマイナス成長に陥った。これに対し、中国はプラス8.7%の高成長であった。


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[金融情勢]

(1)政府、資金繰り対策を継続(2/20) **

 政府が危機対応で導入した企業の資金繰り対策を軒並み延長する。財務省と日本政策投資銀行は、企業のコマーシャルペーパー(CP)買い取りの期限を来年3月末まで1年延長する方針だ。中小企業庁も、中小企業向けの低利融資を来年3月末まで続けると発表した。景気回復の足取りは鈍く、企業の資金繰りが厳しくなるリスクは否定できないと見て、臨時異例の措置を続けることにした。

 同省は、「CPを買い取る仕組みがあること自体が、日本企業の安心感につながる「と見て買い取りを継続する。


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(2)日銀総裁、国債下落のリスク警戒(2/19) ***

 日銀の白方総裁は、18日の金融決定会合後の会見で「財政の持続可能性に関する市場の関心が世界的に強まっている」と述べた。財政の悪化が、国債価格の下落につながるリスクを警戒する構えを見せた。金融政策については「財政ファイナンス(国の資金調達)を目的としない」のが重要だと語り、長期国債の大幅な買い増しに慎重な姿勢をにじませた。そして、望ましい物価上昇率を明示するインフレ目標の設定には、難色を示した。

 同日の決定会合では、政策金利を現行の0.1%前後に維持することを全員一致で決めた。景気の現状判断も「持ち直している」に据え置いた。

 総裁は、ギリシャの財政不安について「財政動向と金融市場への影響が一段と注目されている」と述べた。日本の財政に関しては「国債は円滑に消化されており、国債の金利も一応安定しているが、深刻な状況にある」と懸念を示した。

 インフレ目標をめぐっては、「物価動向に過度な関心が集まる結果、物価以外の金融・経済の不均衡を見逃し、金融危機発生の一因になったのではないかという問題意識が高まっている」との認識を示した。日銀は、中長期の物価安定の目安として「政策委員の大勢は1%前後の物価上昇率が中心」との見解を表明している。しかし、1%程度を政策的な目標にすべきという考え方については、否定している。

 総裁はデフレについても触れ、「生産性の向上がデフレの克服にも必要である」と指摘し、官民挙げての取り組みを訴えた。日銀としては、「強力な金融緩和を通じ、企業や家計の支出行動を支えるように努めている」として、超低金利や潤沢な資金供給を長期間続ける姿勢を鮮明にした。


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