[エネルギー政策]

(1)もんじゅ、14年ぶり再開確認(2/11) **

 未来の原子力発電の中核とされる高速増殖炉(原発の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを燃やして発電する。このとき、発電で消費した以上のプルトニウムを生み出し、燃料を増殖できる。日本は、2050年までに実用化することを目指している。プルサーマル発電とともに、国の核燃料サイクル政策の中核と位置付けられ、資源が乏しい日本ではウラン資源の有効利用と放射性廃棄物の低減につながる)の「もんじゅ」の運転再開を、経済産業省原子力安全・保安院が10日、容認した。運転主体の日本原子力研究開発機構は、本年度内の再開を目指しているが、実現性やコストなど課題は多い。温暖化ガス削減の切り札としても期待される原子力発電だが、国は増殖炉を含めどう進めていくのか具体策を詰めていない。原発を巡る総合戦略作りが急務だ。

 世界でも高速増殖炉の実用例はないが、エネルギー資源に乏しい日本では、将来の原子力政策の中核と位置づけてきた。国は、高速増殖炉による商用発電が2050年ごろから始まり、来世紀以降には現在の原子力発電所(軽水炉)がすべて高速増殖炉に置き換わるという大枠の構想を描いてきた。実現すれば、100年で枯渇するとされるウラン資源がなくても自活可能になるという。その大前提が、もんじゅだ。

 だが、もんじゅには課題も多い。国がこれまで投じた開発費と運転費は、合計約9000億円だ。今後、年150〜180億円がかかる。さらに、廃炉・解体するときは、約2000億円が必要とされる。

 技術的な課題もある。燃料のプルトニウムを取り出すには、使用済み核燃料の再処理が欠かせないが、日本では2兆円以上を投じた再処理技術が確立していない。核技術に転用できるプルトニウムの不拡散の問題も残る。

 日本の原子力発電は、70年に運転が始まり、日本の総発電の約4分の1を占める主力発電に成長した。運転時のCO2の排出がゼロで、原子力1基の発電は、太陽光発電の190万戸分に相当する。

 温暖化ガス排出量を20年までに90年比で25%削減するという政府の目標達成のためには、原発の活用は不可欠だが、その稼働率は6割ほどで低迷している。地震や電力会社の不祥事、長期間の検査で運転停止がぎむづけられるなどで、十分に機能していない。

 そして、政権としての原子力政策は、明確ではない。原発のシェアをどこまで高めるのか、原発立地の住民の理解をどう得るのか、放射性廃棄物の処分をどうするのか。総合的な原発政策の輪郭が不明確では、環境立国の青写真も描けない。


[世界経済]

(1)G7会議、ギリシャ・中国に関心集中(2/7) **

 6日閉幕する7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)では、過剰な財政赤字が指摘されるギリシャと、世界経済のけん引役となった中国に関心が集中した。不在の2国に焦点を当てたが、明確な処方箋は出てこない。意見交換にとどまり、G7会議の限界も垣間見えた。

 昨年10月に統計の不備が発覚したギリシャが財政赤字の水準を拡大させる修正をして以来、ポルトガルやスペインを合わせたPIGSと呼ばれる南欧諸国の財政リスクへの注目度が高まり、いまやユーロ圏全体の経済問題に波及しつつある。ギリシャの赤字の規模は小さいが、安易な救済には批判が強い。財政悪化は、大規模な景気対策を続ける先進国も同じだからだ。米格付け会社は、1月日本国債の格付け見通しを引き下げた。

 米国や欧州では、低い水準に抑えられている人民元レートに不満の声が出ているが、G7が解決策を提示するのは難しい状況だ。金融危機からの景気回復局面では、中国の成長力に依存しているのも事実だからだ。中国は、今年中にも日本のGDPを上回る見通しだ。