[財政]
(1)08年、税・社会保障で所得分配格差3割圧縮(9/2) ***
税制や社会保障制度による所得格差の修正幅が、08年に過去最大になったことが、厚生労働省が発表した所得再分配調査で分かった。世帯所得の格差を示すジニ係数(08年2月10日インフォメーションサービス119参照)のうち、税金や社会保険料を差し引き、公的年金などを加えた所得でみた係数は0.3758と、所得再分配前でみた当初の係数よりも29.3%縮小した。高齢化や単身世帯の増加などで所得格差は広がっているが、政府の所得再分配機能による修正が進んでいる格好だ。修正幅は、社会保障の寄与が26.6%を占めた。
同調査は3年ごとに実施する。ジニ係数は0から1までの数値で示し、1に近いほど格差が大きい。たとえば、係数が0.5の場合、所得が高いほうから4分の1の世帯の所得が、所得全体の4分の3を占めている状態を示す。
08年の再分配前のジニ係数は0.5318と、05年調査の0.5263を上回り、過去最大になった。
日本のジニ係数は上昇傾向にあるが、国際的には中位に位置している。比較可能な先進24か国中で12位だった。
[金融市場]
(1)日銀、追加緩和で6ケ月物(9/2) ***
日銀は、追加金融緩和の決定を受け、期間6ヶ月の資金を政策金利0.1%と同じ低金利の資金を金融機関に供給する「固定金利オペ(公開市場操作)」を初めて実施した。8000億円の供給予定額に対し、応札額は3兆610億円にとどまった。次は利下げに追い込まれるとの観測から、やや長めの資金調達を手控える動きが広がったようだ。短期金利も目立った反応がなく、小出しの政策対応の効果には、限界があるとの見方も出ている。
やや長めの市場金利の低下を促し、景気を下支えしたいという考えだ。日米の金利差を拡大し、円高ドル安を抑える狙いもある。
日銀は、当面、6ヶ月ものの固定金利オペを月1回実施し、最終的には10兆円を供給する。今後は6ヶ月ものを中心に金利が0.1%に近づいていく見通しだ。
[競争政策]
(1)欧州、カルテル防止強化(9/4) **
欧州連合(EU)の欧州委員会は、価格カルテルを防止するためEU競争法(独占禁止法)の運用を強化する。同業他社の社員の間の情報交換を厳しく制限する。企業が公表済みの価格情報をやり取りした場合でも、消費者が簡単に情報を知ることができない場合には、違法の公算が大きくなる。競争制限につながりかねない情報交換は、事実上すべて禁止される。欧州委は年末までに新ルールを確定し、11年1月から施行する。
カルテル防止の指針改正案は、消費者が企業と同じ条件で入手できないような価格情報について、同業他社の社員が情報交換することを禁じた。たとえば、4人のガソリンスタンドの事業主が、価格を情報交換した場合、違法行為となる公算が大きいと欧州委は説明している。価格は店頭で表示されているが、消費者は4つの給油所すべてを訪れないとすべての価格が分からず、手間がかかる。カルテルにより高値で調整されれば、消費者が不利益を被る。
情報交換は、業界団体などを通じ価格情報をやり取りした場合にも、規制の対象となる。また、価格が類推されるコストなどの情報交換も違法行為とされる可能性がある。