[国内雇用情勢]

(1)地域雇用6万人創出(8/28) **

政府が支援する若者の就職支援策の概要がわかった。今年度で終了する地方向けの雇用対策基金を1500億円積み増して、1年延長する。医療や介護などで新卒者を中心に、計6万人の雇用を生み出す。若者の失業率は高止まりしており、一連の措置で景気・雇用の安定を目指す。

対策の柱に位置づけるのが、都道府県に交付する「重点分野雇用創造事業」の予算の積み増しだ。政府が雇用が増えるとして期待する医療などの分野に限り、都道府県が民間事業者から求人を募り、一定の条件を満たす事業者に対して人件費などを支給する。

このほか、就職先が決まらずに卒業した人の就職活動を後押しするため、卒業して3年以内の人を新卒扱いで採用する企業には助成金を支給する制度も新たにつくる。

相談窓口も拡充する。ハローワークで大卒者や高卒者を専門に相談に乗るジョブサポーターも現行の928人から倍増するほか、全都道府県の労働局に「新卒者就職応援本部(仮称)」を設ける。

政府が若年層の雇用対策を急ぐのは、若い世代の働く場所が減れば社会の活力が低下し、将来の日本経済の重荷になるとの危機感があるからだ。


[米国経済]

(1)米住宅、低迷長引く(8/26) ***

米住宅市場の低迷が長引いている。金融危機後、政府の住宅減税で持ち直す気配を見せたが、減税が4月末に終了したことで需要の鈍さが鮮明になっている。住宅市場の低迷は、個人消費の下押し要因となっている。米景気の二番底懸念が強まっているとの見方が出ている。

商務省によると、7月の新築一戸建て住宅販売件数は、年率換算で27万6000戸となり、前月比12.4%減少し、過去最低水準となった。住宅減税の打ち切り後、住宅市場は事前の予測以上の激しい落ち込みとなっている。一時回復していた中古住宅の販売も急減している。新たな建設も進まず、5〜7月の住宅着工件数は年率50万台となり、過去の平均に比べ3分の1程度の水準となっている。

販売不振が続いているのは、雇用の回復が遅れ住宅購入余力に乏しいためだ。住宅バブル期に年200万個以上も新規着工され、在庫が膨らんでいたところに、ローンを返済できずに手放したり銀行に差し押さえられたりして販売される中古住宅も増えている。供給過剰をすぐには解消するのは難しい。今後は、住宅価格が焦点となる。6月の住宅価格指数は、4ヶ月ぶりに下落した。販売低迷で売れ残った住宅が増え、再び下落し始める可能性が高いとの指摘も出ている。グリーンスパン元FRB議長は、「現在の住宅価格の水準から5〜8%低下すれば、差し押さえが頻発する」と予想する。

住宅価格が下がると返済が難しくなって、売却してもローンを完済できず、自己破産を迫られる恐れがある。米国では住宅担保融資が普及しているが、融資が受けにくくなって個人消費を冷やす。一段の価格下落を待って住宅購入を手控える向きが増えることも、家具など関連消費にも響く。

米景気は、減速感が一段と強まっている。4〜6月期の実質GDPの改定値は、前期比年率で1%台半ばの増加にとどまり、速報値の同2.4%増から大幅に下方修正されるとの見方が出ている。FRB内にも、二番底懸念の可能性について、半年前よりも高くなったとの指摘が出ている。

アプリを事業の中核にすえるモデルは、携帯からテレビに広がる可能性もある。グーグルは、11年初めから、携帯向けソフトをテレビでも使えるようにする。テレビ向けサービスの「グーグルテレビ」を携帯向けソフトに対応させ、ソフト販売の拡大につなげる。


[国際金融制度]

(1)プラザ合意25年後の混迷(8/23) ***

リーマンショック後の世界経済は、金融危機から財政危機につながり、いま通貨不安に直面している。どの国も危機打開のため通貨安に活路を求め、自国本位に陥っている。ドルの負担を軽減し通貨協調を目指したプラザ合意から25年が経ち、協調なき通貨体制は混迷の時代を象徴している。

プラザホテルにG5の財務相と中央銀行総裁が集まったのは、1985年9月22日であった。現実主義者のベーカー米財務長官は、米議会内の保護主義を封じ込めるには、ドル高是正しかないと心に決めていた。結局、各国による協調介入が行われ、ドル安が導かれた。

協調介入と政策協調という協調は、プラザ合意の時代にしかできなかったといわれる。いまの通貨協調の不在は深刻である。

冷戦終結を受け誕生したユーロや中国経済の台頭を背景にした人民元など、ドル一極から多極化時代を迎えている。皆が目先の自国通貨だけを考え、だれも将来の国際通貨システムを展望できなくなっている。「通貨切下げ競争」は、それを端的に示す。

世界経済危機の震源地の米国の経済は、下ぶれリスクが高まっている。追加金融緩和を示唆したことが、ドル下落をもたらした。

ギリシャ危機で揺らいだユーロ圏だが、このところユーロ安による景気回復が目立ってきた。予想より早い回復で、二番底に陥ることはまったくない状況だ。

日本を抜いて第2の経済大国になる中国だが、人民元の上昇にはなお警戒的だ。人民元相場を弾力化する方針を打ち出し、相場は上昇していたが、再び弾力化前の水準に下落している。輸出を支える元安誘導ならば、米議会の不満が再燃する恐れがある。

主要国が通貨安を求める中で、日本は円高に追い込まれている。無為無策の円高放置は危険だ。デフレ脱却はさらに遠のく。市場介入は、単独でも実施すべきだ。円売り・ドル買いの見返りに放出される円を吸収しない非不胎化介入ならば効果がある。

円高是正に立ち上がるだけでは、すまない。日米ユーロ圏中英の「新G5」の通貨当局で、多極時代の通貨協調を協議するときである。