[国内景気動向]

(1)地方経済に薄明かり−日銀報告(4/16) ***

 日銀は3ヶ月ごとにまとめている地域経済報告を公表し、全国9地域のうち7地域で景気判断を上方修正した。前回時点(1月)で上方修正したのは4地域だった。中国などへの輸出の伸びを背景に、製造業の設備投資が広がったり、個人消費が下げ止まったりする動きが出ている。ただ、地域ごとにばらつきがあり、薄明かりがさらに増すかどうかは微妙な面もある。

 昨年後半は各地で景況感が改善した。その後、円高やデフレの影響で、今年1月調査時点では景況感が悪化した。今回は、そこから再び回復軌道に乗り始めたことを示しており、上方修正した地域も前回より3つ増えた。

 2桁成長となった中国を初めとするアジア経済の拡大を背景に、東海の自動車関連、近畿の薄型テレビなど電気関連を中心に生産が増加した。金融危機による需要急減により削った設備の更新投資などを再開する動きが出始め、一部では既存の生産能力を増強する投資もみられるようになった。個人消費は、自動車や薄型テレビなど耐久消費財向けの政府の購入支援の効果がなお続いている。

 ただ、先行きには不透明感が残る。設備投資は慎重な企業が多く、新興国需要の増加を踏まえ、国内生産拠点を海外に移して生産体制を強化する計画が見られる。海外経済が回復しても国内設備投資を誘発せず、地域景気の回復に直結しない可能性があることになる。

 さて、ほとんどの地域で雇用・所得環境の厳しさが指摘され、勢いを伴う個人消費の回復は当面先となりそう。本格的な景気回復への距離はなお遠い。


[財政]

(1)休日の長距離値上げ(4/16) **

 前原国土交通相は、高速道路の新しい料金制度を発表した。車種別に一定距離を越えると料金が上がらない上限料金制を導入するのが柱だ。上限料金は、曜日や時間帯に関係なく普通車が2000円、軽自動車が1000円などとなる。休日上限1000円を始めとした現行割引制度は、一部を除いて原則廃止となるため、休日利用を中心に実質的には値上げとなる利用者が多いと見られる。

 現行割引制度の原則廃止により、割引に備えて用意した財源の一部を高速道路整備に流用する。国交省は1.1兆円を見積もっており、その分高速道路利用者の料金負担が増すことになる。

 上限制は、6月から導入し最低料金は区間により異なる。自動料金システム(ETC)を搭載していない車も対象にする。ETC搭載車を対象にした「休日1000円」や時間帯ごとの割引は廃止する。新制度は、休日に遠出する利用者にとっては値上げとなるケースが増える見通しだ。

 環境対策として、「エコカー割引」を新設する。エコカー減税対象車のうち、軽自動車と同程度の燃費の普通車については、事前に登録しておけば軽自動車扱いとする。ただ、事前登録の仕組みが間に合わないため、6月からの実施は見送る。 首都高速と阪神高速は、新上限料金の対象外だ。定額料金を改め上限付きの距離別料金制度を導入する。ETC搭載者ではない現金利用者は、入り口で上限料金を徴収する。一般的に、短距離の利用者は割安に、長距離の利用者は割高となる。年末以降の実施とする。

  [高速料金に上限制]
    一般の高速道路
     a.原則料金        b.実施時期
      軽自動車 1000円      6月
      普通車  2000円   c.ETCとの関係
      中・大型 5000円     ETC搭載、非搭載の区別なし
      特大車 10000円
     d.エコカー割引(7月以降導入)
      燃費が1リットル当たり20キロ以上の車は軽自動車扱いとする


[世界経済]

(1)世界景気持ち直し続く(4/15) ***

 世界景気の持ち直しが続いている。中国の今年1〜3月期の実質GDP成長率は、前年同期に比べて11.9%増だ。2期連続の2ケタ成長で過熱感がにじんでいる。米国の地区連銀経済報告では、全12地区のうち11地区で景気認識が改善し、回復の裾野が徐々に広がりつつある。日本はなおデフレ克服の道筋が見えないが、日銀の白方総裁は、新興国の成長を背景に、日本の再度の景気悪化の懸念がかなり後退したとの見方を示した。

 中国の景気回復のけん引役は、引き続き公共投資だ。1〜3月の都市部の固定資産投資は26.4%増だ。通年では30.5%増だった09年ほどの勢いはないが、なお高水準で推移している。公共投資が鉄鋼やセメントなどの生産を刺激し、成長率を押し上げる構図だ。ただ、消費全体は力強さに欠けるとの見方は少なくなく、投資頼みの成長から脱却するため、中国政府は個人消費の拡大を10年の経済政策の最重要課題に挙げている。

 外需は成長率を押し下げる要因となった。輸出は順調に回復しているが、輸入はそれを上回るペースで増えており、1〜3月の貿易黒字は145億ドルで、前年同期比8割近く減少した。

 中国政府は景気判断を「回復傾向がさらに高まった」と、一歩前進させた。しかし、住宅価格の高騰やインフレ予想の高まりにも言及し、現在の金融緩和政策を引き締め方