[新製品]
(1)iPad、新市場開くか(4/3) **
米アップルが、多機能携帯端末iPadを米国で3日発売した。ジョブズ最高経営責任者(CEO)は、多機能携帯電話iPhoneなどで新市場を開拓、新たなビジネスモデルを構築してきた。従来のパソコンや電子書籍端末の枠組みに当てはまらないiPadでもその再現が出来るかが注目されている。
アップルの来た道は、新市場の創造の歴史だ。マッキントッシュでパソコンを広め、携帯音楽プレーヤーiPodと音楽配信ストアのiチューンズ・ミュージックストアの組み合わせは、電子データの形で購入し、何千曲でも持ち歩くという新たな音楽の消費・保存形態を広めた。iPhoneもポケットに入るコンピューターだ。
iPadは、一見iPhoneの相似形にすぎないように見えるが、その大きさゆえに得意なことが違う。パソコンに近い大きさだが、キーボードはない。電子書籍端末という用途では、キンドルなど既存の電子書籍端末に比べると重い。液晶画面のため、長時間の読書は目につらい。一方で、高精細の画面は、静止画像や動画がきれいに映る。テレビ番組や映画を好きな場所で楽しむ用途にも向いていそうだ。
汎用タッチパネル機で世界的に普及したのは、ポケットに入る多機能携帯端末のiPhoneが初めてだ。ソフト配信インフラ「アップ・ストア」が成功の原動力となった。これで販売するソフトは、10万種類以上に達しており、この仕組みはiPadでも強い味方となる。
[iPadの特徴]
- 週刊誌大の9.7インチのカラー画面
- iPhoneと同じ感覚で指先で画面に触って操作。無線LANのほか、上位機種では第3世代携帯に対応
- 電子書籍は「iブック・ストア」から配信。映画やゲームなども利用できる。
- メールやネット閲覧にも対応
[家計部門]
(1) 購買力、デフレで世代格差(4/5) ***
日本のデフレ(物価の継続的な下落)が長引き、モノを買う力の世代間格差が広がりつつある。貯金が多い高齢者と、借金が多い若年層の違いが影響している。高齢者がデフレ下の個人消費を下支えする構図が鮮明になりそうだ。
家計調査によれば、世帯主が60歳代の家計には2071万円の貯蓄があり、今後3年間の購買力は合計で約58万円上がる計算となる。世帯主が30歳代の家計には、178万円の負債超過があり、今後3年間の購買力は合計で約5万円下がる見通しだ。
高齢層は貯蓄が豊富で、物価の下落に応じ年金を減額する措置は適用されておらず、若年層は住宅ロ−ンなどの負債が多く、給与やボーナスをカットされている。所得と資産を総合的に見ると、高齢者の消費が増え、若年層の消費が減りやすくなっている。
実際、09年は高齢者が個人消費を下支えした。世帯主が60歳以上の家計(勤労者世帯)では、実質ベースでの消費が前年比1.2%増えた。一方、30歳未満は7.3%減、30〜39歳は1.1%減となった。
日本は09年4〜6月期に、再びデフレ局面に入った。前回のデフレ局面は98〜06年度で、実質的に10年越しの物価下落が続いている。デフレの長期化は、世代間の再分配を大きくゆがめる。
日本の消費者物価指数は、2月まで12ヶ月連続で前年同月より低下した。日銀は少なくとも11年度まではデフレが続くと見ており、その出口はまだ遠い。
デフレに苦しむのは若年層だけではなく、負債が貯蓄を上回る政府や企業にもしわ寄せが及ぶ。前回のデフレ局面で、政府と企業の負担増がそれぞれ54兆円、47兆円に上ったという。デフレは、税収を伸びにくくさせ財政を悪化させる。企業は収益が圧迫され、債務の負担感も増す。設備投資や雇用・賃金を抑えがちになり、日本経済全体に悪影響を与えかねない。