[物価]

(1)9月の消費者物価2.3%低下(10/30) ***

 総務省が発表した9月の全国消費者物価指数(CPI,05年=100)は、前年同月比で2.3%低下した。7ヶ月連続で前年同月を下回ったが、昨夏の原油高の影響が弱まり、低下幅はやや縮小した。ただ、食料品や衣料品の値下げ競争の影響が出るなど、物価下落傾向は収まっていない。

 食料とエネルギー価格の影響を除いた指数(欧米型コアCPI)は、1.0%低下しており、下落幅は前月よりも拡大した。物価下落の主因がガソリンや灯油といった石油関連製品から、身の回りの商品に移ってきた格好だ。


[生産部門]

(1)鉱工業生産、回復続く(10/29日経) ***

 経済産業省によると、7〜9月期の鉱工業生産指数は、83.9となり(05年=100)前期比7.2%上昇した。上昇は、2四半期連続だ。自動車や電子部品などの生産が伸びているが、政策効果で押し上げられている面も強い。生産はピーク時に比べ、8割の水準にとどまっている。個人消費と設備投資がともに厳しい状況にあるだけに、本格的な回復に向けた道のりは険しい。

 昨秋の世界的な金融危機で、09年1〜3月期には下げ幅がマイナス22.1%にまで下がった。しかし、今春以降、中国を初めとする海外需要の持ち直しで在庫調整が一巡し、生産は持ち直しに転じている。

 9月の鉱工業生産指数は8.1となり、前月比1.4%上昇し、前月比プラスは7ヶ月連続だ。同省は9月の基調判断を「生産は持ち直しの動きで推移している」と、前月までの判断を据え置いた。

 環境車の購入補助やエコポイント制度の効果も、年明け以降次第に薄れるとの見方が多い。持ち直し基調が来年も続くかは不透明なだけに、民間需要による自律回復へとつなげていけるかが焦点となる。


[金融情勢]

(1)企業支援オペ、日銀3月末まで延長(10/30日経) ***

 日銀は、30日の金融政策決定会合で、年末に期限を迎える緊急措置のうち、企業金融支援特別オペを来年3月末まで延長することを決めた。金融市場の先行き不透明感が消えないためだ。社債とコマーシャルペーパー(CP)の買い取りは年末で打ち切る。日銀が緊急措置を止めるのは初めてだ。政策金利は0.1%前後に据え置く。

 社債・CPの買い取りを止めるのは、金融市場が落ち着き金融機関の利用がほとんどなくなっているためだ。一方、CPなどを担保に金融機関に低金利で資金を貸し付ける特別オペは、利用額が9月末で約7兆円にまで膨らんでいる。年度末の資金繰りに万全を期す必要があると判断し、延長に傾いた。

 日銀は、景気の持ち直しが確実になるように、超低金利政策と潤沢な資金供給を継続する。白川総裁は、今回の見直しが利上げなどの本格的な金融引締めにはつながらないとの認識を表明した。


[雇用情勢]

(1)9月の失業率5.3%、0.2ポイント改善(10/30日経) ***

 総務省が発表した9月の完全失業率は5.3%と、前月比で0.2ポイント減少した。厚生労働省が発表した9月の有効求人倍率も、前月比0.01ポイント高い0.43倍に上昇した。統計上の失業率の減少は2ヶ月連続で、生産の持ち直しで製造業就業者数の減少幅が8ヶ月ぶりに縮小したことが影響したと解釈される。

 完全失業率は、15歳以上の労働力人口に対する完全失業者の割合であるが、労働力人口には。求職意欲喪失者は含まれない。求職意欲喪失者とは、仕事をしたいと思いながら、仕事が見つかりそうもないから求職活動をしていないなど,経済情勢などの要因 によって非労働力人口になっている人のことである。

 9月の就業者数は、前年同月比で98万人減の6295万人だ。完全失業者数は、92万人増の363万人と11ヶ月連続で増えている。


[アメリカ経済]

(1)7〜9月期GDP,5四半期ぶりにプラス成長(10/30日経) ***

 アメリカ経済は、7〜9月期にプラス成長に戻り、戦後最長の07年12月からの後退局面から緩やかに底入れした。景気対策が支えとなったが、内需の柱である個人消費は本格回復には程遠い。

 アメリカ景気の自律回復の歯車がまわり始めたとはいえない。米大統領経済諮問委員会(CEA)のローマー委員長は、総額7870億ドルの景気対策が、7〜9月期の成長率を約3〜4%押し上げたとの試算を示した。プラス成長のかなりの部分は、政策効果だった計算だ。公共投資のほかに、家計への所得税減税や失業者給付で消費を下支えし、住宅取得減税で住宅投資を後押しした。特に、8月に終わった政府による低燃費車補助が1.01%押し上げる結果となった。

 政府頼みから自立的な成長に戻るには、消費の本格的な回復がポイントだ。しかし、雇用・所得環境は厳しい。失業率は、9月に9.8%まで上昇した。賃金も弱含んだままだ。失業率がピークを過ぎるのは、来年1〜3月期になるといわれる。消費が短期間で金融危機前の水準に戻る可能性は低い。

 オバマ大統領は、「完全に景気が回復するまでに長い道のりがある」と指摘した。財務省は、米議会が検討していた住宅取得減税の延長を支持すると表明した。現在は11月末を期限としているが、期限延長で民間需要の立ち上がりを支援する。

[7〜9月期の米GDP速報値]
増減率(%)
国内総生産 3.5
個人消費支出 3.4
民間設備投資 −2.5
民間住宅投資 23.4
民間在庫投資
純輸出
輸出 14.7
輸入 16.4
政府支出 2.3