[国内物価]

(1)10月消費者物価2.2%低下(11/28日経) ***

 総務省発表の10月の全国消費者物価指数(CPI,05年=100)は、変動が大きい生鮮食品を除くベースで100.1となり、前年同月比で2.2%低下し、8ヶ月連続で前年同月を下回った。食料とエネルギー価格の影響を除いた指数(欧米型コアCPI)は、前年同月比1.1%低下し、過去最大の下落率だった01年5月に並んだ。政府は、20日発表の11月の月例経済報告で「緩やかなデフレ状況にある」として、3年ぶりに日本経済をデフレと認定している。

 身近な商品の値下げ競争が続いている。生鮮食品を含めた食料価格全体は、前年同月比2%低下した。食パンや国産米、牛ロースの輸入肉などが下がっている。被服及び履物の価格は、前年同月比1.4%低下した。家電分野でも、ノート型パソコンの値段は前年同月比で52.4%低下した。ガソリン価格は、同19.4%下落した。ただ、前の月に比べ落ち幅は小さくなっており、物価下落の主役は幅広い財やサービスに移っている。


[国内雇用情勢]

(1)10月失業率5.1%に改善(11/28日経) **

 総務省発表の10月の完全失業率は、前月比0.2ポイント低下し5.1%と3ヶ月連続で改善した。厚生労働省が発表した10月の有効求人倍率も、0.44倍と前月比0.01ポイント改善した。ただ、失業率、有効求人倍率とも過去最悪水準にあり、先行き懸念は消えていない。

 10月の完全失業者数は344万人と、前月比19万人減少した。一方、就業者数は6271万人と前年同月比で117万人減となった。ただ、雇用の先行指標となる新規求人倍率は、0.78倍と再び低下した。


[EU経済]

(1)欧州、統合深め成長探る(11/22日経) ***

 欧州連合(EU)は、初代大統領にファンロンパイ・ベルギー首相を選出した。同氏は、近くベルギー首相を辞任する。英国出身のアシュトン欧州委員が選出された外相級ポスト(外交安全保障上級代表)を含め、新指導体制が固まった。国際社会の中で、確固たる存在感や実績を示せるかが最大の課題だ。人口5億人を抱える欧州統合の深化と拡大は、正念場を迎える。

 大統領と外交代表の2つのポストは、12月1日に発効するEUの新基本条約「リスボン条約」に基づき新設する。EUの行政機関である欧州委員会を率いるバロー委員長は、9月に再任されており、EU首脳人事がようやく出そろった。

 ファンロンパイ、アシュトン両氏とも、国際的な知名度は低い。しかし、中小国を含む加盟27カ国の意見に目配りできる調整型の人材が適任との判断があった。

 加盟国を増やし、ヒト、モノ、カネ、サービスが自由に行き交う単一市場を拡大できるようにするリスボン条約は、原型の憲法条約以来8年かけてようやく発効のめどがたった。関税同盟、単一通貨ユーロ導入、東方拡大など、EUはこれまでに時間をかけ構想した計画を着実に前進させてきた。

 世界の成長センターは、欧米から中国を中心とする東アジアにシフトしている。EUは高齢化が進み、米国より低い生産性を背景に、金融危機後の経済成長は伸び悩みそうだ。気候変動など環境分野では主導するが、それ以外の外交面では存在感低下は否めず、米中2カ国に欧州は無視されかねない。

 リスボン条約発効を受け、域内各国でバラバラの制度の調和や規制緩和を通じ競争を促し、成長力を底上げできるかが焦点だ。巨大な国家連合体であるEUの実験の成否が新首脳陣に託される。