[国内金融情勢]
(1)長期金利一段と上昇(11/10日経) ***
10年債利回りは約1ヶ月で0.2%以上も上がった。単純計算で国債の利払い費が、1ヶ月で3000億円以上も膨らんだことになる。 長期金利が上がると、定期預金金利も上がり消費者にメリットがある反面、企業向け貸出金利や住宅ローン金利も押し上げるため、景気に冷水を浴びせる可能性がある。財政不安に根ざした悪い金利上昇となると、長期債務を抱える企業の株価が低迷するなどの副作用も懸念される。今のところ、膨張型予算への市場の不安は消えない。
今後の節目は、今年度で最も金利が高かった6月の1.56%だ。足元の金利水準は、景気回復に水を差す危険水域に入りつつあるとの見方は、市場に共通する。
[ユーロ圏経済]
(1)ユーロ圏1年半ぶりプラス成長、政府・外需頼み(11/14日経) ***
7〜9月期に、1年半ぶりのプラス成長を記録したユーロ圏で、主要3カ国の独仏伊の復調が目立ってきた。財政出動が景気を底上げしているところに、輸出が伸びたためだ。景気後退局面から脱した格好だが、本格回復には、なお時間がかかると見られる。各国は、雇用悪化など先行きへの警戒感を崩していない。
仏ルノーの10月の販売台数は、前年同月比で3割増を記録した。買い替え補助金制度が販売を後押しし、これまでの売れ筋の小型車より一回り大きい中級車の販売が伸びている。
政府の後押しに加え、外需も成長の原動力に回帰しつつある。欧州経済を左右するドイツの9月の輸出は、前月比3.8%増だ。輸出産業は、成長が見込めるアジアや南米などの新興国市場の開拓に動く。欧州主要国の景況感の回復は、これらの国々への輸出を通じ、中小国の回復にもつながる。主要3カ国に牽引されるチェコ、スロバキア、ポーランドなどの回復が目立つ。中東欧は国際支援も効いており、EUなどの支援は中東欧のGDPを2〜3%押し上げると見られる。
主要国は、買い替え補助金制度などの景気対策が打ち切られた後の反動減を懸念する。また、外需も主な貿易相手国であるロシアの不振で、中国などに依存する状態だ。ドイツの貿易関連の業界団体は、08年の水準を回復するのは早くても12年になってからと先行きを楽観視していない。
また、各国は、失業率上昇のため個人消費が下ぶれするのを防ぐために、雇用対策に目を配り失業者の増加を防ごうとしている。