[雇用情勢]

(1)職業訓練、30万人に生活費(6/3) ***

 厚生労働省は、09年度補正予算の雇用対策の柱である「緊急人材育成・就職支援基金」の事業詳細をまとめた。失業給付を受けられない人などに、職業訓練を条件に最大月額12万円の生活費を支給する枠を30万人分用意した。長期失業している人を対象に、民間の職業紹介企業を通じ就職を支援する制度も導入する。これらの事業は、7月から順次、実施する予定で、景気悪化で高まる雇用不安を和らげたい考えだ。

 政府は、同補正予算で、雇用の第2の安全網として、非正規社員で職を失った人などを救うための総額7000億円の基金を創設した。

 柱の一つは、職業訓練を条件に生活費を支給する仕組みの創設で、3年間に30万人分を確保した。雇用保険の給付要件を満たさない人や、雇用保険の受給期間を過ぎた人などが対象となる。失業給付が受けられず、職業訓練の必要な人のうち、約6割を救える見通しだ。単身者には月額10万円、扶養家族を持つ人には12万円を支給する。期間は最大2年で調整中だ。  職業訓練も35万人分増やす。パソコンなど事務作業に必要な技術を身に付ける3ヶ月訓練を17万5千人分、医療や介護など成長分野で技術を身に付ける1年と6ヶ月の訓練をあわせて17万5千人分確保した。訓練の委託を受けるため、新たに訓練メニューを作った学校などに訓練作成にかかる費用を支援する。

 また、1年以上長期間失業している人の就職支援の強化にも基金を活用した。ハローワークで認められた失業者を対象に、基金が費用を負担することで、民間企業が有料で手がけている職業紹介を使えるようにする。具体的には、職業紹介企業は、長期の失業者一人当たり20万円を受け取り、職業相談や再就職のために必要な講習により再就職を支援する。3ヶ月以内に職が見つかった場合には、さらに30万円、3ヶ月以上かかっても15万円もらえる。就職後6ヶ月以上定着したことを確認できれば、20万円を追加で助成される。

 中小企業の雇用創出策も拡充する。技能や経験をもたない人を実習で育成してから雇用する中小企業を資金援助する。6ヶ月間の実習期間は、一人当たり月額10万円を企業に支給する。その後、正社員として雇用すれば、一人当たり100円を助成する。


[競争政策]

(1)改正独禁法が成立、課徴金適用幅広く(6/4)

 課徴金の適用範囲を拡大することを盛り込んだ改正独占禁止法が、3日成立したことで、小売業界で広がる不当な安値競争などに幅広く網をかけやすくなる。産業構造のサービス化の流れをにらみ、独禁当局は大手製造業や建設業だけでなく、規模や業種を問わず透明な商慣行を求める姿勢を鮮明にしている。

 ライバルを締め出す目的で安値販売する不当廉売につながる恐れがあるとして、公正取引委員会が注意した件数は、05年度から08年度まで約6倍に急増した。家電製品や、酒類、ガソリン販売で増えており、地元企業から抑止のための制裁強化を求める声が出ている。改正法では、不当廉売は売上高の3%に当たる課徴金を科される。

 一方、優越的地位の乱用では、企業間の取引額の1%を科す。取引先のメーカーに圧力をかけてきた大手家電量販店なども、見直しを迫られそうだ。

 法改正に際し、公取委が下した処分に企業が異議を申し立てる審判制度についても見直す方針が確認された。経済界には、独立した裁判手続きに委ねるべきだという声が高まっている。


[アメリカ経済]

(1)GMに3.8兆円追加支援(6/1) **

 アメリカ政府は,最大手のゼネラル・モーターズ(GM)が連邦破産法11条(日本の民事再生法)を1日に申請すると発表した。同社の事業を引き継ぐ新生GMに、米・カナダ両政府が、72%の出資となる計396億ドル(約3兆8000億円)の追加金融支援を実施した。米政府のGMへの支援額は、これまでの約200億ドルと合わせて総額500億ドルに膨らむ。これまでのGMは、一時国有化という節目を迎えるが、中長期的な競争力回復は今後の課題となる。

 GMの連結ベースでの資産規模は、3月時点で約823億ドル(約7兆8000億円)と、破産法申請では過去4番目の規模、製造業では過去最大だ。

 GMは、工場閉鎖、販売網縮小などのリストラに取り組む。政府高官は、GMの経営への政府関与は全くないとの原則を提示した。ただ、政治判断を優先することで、GM再建が遅れる可能性は残っている。