[景気動向]

(1)実質GDP1〜3月年率マイナス15.2%(5/20) ***

 内閣府による1〜3月の実質GDPは、速報値で前期比4.0%減、年率換算で15.2%減となり、戦後最大の減少率となった。四・四半期連続のマイナス成長もはじめてである。昨秋以降の世界的な金融危機の影響による輸出の落ち込みが拡大したのに加え、設備投資や個人消費などの内需も減少幅を広げた。

 同時に発表された08年のGDPは、実質が前年度比3.5%減、名目が同3.7%減でいずれも戦後最大の減少率だ。実質は01年度以来7年ぶり、名目は02年度以来6年ぶりにマイナス成長となった。

 過去のデータなどを見直した結果、昨年10〜12月期の実質GDPは2.3ポイント下方修正され、年率14.4%となった。その時点で、第一次石油危機の74年1〜3月期の13.1%減を超えていたことになり、二・四半期連続で「戦後最大」の落ち込みを更新した。昨秋以降の日本経済の急落振りを改めて浮き彫りにした。

 前期比4.0%減のうち、内需は2.6%分を占め、輸出から輸入を引いた外需の1.4%分を上回った。内需の内訳を見ると、GDPの6割弱を占める個人消費は、1.1%減った。消費税引き上げの97年4〜6月期以来(3.6%)の大きな落ち込みだ。株式の下落や雇用情勢の悪化などが消費を大きく冷え込ませた。設備投資も10.4%減で、最大の減少率となった。外需は、昨年10〜12月期のマイナス3.2ポイントに比べ、やや和らいだ。

[09年1〜3月期のGDP増減率の内訳](実質)
−4.0%
(年率換算) −15.2%
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
個人消費 −1.1%
住宅投資 −5.4%
設備投資 −10.4%
政府消費 0.3%
公共投資 −0.0%
輸出 −26.0%
輸入 −15.0%


[アメリカ経済]

(1)米長期金利が高止まり(5/18) ***

 米長期金利の高止まりが鮮明になってきた。景気対策のために国債発行が急増し、需給悪化が進んでいるためだ。一段の長期金利の上昇を回避するため、連邦準備制度理事会(FRB)の国債購入枠の拡大が不可避という観測も浮上している。

 4〜6月は、国債市場からの資金調達が3640億ドル、7〜9月は5150億ドルに拡大すると見られる。

 入札でも海外中央銀行と見られる買いは比較的堅調だが、それを帳消しにするほど調達額は多く、長期金利の高止まりが解消されない格好だ。

(2) 米新燃費規制、16年に前倒し(5/19) **

 米政府は、自動車の燃費規制を厳しくする時期を4年前倒しする。ガソリン1ガロン当たりの走行距離を現行の約25マイル(1リットル当たり10.6キロメートル)から35.5マイル(同15.1キロメートル)に引き上げる時期を、当初の2020年から16年に早める。温暖化ガスの排出抑制にもつなげる狙いで、環境技術開発で出遅れた経営難のビッグスリーなどの負担が一段と高まりそうだ。

 政府高官は、新規制について「カリフォルニア州の規制とほぼ同等になる」と述べ、連邦政府と同州の規制を一本化したい意向を示した。

 新基準は、日欧とほぼ同等の厳しさになる見通しだ。日本メーカーは低燃費車の開発・販売で先行しているが、今後、規制へ向けた投資や開発強化を急ぐ必要に迫られる。