3月第4週(3/22〜3/28)(最高3つの*)

メインテーマ: 公示地価、3年ぶり下落
その他のテーマ: 期末資金繰り峠越す
09年度予算が成立
保護貿易、世界で急拡大
不良資産買い取り発表、最大1兆ドル規模

[地価]

(1)公示地価、3年ぶり下落(3/24) ***

 国土交通省が発表した09年1月1日時点での公示地価は、全用途の全国平均で、前年比3.5%下落し、3年ぶりに前年を下回った。金融危機による投資マネーの減少と景気の低迷が重なって、不動産を買い控える動きが広がり、4年ぶりに全都道府県でマイナスとなった。

 全国平均の公示地価は、バブル経済崩壊後の1,992年から下落が続いた後、07年に16年ぶりにプラスに転じ、08年は上げ幅を1.7%に拡大した。09年の公示地価は、全国の住宅地が前年比3.2%、商業地が同4.7%下落した。下落が鮮明だったのが、大都市の中心部だ。08年に平均で22.1%上昇した東京・港区の商業地は、今年は前年に比べ13.1%落ち込んだ。三大都市圏の下落率は、住宅地で3.5%、商業地で5.4%と、全国平均を上回っている。

 金融市場の混乱により、値上がりや商業施設の収益の拡大を期待して、国内の不動産に流れ込んでいたファンドや、不動産投資信託の資金が急速に細った。景気の低迷で企業はオフィスを借りたり、工場や店舗の土地を取得したりする動きが減少した。個人もマンションなど住宅購入を手控える傾向が鮮明だ。地価の上がる要素は見当たりにくい。

[2,009年公示地価の変動率]
(前年比%)
住宅地 商業地 全用途
全国平均 −3.2 −4.7 −3.5
3大都市圏 −3.5 −5.4 −3.8
東京都 −6.5 −7.5 −6.7
地方圏 −2.8 −4.2 −3.2

[先頭] [Home] [今週のトピック目次]


[財政]

(1)期末資金繰り峠越す(3/27) **

 企業の3月期末に向けた資金繰りの不安が後退している。政府・日銀によるコマーシャルペーパー買い取りなど、企業の資金繰り支援策が効果を挙げている。また、株価の急回復で、過度の悲観ムードも和らいでいる。

 ただ、業績の悪化などで、新年度の4月以降に再び企業の資金繰りは、厳しくなるとの見方が多く、政府・日銀は支援の強化を迫られる可能性もある。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

[財政]

(1)09年度予算が成立(3/28)  ***

 09年度予算と関連四法が、27日成立した。09年度予算は、税制改正を棚上げし、雇用対策や住宅ローン減税など、急速に悪化する景気への対応を優先したのが特徴だ。これを踏まえ、政府・与党は、09年度補正予算案の編成も含めた追加経済対策のとりまとめを加速させる。

 予算の一般会計総額は、当初ベースで過去最大の88兆5,480億円だ。歳入不足を補う新規国債の発行額は、4年ぶりに30兆円を超え33兆2,940億円に達した。目玉は、経済情勢の悪化に備え計上した1兆円の経済緊急対応予備費だ。追加対策となる補正予算の原資に活用する案も浮上している。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

[WTO]

(1)保護貿易、世界で急拡大(3/27) **

 世界貿易機関(WTO)は、日本を含めた23カ国・地域が保護貿易措置を導入していると報告した。保護貿易措置は、合計85件で、1月の第一次調査の4倍強に急増した。ラミー事務局長は、4月2日の主要20カ国・地域(G20)がロンドンで開く金融サミットで、各国・地域に自制を呼びかける方針だ。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

[アメリカ経済]

(1)不良資産買い取り発表、最大1兆ドル規模(3/24) ***

 ガイトナー財務長官は、政府と民間投資家が共同で金融機関の不良資産を買い取る枠組みを発表した。民間投資家の出資額に応じ、政府が最大1千億ドルの公的資金を拠出する。保証や低利融資と組み合わせ、5千億〜1兆ドルの不良資産を金融システムから分離する仕組みだ。ローン債権の場合、買い取り価格を投資家の入札で決めるのが特徴で、損失負担を軽減して民間投資家の参加を促す。

 オバマ大統領は、この取り組みは融資機能の回復が目的だとする。買い取り策の名称は、「官民投資プログラム」だ。同プログラムは、延滞している住宅ローンなどの不良債権向けと、市場では買い手がつかない証券化商品向けに分かれる。焦点となる買い取り価格は、民間投資家側が決める。政府が不良資産を高めの価格で買い取るのを防ぐためだ。購入した不良資産で損失が生じた場合には、政府と民間投資家が分担して処理する。政府は金融安定化法による公的資金枠7千億ドルから、750〜1000億ドルを拠出する。

 アメリカでは、昨秋成立した金融安定化法の下で資本注入を進めてきた。しかし、不良資産を抱えたままの金融機関に資本を注入しても、損失増の懸念が残り融資拡大には結びつきにくい。オバマ政権は、4月末までに実施する主要金融機関の資産査定を受け、追加の資本注入を実施した。同時に、今回のプログラムを通じた不良資産の買い取りで、金融システムを健全化する考えだ。

 国際通貨基金(IMF)による昨年10月時点での推計では、金融機関の評価損の原因となるローンと証券の総額は約23兆ドルだ。このうち約20兆ドルが「不良資産」の範ちゅうに入ると見られる。大部分は、米金融機関が保有している。今回のプログラムは、年金からヘッジファンドまで、幅広い投資家が参画するかがカギとなる 


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]