3月第2週(3/8〜3/14)(最高3つの*)

メインテーマ: 銀行・生保に株安の逆風
その他のテーマ: 公的資金、地銀3行に注入決定
世界の工場稼動6〜7割
米住宅ローン、焦げ付き拡大

[金融情勢]

(1)銀行・生保に株安の逆風(3/10) ***

 日経平均株価が、9日バブル崩壊後の最安値を更新したことで、3月期末を控えた銀行や生命保険会社の経営の重しとなりそうだ。大手銀行6グループの株式含み損は、合計で1兆円を超えた模様だ。自己資本の目減りとなり、貸出余力に影を落としている。一方、大手生保も9社中6社が保有株式に含み損を抱えたとみられる。

 大手銀行6グループが保有する株式は、最近の株安で含み損に転じた模様だ。あるエコノミストによると、日経平均株価が7,000円を割り込んだ場合、1兆6,000億円程度の含み損と予想される。大手銀行の自己資本比率は、昨年12月末時点でいずれも10%を超えていたが、株安で自己資本が目減りすれば、貸し出しに影響し景気を下押しする恐れがある。一部大手銀行は、個人向け劣後債を相次ぎ発行するなど、昨秋から大手各行の資本増強の動きが加速している。

 一方、国内大手生保9社は、株式の含み益がゼロになる日経平均株価水準を開示している。それによると、9日の日経平均株価7,086円で6社が株式含み損になった模様だ。だが、残りの3社も株式含み益は大幅に縮小していると見られる。しかし、各社とも株式の売却を進めるなどして、以前よりは株安に強い経営体質になっている。現在の株価水準でも、ソルベンシーマージン比率は、9社すべてが健全性の目安となる200%を大幅に上回ると見られる。


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(2) 公的資金、地銀3行に注入決定(3/14) **

 金融庁は、金融機関に公的資金を予防的に注入する新しい金融機能強化法により、1,210億円の注入を正式に決めた。内訳は、北洋銀行に1千億円、南日本銀行に150億円、福邦銀行に60億円だ。3月末までに注入する。景気の悪化によりメガバンクや有力地方銀行にとっても、自己資本の増強は不可避だ。自力によるか、公的資金を選択するか。銀行の資本政策が来年度の焦点になりそうだ。

 今回注入が決定した三行は、いずれも第二地銀で有力地銀に比べると、規模は一段と小さい。金融庁は来年度に規模の大きい銀行への注入を模索するが、大手銀行や有力地銀は、国に頼らずに独自に自己資本を調達する姿勢を崩していない。

 株価は軟調で、経済状況によっては自己資本にさらに低下圧力がかかり、追加の資本調達を迫られる可能性もある。大手銀行は、いずれも「現時点では公的資金を受けなくても、一定以上の信用力のある企業への融資に十分対応できる」としている。


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{世界経済}

(1)世界の工場稼動6〜7割(3/13) ***

 自動車や半導体など世界の工場の稼働率が、通常の8〜9割から09年は通年で6〜7割にまで落ち込む見通しだ。新興国の需要増をにらんで生産能力を拡大したところ、世界同時不況による需要減に見舞われた。需要低迷の長期化で、世界の市場規模が不況前の07年の水準に戻るのは、12年以降になるとの見方も出ている。在庫調整が進んでも、生産設備の余剰感が来年以降も続き、企業収益の改善への足かせになる可能性が出てきた。


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[アメリカ経済]

(1)米住宅ローン、焦げ付き拡大(3/10) ***

 アメリカ金融危機の発生源の住宅ローンの焦げ付き問題が、一段と深刻になってきた。実体経済の悪化で、08年10〜12月期の延滞、差し押さえ率は、過去最高を更新した。アメリカ政府は、公的資金750億ドル(約7兆3,500億円)を投じる差し押さえ防止策をまとめたが、延滞や差し押さえは、年明け以降も高水準で推移している模様だ。変動金利型ローンの約3割は、これから金利改定に伴い返済負担が増加する時期を迎えるだけに、追加対策を迫られる可能性もある。


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