[景気動向]

(1)日銀6月短観、景況感2年半ぶり改善(7/1) ***

 日銀の6月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業製造業でマイナス48と、過去最悪だった3月の前回調査(マイナス58)から10ポイント上昇した。改善は、06年12月以来だ。3ヶ月先の見通しでも改善を見込んでおり、輸出などの持ち直しを背景に急速な悪化には歯止めがかかった。ただ、設備や雇用の過剰感は解消されておらず、09年度の設備投資計画は、前年度比24.3%の減少に下方修正された。

 業況判断DIは、景況感が良いと答えた企業の割合から悪いと答えた企業の割合を引いた値だ。

 大企業非製造業では、DIはマイナス29と前回調査から2ポイント上昇した。2年半ぶりに改善したが、小幅上昇にとどまった。中小製造業のDIは、マイナス57と横ばいだ。中小非製造業はマイナス44と、2年3ヶ月連続で悪化した。

[業況判断指数DIの動き](カッコ内は前期比)
大企業製造業 −48(10)
大企業非製造業 −29( 2)
中小企業製造業 −57( 0)
中小企業非製造業 −44(−2)


[財政]

(1) 民主、政権公約17兆円財源に課題(7/1) **

 民主党は、次期衆院選のマニフェスト(政権公約)の概要を固めた。子供手当て支給や高速道路無料化の一部実施といった目玉となる家計向け支援を、2010年4月から実施する。新規政策に必要な財源は約17兆円だ。年金制度改革などで与党との違いを鮮明に打ち出しているが、外交・安全保障では良好な対米関係をどう築くかという課題を抱えている。

 10年度にはガソリン税などの暫定税率を撤廃するほか、高校の無償化も実現する。子供手当ては、10〜11年度に月額1万3,000円を支給、12年度からは2倍に増額する。11年度には、高速道路の無料化を拡大し、医学部の定員増など医師不足にも取り組む。農業の個別所得補償は、12年度からの導入となる。

 公約に説得力を持たせる上で、課題になるのが財源の確保だ。新規の主要政策にかかる経費は、10年度に7兆円、13年度に17兆円程度となる見込みだ。17兆円のうち、約9億円を無駄使い削減、8兆円を財政投融資資金特別会計の積立金など埋蔵金や政府資産売却、増税で確保する方針だ。

 マニフェストでは、社会保障問題にも重点を置く。年金記録問題や厚生労働省の不祥事で、政府・与党への逆風が強まっており、年金制度改革を最大の争点に掲げる。職種により異なる制度を一元化し、消費税を財源とする月額7万円の最低保障年金を創設する。すべての人が所得比例年金と最低保障年金に加入するシンプルな仕組みとし、年金制度への不振を取り除く狙いだ。ただ、新制度への以降には時間がかかるとして、実施を14年度としている。制度改革は4年間で追加経費は生じないが、将来の消費税率上げは不可避で、いずれかの段階で税率引き上げが実行される。

 地方分権では、中央省庁が細かく使い道を決めるひも付き補助金を見直し、地方が自由に使える一括交付金に改める路線は堅持する。

 霞ヶ関改革も重要な柱だ。天下り全廃や、公益法人などの支出をチェックして、税金の無駄使いを減らす狙いだ。政治主導の政策決定を目指し、副大臣や政務官を増員し、100人以上の与党議員を政府内に入れる。


[雇用情勢]

(1) 失業率5.2%に悪化(7/1) ***

 総務省によると、5月の完全失業率は5.2%と前月から0.2ポイント悪化した。厚生労働省による5月の有効求人倍率も0.44倍となり、前月比0.02ポイント下がり過去最悪を記録した。生産に持ち直しの兆しが見られる一方、雇用情勢は依然厳しい状況が続いている。厚労省は、雇用判断を5ヶ月ぶりに下方修正した。

 失業率は、15歳以上の働く意欲がある人のうち、職に就いていない人の割合だ。5.2%は、03年9月以来だ。完全失業者数は前年同月比77万人増の347万人で、増加幅は過去最大だ。就業者数は、136万人減の6342万人だった。総務省は、「生産は上向いているが、水準は低く、雇用の増加には結びついていない」と分析する。

 一方、有効求人倍率は、ハローワークで職を探している人について、一人当たり何件の求人があるかを示す。有効求職者数が前月比2.4%増だった一方、有効求人数は2.2%減に落ち込んだことが影響した。都道府県別には、最も高かったのが香川県の0.71倍、最低が青森県の0.26倍だ。

 雇用悪化に加え、賃金も減少している。厚生労働省の5月の全産業の現金給与総額は、前年同月比2.9%減と12ヶ月連続で減少した。一人当たりで平均26万7395円だ。残業時間も、全産業ベースで前年同月比約2割減少した。