[景気動向]

(1)景気の3大リスク−雇用、欧米経済、デフレ(7/17) ***

 政府の経済財政諮問会議の民間議員は、17日の会合で景気の下ぶれリスクとして、雇用の急激な悪化、欧米経済の長期停滞、デフレスパイラルの3つを挙げ、それぞれに適切な対応を求める提言をする。

 日本経済は、足元で一部に回復の兆しがあるが、先行きに不透明感も根強い。民間議員は、景気回復の遅れが若年層や非正規労働者の雇用環境を一段と悪化させ、所得や投資が減る悪循環に陥るリスクを指摘する。

 雇用が急速に悪化した場合、失業者の年齢別分布や失業の理由などについて分析し、その結果を職業訓練プログラムなどに生かすように求める。政府が経済対策で打ち出した雇用対策は、周知が不十分との認識から、いつから実施されるかなどを明確に示すことで、国民の不安感を抑えることも要請する。

 一方、欧米経済の回復が遅れたり、国際金融市場が再び混乱したりする事態も想定する。内閣府・財務省と金融庁が連携し、経済政策と金融システムの監督が連携して実施されるように求める。デフレ懸念が浮上していることも念頭において、政府と日銀が密接な情報交換をすることも要請する。


[環境問題]

(1)トヨタ、マツダとハイブリッド技術で提携(7/16) ***

 トヨタ自動車とマツダは、ハイブリッド技術で提携する方向で最終調整に入った。トヨタがハイブリッド車の基幹装置を供給する。マツダは同装置を組み込んだハイブリッド車を2013年にも発売し、同分野に進出する。年間10万台規模の販売を目指す。マツダの筆頭株主のフォードが、経営不振のためマツダ株の一部を手放したのを契機に提携先をトヨタに切り替え急成長市場に参入する。トヨタは、ハイブリッド車強化の一環として、10年に欧州でも完成車の生産に乗り出す。同車の本格的な普及段階に入ったことで、環境技術を軸にして新たな世界的な提携の組み替えが動き出す。

 これは、マツダがハイブリッドの基幹装置の供給を依頼し、トヨタが応じる方針を固めた。トヨタが基幹装置を本格的に外部供給するのは初めてだ。04年にフォードに、06年に日産自動車にも供給しているが、実際の販売は小規模にとどまっている。

 トヨタは、電池やモーター、制御ユニットなどをグループの部品メーカーから供給する。部品をまとめたハイブリッド基幹装置として、供給する案が有力だ。マツダへの供給で収入を得ると同時に、量産効果を引き出し、自社に搭載するハイブリッド基幹装置のコスト削減効果を見込む。

 マツダは、主力の中型乗用車に搭載して販売する。これまでは15年にハイブリッド市場に本格参入する予定だったが、トヨタからの供給を受け、発売時期を前倒しする。ハイブリッドの専用車を新規開発することも検討する。

 一方、トヨタはハイブリッドを世界販売拡大の戦略車と位置づけている。基幹装置の外販に踏み切ると同時に、10年に主力の英国工場で欧州向けのハイブリッド車生産に乗り出す。小型車「オーリス」にハイブリッドタイプを設ける。年間2〜3万台を生産すると見られる。基幹装置は、日本から輸出する。現在は、欧州にプリウスなどのハイブリッド車を日本から輸出している。現在5%程度にとどまる欧州での販売シェアの拡大に結びつける狙いもある。トヨタは、現在、日本、米国、中国でハイブリッド車を生産しているが、欧州では初めてだ。世界四極での生産体制を整える。

 ハイブリッド技術の開発には、巨額の投資が必要な上、国内を中心に急速に普及している。トヨタはグローバルで販売台数の拡大を進める一方、グループの枠を超えた供給を進め、収益改善を目指す。