1月第5週(1/25〜1/31)(最高3つの*)

メインテーマ: 景気後退07年11月から
その他のテーマ: 12月失業率4.3%、雇用一段と低迷
12月鉱工業生産9.8%低下
10〜12月期アメリカ実質GDP成長率マイナス3.8%成長
ロシア、10年ぶり財政赤字

[景気動向]

(1)景気後退07年11月から(1/30) ***

 内閣府は、学識経験者による「景気動向指数研究会」を開き、02年からの景気回復が途切れ、いまの後退局面に転換した「景気の山」を07年10月と判定した。戦後最長の景気回復は69ヶ月で終わり、07年11月から後退局面入りしたことになる。この結果、足元の景気後退がすでに1年以上続いていることが判明した。

 アメリカでは、日本とほぼ同時期の07年12月からの景気後退入りを認定した。ユーロ圏も08年7〜9月期に二・四半期続けてマイナス成長となり、後退局面入りが確実視されており、日米欧の同時後退が明確になった。

 日本の戦後の後退局面は、平均16ヶ月で終わっている。今回の判定で、現在の景気後退が15ヶ月目には入っていることがわかった。来月で平均に並ぶと見られ、平均を上回るのはほぼ確実だ。

 先行きの不安材料としては、多くのエコノミストが家計消費の腰折れが成長を下押しするリスクを指摘した。また、雇用減の影響が家計消費に悪影響を与える恐れもある。円高も輸出企業の収益を悪化させるだろう。

 今回の最長景気は、過去の景気と比べ成長率が低いまま終わったのが特徴だ。期間中の実質GDP成長率は平均2.1%だ。86年末からのバブル景気の平均5.4%の半分以下だ。物価が下がるデフレが続き、生活実感に近いとされる名目成長率の平均はわずか0.8%だ。家計には実感なき回復だった。低成長でも戦後最長の景気を支えたのは、企業部門だ。輸出の伸びは平均10%で、回復期間の成長に対する輸出の貢献度は6割に達した。輸出頼みの回復の構図が鮮明である。これを追い風に企業は設備投資を増やした。円安と日銀がとった超低金利政策も恩恵となり、07年度にかけて過去最高益を計上する企業が相次いだ。

 過去の大型景気に比べ豊かさを感じにくかったことは否定できない。グローバル化で人件費の安い新興国との競争が企業経営者に賃上げをためらわせた。輸出増から賃金増への好循環が起こらなければ、自津的な景気回復にはならない。デフレについても、政府の脱却宣言には至らなかった。


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[雇用情勢]

(1)12月失業率4.3%、雇用一段と低迷(1/30) ***

 世界的な景気後退で、国内の生産活動や雇用情勢の悪化が加速している。総務省によると、08年12月の完全失業率は4.3%と前月比0.3%悪化した。企業の減産や工場閉鎖などが相次ぎ、非正規労働者を中心に職を失う人が増えている。物価の上昇には歯止めがかかってきたが、デフレ懸念も生じている。

 企業のリストラによる失業が急増し、雇用削減の動きが非正規社員から正社員へと波及してきている。

 完全失業率は、15歳以上の働く意思のある人のうち、職についていない人の割合を示す指標だ。完全失業者は、前年同月比39万人増え、270万人となった。厚生労働省によると、12月の有効求人倍率は0.7倍と前月を0.3ポイント下回った。有効求人倍率は、ハローワークで職を求めている人一人当たりに何件の求人があるかを示す。同倍率が一倍割れした都道府県は、東京、愛知、香川を除く44にのぼった。正規社員に限った有効求人倍率は、前月比0.03ポイント低下の0.47倍となり過去最低を更新した。

 景気の先行指標である新規求人数は、前年同月比12%減だ。医療・福祉分野などで前年同月比プラスに転じたが、製造業は43.7%減とマイナス幅を拡大した。

 厚生労働省は「現下の雇用情勢は厳しさを増している」と2ヶ月連続で雇用情勢に関する基調判断を下方修正した。また、総務省が発表した08年平均の完全失業率は、前年より0.2ポイント高い4.0%と6年ぶりに悪化した。


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[企業部門]

(1)12月鉱工業生産9.8%低下(1/30) ***

 経済産業省によると、08年12月の鉱工業生産指数は84.6となり(05年=100)、前月比9.8%低下した。3ヶ月連続で低下し、マイナス幅は1953年2月以降で最大であった。生産水準としては、87年9月以来の低さだ。1,2月も大幅な減産が続く見通しだ。前年同月比では、20.6%低下で最大のマイナス幅だ。同省も、生産の基調判断を前月と同じ「急速に低下している」とした。四半期ベースで10〜12月期は前期比11.9%低下で、四期連続の落ち込みとなった。08年通年の生産は、前年比3.4%低下で6年ぶりのマイナスとなった。


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[アメリカ経済]

(1)10〜12月期アメリカ実質GDP成長率マイナス3.8%成長(1/31)***

 アメリカ商務省によると、昨年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)速報値は,前期比年率換算で3.8%減少し27年ぶりの大幅な落ち込みとなった。前期の0.5%減に続き、2期連続のマイナス成長となった。経済情勢悪化は年明け以降も続いており、アメリカの景気後退は戦後最長のものになる可能性が高まってきた。オバマ大統領は、景気の深刻化のため、議会で審議中の景気対策の早期成立を訴えた。

 08年の実質成長率は1.3%で、01年の0.8%以来7年ぶりの低水準となった。ただ、年間でのマイナス成長は回避した。

 前期に17年ぶりに減少した個人消費は3.5%減で、マイナス幅は前期より0.3ポイント小さかったが依然として大幅な縮小だ。民間設備投資は19.1%減と、急速に悪化した。民間住宅投資は23.6%減と大幅に低下した。ここ数四半期は輸出が成長を支えていたが、今期の輸出は19.7%減と35年ぶりの減少幅となった。このような中で、1.9%増の政府支出が需要を下支えしている格好だ。

 GDPデフレーターはマイナス0.3%となり、デフレ懸念を印象付けた。09年に入っても、大規模なレイオフが相次いでいる。戦後最長の景気後退は、73年11月からと81年7月からの2回で、1年4ヶ月続いた。今回は、戦後最長の景気後退となる公算が大きい。


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[ロシア]

(1)ロシア、10年ぶり財政赤字(1/26) ***

 ロシアの2009年の財政収支が、黒字見通しから一転10年ぶりの赤字に転落する模様だ。原油価格の下落により、歳入が大幅に減少するためだ。下落が止まらない通貨ルーブル防衛のため外貨準備高も急減している。金融危機は、資源国として潤ったロシアの経済を大きく揺さぶっており、今年の国内総生産伸び率は、11年ぶりにマイナスとなる可能性が高まっている。

 プーチン首相は、執行が始まっている09年予算を全面的に見直すように指示した。原油価格の下落のためだ。現行予算は1バレル95ドルを前提にしているため、現実的ではなく、同41ドルで予算の再編成を求めた。歳入のうち約4割を石油・ガス輸出に依存するといわれている。

 赤字幅は、GDP比で5%超(約2兆1千億円)となる見込みで、赤字分は石油輸出代金の一部を積み立ててきた「準備預金」(残高4兆ルーブル強)を取り崩して穴埋めすることが決まった。

 GDPも下方修正が不可避だ。先行きも不透明感が強まり、ルーブルの対ドル相場は昨年7月の高値から4割強も下落した。危機感を強めた中央銀行は、今後2ヶ月間は事実上約10%のルーブル安しか容認しない姿勢を示した上で、ドル売り介入する意向も表明した。


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