1月第2週(1/4〜1/10)(最高3つの*)

メインテーマ: アメリカ雇用、戦後最悪の減少
その他のテーマ: 日銀、新供給策で1.2兆円
アメリカの財政赤字、09年度はGDP比8%
トヨタ、太陽電池車で挑む
談合・カルテル、企業の不服、裁判で処理

[金融情勢]

(1)日銀、新供給策で1.2兆円(1/9) ***

 日銀は、社債などを担保に一定の利率で資金を貸し出す新型の公開市場操作(オペ)を実施した。担保の範囲内であれば、政策金利と同じ0.1%で無制限に資金を貸し出す。金融機関が企業に融資をしやすくなるようにし、年度末を控えた企業の資金繰り悪化を防ぐ。第1回のこの日は、1兆2,248億円を1月14日から4月3日まで供給することになった。日銀が通常実施しているオペに比べ、条件が有利であることから応募が膨らんだ。

 新型オペは「企業金融支援特別オペレーション」と呼び、4月末までの時限措置だ。社債のほか、企業が発行して金融機関が保有しているコマーシャルペーパー(CP)や手形などを担保とする。今月から毎月2回ずつ計6回実施する予定で、日銀は計3兆円程度の資金供給が見込めるとしている。

 金融機関の企業向け貸し出しは慎重姿勢が続いており、企業のCP発行額も急減している。新型オペで金融機関がもつCPを担保に日銀が資金を供給すれば、金融機関は企業への融資を増やしたり、CPを引き受けたりしやすくなる。日銀は、これ以外にもCPを金融機関から買い取る形で資金を供給することなどを検討している。


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[アメリカ経済]

(1)アメリカの財政赤字、09年度はGDP比8%(1/8) **

 アメリカ議会予算局は、2009会計年度(08年10月〜09年9月)の財政見通しを発表した。景気後退による税収減や金融危機対策などで、財政赤字は一兆一千八百六十億ドル(約百十兆円)に達すると予想した。前年度の2倍以上に悪化し、過去最大を更新すると予測した。GDPの8.3%に相当する。しかし、オバマ次期大統領の準備中の景気対策を反映しておらず、実際の赤字額がさらに膨らむのは確実だ。オバマ氏は、景気対策の規模について、二年間で七千七百五十億ドル(約七十二兆円)程度とする考えを示唆した。

 09会計年度の財政赤字の対GDP比は、08年度の3.2%から大幅に上昇する見込みで、戦後最悪の水準に悪化する。アメリカ国債などドル資産の信認が低下し、機軸通貨であるドルの売り要因になる。同予算局は、09年の実質成長率をマイナス2.2%と予測した。失業率は、前年の5.7%から8.3%に悪化すると予測した。


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(2)アメリカ雇用、戦後最悪の減少(1/10) ***

 アメリカ労働省が発表した08年12月の雇用統計によると、失業率は7.2%と前月から0.4ポイント上昇、約16年ぶりの高水準である。同月の非農業部門の雇用者数は前月比52万4千人減り、11月(58万4千人)に続く大幅減である。08年は、年間ベースで258万9千人減で、第二次大戦が終った1945年(275万人減)に次ぐ大幅な減少だった。金融危機で深刻化した実体経済の落ち込みで、雇用の収縮も戦後最悪の情勢になってきた。

 08年の雇用者数の4分の3は、9月以降の4ヶ月間に集中した。リーマン・ブラザーズの破綻を機にした金融危機が、貸し渋りなどの形で企業や家計に波及した。レイオフ(一時解雇)に踏み切る企業が急増したためだ。


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[環境問題]

(1)トヨタ、太陽電池車で挑む(1/1) ***

 戦後初の連結営業赤字に転落するトヨタ自動車で、太陽電池車の開発計画が進んでいる。ハイブリッド車でもなく燃料電池車でもなく、もちろんガソリンなど一滴も要らない。太陽エネルギーだけで走り、現在のガソリン車を代替する究極のエコカーだ。まずは、住宅や車に設置した太陽パネルで起こした電気で車を走らせる。最終的には、車のパネルだけをエンジン代わりに、どこまでも走る車を目指す。実用化には数年かかるが、かつてない経営環境の中で、開発には一段と力が入る。

 自動車は、石油の時代に二十世紀の申し子だった。ゼネラル・モーターズ創業やT型フォード販売開始から、ほぼ百年だ。アメリカビッグスリーは経営危機に陥り、最強トヨタもリストラに無縁でいられる保証はない。

 このなかで進む技術革新は、中身が違う「クルマ」への転換を促し、石油の世紀の終わりをもたらすだろう。


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[競争政策]

(1)談合・カルテル、企業の不服、裁判で処理(1/6) **

 公正取引委員会は、独占禁止法違反の審判制度を見直す方針を固めた。審判制度には、「検察官が裁判官を兼ねるようなもの」と公平性を疑問視する声が多い。公取委は、談合やカルテルは企業が直接裁判所で争える制度を検討している。不当廉売などは、企業側の主張を聞いて処分を決める事前審判制度に改める方向だ。現在の制度では、公取委の処分に不服がある企業は、裁判の一審に当たる審判を要請する。申し立てを受けた公取委は、自ら下した処分の是非を事後的に判断する仕組みになっている。それに不服の企業は、高等裁判所に審理を申し立てる。ただ、審判で処分が見直されたケースは、10年間でわずか1件だ。審判制度には、経済界からの批判が根強くあった。

 検討案は、事後的な審判制度を廃止し、違反行為のうち談合やカルテルについては、企業が直接裁判所に対し不服申し立てできるようにする。これらは違法性が明らかで、裁判審理になじみやすいとの判断だ。一方で、不当廉売などの不公正な取引や企業合併など専門的な審判が必要な案件は、公取委が処分に先立って企業の主張や証拠を調べた上で処分内容を決める「事前審判制度」に改める。

 この改正案を今通常国会に再提出し2010年中の施行を目指す。ただ。経済界や民主党は、審判制度の全面廃止を求めており、一段の修正を求められる可能性がある。


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