2月第1週(2/1〜2/7)(最高3つの*)
メインテーマ: | 「アメリカ雇用、逆風強まる」 |
その他のテーマ: | 「6大銀行、大幅減益」 |
「アメリカ、保護主義強める」 |
(1)6大銀行、大幅減益(2/7) ***
大手銀行の業績が、急速に悪化してきた。6日出そろった大手6グループの08年の〜12月期の最終利益は、前年同期比で89%減だ。米住宅ローン問題では傷が浅かった邦銀も、株安と不良債権処理のダブルパンチに苦しんでいる。
業績悪化の最大の要因は、昨秋からの株安だ。保有株の損失処理額は6グループ合計で約1兆円に上った。銀行と取引先が株式を持ち合う日本独特の慣習のため、邦銀は大量の株式を所有する。その分株安の影響を受けやすく、ITバブル崩壊後の株価低迷でも数兆円規模の損失に苦しんだ。米住宅ローン問題による直接の損失は限定的だが、実体経済の悪化で弱点を直撃された格好だ。日銀によると、大手銀行の保有株は01年の約27兆円に比べ06年に半減した。しかし、その後は減少のペースが鈍っている。景気拡大期に株価が回復して、銀行経営者の緊張感が緩んでしまった格好だ。
金融危機で社債などの発行が難しくなり、大企業は銀行借入への依存度を強めている。この数年伸び悩んでいた大手銀行の貸出残高は、9月末からの3ヶ月間で約9兆円増えた。しかし、こうした特需に対応しきれているとはいえない。保有株式の値下がりで銀行の自己資本が目減りし、貸出余力が低下したからだ。
しかし、悲観一色ではない。本業のもうけを示す実質業務純利益は、ほぼ前年並みだ。ただ、景気低迷が長引けば、収益を確保するにはコスト削減を進めるしかない。店舗の統廃合や出店のペースを落とすことなどが進められている。
(1)アメリカ、保護主義強める(2/4) ***
アメリカ議会が景気対策法案に盛り込んだ「バイアメリカン」条項が波紋を呼んでいる。公共事業でアメリカ製の鉄や鉄鋼の使用を義務づける下院案の可決に続き、上院も対象を工業製品全般(金属の建築資材やコンクリート、セメント、木材、化学製品など)に広げた法案の審議に入った。これに対し、主要貿易相手国は反発を強め、アメリカ国内からも批判が出ている。
日本企業が直接打撃を受ける品目は少ないが、カナダやアメリカ向けに資材を輸出する途上国などが打撃を受ける公算が大きい。ただ、対象が政府調達全般に広がれば、コンピューターや自動車などに影響が及ぶ可能性がある。ただ、同条項にはアメリカ製品の供給量や品質に問題がある場合やコストが25%以上上昇する場合には、適用を除外する例外規定も盛り込まれている。
もっとも、政府・議会は一枚岩ではない。同条項は、内外企業を差別しないように定める世界貿易機関(WTO)の政府調達協定に違反する可能性がある。オバマ政権はバイアメリカン条項への懸念を理解し、見直しに着手する考えを示唆している。法案が議会を通過した場合は、大統領に判断が委ねられる。
(2)アメリカ雇用、逆風強まる(2/7) ***
アメリカで雇用の落ち込みが加速している。1月の失業率は7.6%へと上昇し、雇用者数の減少幅は、34年ぶりの大きさとなる59万8千人を記録した。自動車をはじめとする減産や、昨年のクリスマス商戦の惨敗に見られる消費の不振が響き、雇用を手控える傾向が一段と強まっている。
単月の雇用者数の減少は、昨年1月から始まった。その間、雇用減は合計360万人に達した。落ち込みが1年以上続いた例は過去にもあるが、今回のように月間60万人に迫るペースで3ヶ月も続けて急落した局面は戦後初めてだ。背景には昨年9月以降の金融危機にとどまらず、自動車の危機がその他の産業に広がる構図がある。自動車はガラス、シート、オーディオ機器など関連する産業のすそ野が広い。ビッグスリーや日本勢の工場が生産を止めれば、減産と雇用の縮小が他業種に及びやすい。
その他の業種の雇用者数も大幅に減少し、製造業の雇用者数の減少幅20万7千人は、建設の減少幅のほぼ2倍に達した。生活必需品を除く大半の消費は、回復の兆しが見えず、新車販売の急減は車社会のアメリカで百万人を超す雇用の受け皿であるディーラーを直撃する。
オバマ政権は、公共投資の拡大や失業対策を盛り込んだ景気対策の迅速な実施を訴えてきた。同時に、公的資金を使った金融安定化策により金融危機の打開を目指す。雇用の面では、政策効果が早めに出ると見られる建設や金融がいつ立ち直るかが焦点だ。