[財政]
(1)一般会計、最大の92兆円前後(12/24) ***
10年度の政府予算案の大枠が23日固まった。焦点の地方交付税は、地方への配慮を鮮明にするため、09年度当初予算より1兆700億円上積みし、16兆8900億円とすることで合意した。診療報酬は、医師不足に対応するため、10年ぶりに引き上げ増減率を示す改定率をプラス0.19%とする。一般会計総額は、過去最大の92兆円前後に膨らむ見通しだ。
診療報酬は、36兆5000億円程度と見込んでいたが、改定で約700億円増加した。このうち、納税者が負担する国庫負担は、約170億円増える。増額改定は、医師不足など疲弊する医療現場の再生が狙いだ。薬価を引き下げる一方、医師の技術料を引き上げる。救急や産科など緊急治療を担う病院の入院医療に4000億円を配分する。
財政悪化で保険料引き上げが迫られている中小企業の従業員らを対象としている協会けんぽへの支援策では、国庫補助率を来年7月に13%から16.4%に引き上げ、国費610億円を追加投入する。大企業の健康保険組合に330億円、公務員らの共済組合に230億円の拠出も求める。これにより、協会けんぽの来年度の保険料率は、0.6%抑制できるという。
子供手当ては、所得制限を設けず、中学生まで一人当たり月額1万3000円を支給する。地方自治体と事業主は、現行の児童手当での負担を維持する。
高校授業料の無償化では公立高校生のいる世帯は、授業料を徴収しない。私立高校生がいる世帯は、年額12万円を助成する。さらに、年収250万円未満は約12万円、年収350万円未満は約6万円を上乗せする。
概算要求の段階で95兆円に膨れ上がった一般会計は、公約の見直しや、事業仕分けを反映して92兆円前後となる見通しだ。政策的経費である一般歳出は、過去最大の53兆円前後となりそうだ。歳入では、国債発行額を約44兆円以内に抑制する。税収で37兆円程度、税外収入が10兆円程度で、92兆円前後の財源を確保する。
(2)税制大綱決定、控除15歳以下は廃止(12/23) **
政府は、22日の臨時閣議で、民主党政権では初の税制改革を盛り込んだ2010年度税制改正大綱を決定した。地球温暖化対策税(環境税)の11年度導入を目指す方針だ。ガソリン税の暫定税率は、形の上では廃止するが、環境のためガソリン消費を抑制するため、同率の特定税率を環境税導入までの間、本則税率に上乗せ課税する。所得控除の廃止などで約1兆円の増税となるが、子供手当ての創設などで家計の負担を軽減する。
家計に直結する税制改正の柱は、所得控除の見直しだ。所得税・住民税の一般扶養控除は、子供手当てを受給できる15歳以下の年少部分を廃止する。23〜69歳の成年部分は、手当てがなく増税となるため、所得から38万円を控除できる現行制度を維持する。
縮小が決まったのが、高校生がいる世帯に適用する特定扶養控除だ。16〜18歳の所得税の控除額を63万円から38万円に、住民税を45万円から33万円に減らす。 税調が最優先課題に掲げた租税特別措置の見直しは、約40の項目を廃止・縮減する。公約では1兆円超の財源確保を目指していたが、産業界などに配慮し、法人関係の祖特は大半を維持し、増収効果は1000億円にとどまった。
たばこは、来年10月から小売価格を1本あたり5円程度値上げし、1箱当たりの一般的な価格を400円にする。