[景気動向]

(1)12月の日銀短観、景況感3期連続改善(12/14) ***

 日銀が発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業でマイナス24となり、9月の前回調査(マイナス33)から9ポイント改善した。3期連続改善だが、前回の改善幅の15ポイントより縮小した。好調な新興国経済に牽引され、輸出や生産の回復が続いているが、円高やデフレが企業収益の圧迫要因となりつつある。09年度の設備投資計画は、大企業製造業で前年度比28.2%減と過去最大の減少幅となった。

 3ヶ月先の見通しは、大企業製造業でマイナス18と6ポイントの改善を見込むが、企業の景況感は、依然、大幅な水面下での推移が続く見通しだ。

 12月のDIをみると、自動車、鉄鋼業、電気機械など輸出関連産業を中心に景況感の回復が進んでいる。エコカー減税などの景気対策の効果も続いた。

 大企業非製造業の業況判断DIは、マイナス22だ。3期連続で改善したが、改善幅は2ポイントにとどまった。卸売り、運輸などは改善したが、飲食店・宿泊、不動産などの悪化が目立った。

 昨秋のリーマン・ショック後の急速な需要の落ち込みを背景にした設備や雇用の過剰感には和らぐ兆しも見える。しかし、2年連続の減益を見込む企業は、新たな設備投資や人員採用に慎重な姿勢を崩していない。

[12月日銀短観DI]
 (カッコ内は前回比)
大企業 製造業 −24(9)
非製造業 −22(2)
中小企業 製造業 −40(12)
非製造業 −35(4)


[アメリカ経済]

(1)FRB、危機対応策を縮小へ(12/17) **

 米連邦準備理事会(FRB)は、最重要の政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を、現行の年0〜0.25%に据え置くことを決めた。一方、金融市場の改善を受け、緊急時を想定した短期資金供給制度の大部分を予定通り来年2月に打ち切る。ただ、各種証券を担保に銀行などに資金を供給する制度は、規模を縮小して続ける。

 世界の中央銀行とドル資金を融通する協定も同時に終えることで調整する。これは、日欧などの中央銀行が金融機関にドル資金を供給する際の原資に使われてきた。協定を終える背景には、金融機関がドル資金の調達に苦労しなくなった事情がある。

 FRBの金融危機への対応策は、縮小に向かう。


[ユーロ圏経済]

(1)南欧経済警戒、ユーロが下落(12/17) ***

 欧州の単一通貨ユーロの対ドル相場が下落している。南欧などのユーロ加盟国の財政赤字や、欧州金融機関の不良債権が改めて注目され、警戒感が広がっている。

 不安の発火点となったのは、ギリシャだ。10月に発足した中道左派政権が、前政権の統計処理に不備があったとして財政赤字を上方修正した。そのため、09年の財政赤字はGDP比で12%超に達する見通しとなり、一部格付け会社がギリシャ国債を格下げした。

 これを受けて、市場では多額の財政赤字を抱える国を不安視する動きが続いている。不動産バブルが崩壊し、失業率が20%に迫るスペインも国債格下げが取りざたされている。ポルトガル、イタリアを含めたPIGSと呼ばれる南欧諸国の経済基盤の弱さが指摘されている。

 ギリシャは、社会保障の圧縮を柱とする財政再建策を公表した。ただ、国民には抵抗感が強く、市場関係者は実行できるか注視している。スペインなどは増税を検討中だ。

 また、欧州金融機関の経営不振もユーロ売りの材料となっている。