[企業部門]

(1)上場企業、黒字に転換(8/2) ***

 日本経済新聞社が09年4〜6月期の上場企業の決算を集計したところ、1〜3月期に赤字に陥った全産業の連結経常損益は、黒字に転換した。売上高の減少傾向が続く中、世界同時不況による需要急減に直面した輸出企業は、工場再編や人員整理に踏み切り、製造業の赤字は計2,552億円と1〜3月期の約9分の1に縮小した。非製造業の経常利益も1兆2,336億円と38%増えた。

 自動車や電機を中心に合理化が進展し、新興国需要も下支えして製造業の赤字が縮小した。全産業の連結経常利益は、前年同期比78%減と低水準だが、企業業績は1〜3月期を底に最悪期を脱したとの見方が出てきた。

 集計は3月期決算企業616社で、株価の時価総額は全体の68%だ。

 中国など新興国の需要も支援材料だ。中国政府が家電買い替えを支援する景気刺激策を打ち出し、液晶テレビや携帯電話の販売が復調した波及効果もある。

 ただ、日本企業の海外収益の源泉だった欧米経済は、なお不安定だ。欧米など先進国市場が収縮したままでは、収益の本格回復は望みにくい。


[アメリカ経済]

(1)米企業も業績悪化に歯止め(8/2) **

 米企業業績の急速な悪化に歯止めがかかってきた。主要500社の09年4〜6月期の最終減益率は、前年同期比で29.5%と1ヶ月前に比べ6ポイント改善した。金融やハイテクなど幅広い業種で、予想を上回る決算が相次いでいる。ただ、人員削減などリストラ効果が支えとなっており、景気低迷の中で増益に転じるには時間がかかりそうだ。

 08年10〜12月に、42.1%と最大を記録した減益率の縮小傾向が鮮明になってきた。米主要企業の減益は、07年7〜9月から続いており、調査開始以来で最長の8四半期連続となっている。業種別の減益率は、素材が71%と最大で、エネルギーも67%と大きい。世界的な資源需要の低迷が響いている。


[EU経済]

(1)英中銀、量的緩和を拡大(8/7) ***

 イギリスの中央銀行であるイングランド銀行は、金融政策委員会で量的金融緩和の拡大を決めた。同銀行は、銀行の融資抑制で中期的に景気の回復力が弱まると判断した。量的緩和を拡大し、将来の景気低迷に備える道を選んだ。政策金利は、過去最低にある現行の0.5%に据え置いた。

 イギリス政府が認めた英国債などの買い取り額の上限は、従来1500億ポンド(約24兆円)だ。英中銀は、7月末1,250億ポンド(約20兆円)の買い取りを既に達成したと明らかにしていた。今回、買い取り枠を約500億ポンド(約8兆円)追加するのに伴い、上限も1,750億ポンド(約28兆円)に引き上げた。

 最近発表された景気先行指標は好転しているため、上限を引き上げて量的緩和を拡大したことへの意外感が強い。英中銀は「景気は回復しつつあるが、銀行の融資抑制が消費回復の重荷になる。世界経済はなお後退局面にあり、信用収縮が続いている」と先行きに慎重な見方を示している。英中銀は、90年代の日本のように景気回復が短期で失速する二番底を懸念しているといわれる。

 英国は、4〜6月期までGDPが5四半期連続でマイナス成長となるなど、景気後退が長期化している。この5ヶ月間でGDPの約1割に匹敵する大規模な量的緩和を実施したにもかかわらず、銀行融資は低迷が続く。

 英中銀は、6月の金融安定化報告書で「今後4年間に、英国の銀行が融資を5,000億ポンド削減する可能性がある」として、景気低迷が長引けば金融不安が再び頭をもたげると懸念を示していた。