4月第4週(4/19〜4/25)(最高3つの*)
メインテーマ: | 「昨年度、貿易赤字28年ぶり」 |
その他のテーマ: | 「産業再生法改正案きょう成立」 |
「国債増発、金利上昇リスク抱える」 |
(1)産業再生法改正案きょう成立(4/22) **
公的資金を活用した一般企業への資本注入が、いよいよ動き出す。対象となるのは、金融危機で資本が減少した企業で、かつ雇用規模が大きい企業で、政府は、出資対象となる企業を選定する4つの要件を固めた。公的資金投入という異例の措置には、将来的な返済を含めた出口のシナリオ作りも不可欠になる。
公的資金の活用を盛り込んだ産業活力再生法(産業再生法)改正案は、22日に成立する見通しだ。政府は、30日にも要件を告示し、施行する構えだ。要件は、次の4つである。
(1) 08年10月から09年9月までで四半期の売上高が前年同期比20%以上減少、もしくは半期で15%以上減少。さらに、金融機関の財務制限条項に抵触し新規借り入れが難しくなるか、自己資本が同25%以上減少。
(2) 国内従業員が5千人以上か、そうした企業に代替困難な基幹部品を3割以上供給している。
(3)民間金融機関が出融資を協調的に実施する。
(4)3年間で企業価値を向上させる(資本利益率を2%以上向上させる)事業計画を立てる。
ただし、恒常的に経営不振の企業は除く。民間の協調を条件にすることで、政府関与を小さくする。
企業はすべての要件を満たし、産業再生法の認定を受ける必要がある。認定企業には、日本政策投資銀行が優先株や優先出資証券を引き受ける形で資金を投入する。一社への出資額は数百億円を想定し、企業の業績が上向いた段階で、政投銀は株や証券を売却する。
新制度は、金融危機で資本不足に陥った企業を支援するのが目的で、政府は経営には直接関与しない方針だ。出資規模は、09年度当初予算では数千億円だったが、政府は先の追加経済対策で二兆円に積み増している。
(1)昨年度、貿易赤字28年ぶり(4/22) ***
財務省によると、2008年度の貿易統計速報では、輸出額から輸入額を引いた貿易収支は、7,253億円の赤字になった。赤字は、第二次石油危機直後の1980年度以来、28年ぶりだ。世界経済の悪化で自動車や半導体の輸出が急減した一方、原油高騰などで輸入の減少が抑制された。赤字転落は、輸出依存の経済構造のもろさを浮き彫りにしたといえそうだ。
貿易収支は、02年度以降、10兆円前後の黒字が続いたが、世界経済の減速で吹き飛んだ。輸出額は71兆1,435億円と、前年度比16.4%減少した。減少率は過去最大だ。一方、輸入額は、同4.1%減の71兆8,688億円だった。
(1)国債増発、金利上昇リスク抱える(4/21) ***
財務省は、追加経済対策に伴う国債増発額は財投債も含め17兆円弱に達する見通しを示した。安定消化の受け皿確保のため、市場からは3年債などの導入を求める声も浮上した。政府・与党には、日銀による買い入れ増額への期待も大きい。
追加経済対策の裏づけとなる09年度補正予算では、財源として建設国債を7兆3千億円、赤字国債を3兆5千億円それぞれ追加発行する。政府系金融機関などに国の資金を貸し付けるため、財投債も6兆〜6兆1千億円程度を増発する。新規国債の発行額は、過去最高となり、税収と国債発行収入が逆転する公算が大きい。財政健全化の道のりはさらに遠のく。
財務省は、国債市場の市場参加者の意見を聞いたが、「計16〜17兆円の増発は市場で消化できる」との声が大勢を占めた。
ただ、先行きには懸念が残る。背景としては、景気悪化に伴う税収の下振れと、年後半の追加経済対策に伴う増発の可能性だ。この場合には、金利上昇のリスクも否定できない。
08年度は、大手銀行が国債などの債券を約1兆8千億円買い越した。昨秋以降、安全資産とされる国債に投資を傾けている。しかし、このところ株価が持ち直しており、景気への過度の悲観論が後退している。これまでのように、投資家が買い続けるかどうか不透明だ。長期金利は、昨年末比0.3%強上昇した。さらなる、財政出動が金利に跳ね返るリスクもある。
財務省は、今回、超長期債から短期債まで満遍なく発行し、増発の影響を分散させる狙いだ。