4月第3週(4/12〜4/18)(最高3つの*)
メインテーマ: | 「欧州、温暖化ガス削減へ新法」 |
その他のテーマ: | 「自動車業界底上げ3,700億円」 |
(1)自動車業界底上げ3,700億円(4/14) **
政府・与党は、景気下支えのための事業規模58兆8千億円に上る過去最大の追加経済対策を決めた。それでも経済成長の押し上げ効果は、1%台にとどまるとの見方もある。景気浮揚効果は、どこまで期待できるのか。
麻生首相は、将来の成長の柱となる「三種の神器」に太陽電池、電気自動車、省エネ家電を挙げた。対策では、環境を切り口に、省エネ製品の普及と消費刺激を見込んだ購入補助策を打ち出した。
低燃費車の購入を促進する支援策が発表された10日以降、関東地方の自動車販売店には、1日数十件の問い合わせが相次いでいるという。支援策には、総額3,700億円を投入した。10日以降、新車登録から13年を超える車を廃棄して新車を購入すると
、普通乗用車で25万円の補助が出る。欧州で効果を上げている買い替え促進策が、自動車業界の後押しで採用された。しかも、新規購入でも補助を受けられる。
政府は、4月から始めた減税措置と今回の補助により、今年度の新車販売は、08年度の約2割に当たる百万台を押し上げるとの絵を描く。実際、13年超の車は国内保有台数の13%を占める1千万台弱だ。ここに補助を付ければ、買い替えが進むとの読みだ。新車は、13年前の車に比べ、燃費が約3割改善しており、低燃費車への切り替えは二酸化炭素の排出削減にもつながる。
3月の国内新車販売台数は、年間の最需要期にもかかわらず前年同月比で25%減だ。だが、同様の制度を、1月に導入したドイツでは2月の新車販売台数が同2割超増えた。
テレビ、冷蔵庫、エアコンなどを購入するとエコポイントが付与される省エネ家電の普及促進制度は、総選挙が近づく中で、「消費刺激」、「地上デジタル放送普及」、「ばら撒き排除」などの理念を共存させ、省エネ対策という横串を刺すことで与党内で決着した。
ポイント制の導入で、三種類の家電の09年度の販売台数は、08年度の1200万台を上回る3000万台を見込む。特に、地デジ対応のテレビは、09年度末までに増やす2000万台のうち、今回の対策で1500万台の上積みを期待する。
(1)欧州、温暖化ガス削減へ新法(4/16) **
欧州の主要国が相次いで、温暖化ガスを加速するための法整備に動き始めた。英仏は、2050年までに温暖化ガスを90年比7〜8割減らす関連法を導入する。ドイツも、エネルギー効率向上を推進する新法の制定準備を進めている。欧州連合(EU)が定めた全体目標に加え、各国が法的拘束力を持って、個別に企業や個人に削減努力を迫る。
イギリスでは、削減の柱となるのが排出量取引制度の拡大だ。一定の規模以上の企業や公共団体などについて取引参加を義務付ける。フランスでは、気候変動分野では、50年の温暖化ガス排出量を90年比で75%削減する目標を掲げた。フランスでは、老朽化したビルや住宅などでの暖房による排出量が多いことから、新法では、建築物の断熱改修に集中投資する枠組みを導入する。新築の建物には、厳しいエネルギー効率を義務付ける。ドイツでは、エネルギー効率向上を排出削減の重点項目と位置づけ、20年のエネルギー生産性を90年の2倍にまで高める法案を決定する。企業のエネルギー効率を向上させる義務的措置を盛り込んだ。
EUは、20年までに温暖化ガスを20%削減し、エネルギー利用を20%効率化する数値目標を導入済みだ。欧州各国はこれを踏まえて、法的な根拠のある自主目標を独自に制定し、目標達成のための国内制度を作り上げる。
国際社会では、京都議定書に続く地球温暖化対策の枠組み(ポスト京都議定書)の合意期限が、今年に迫っている。今月8日までの国連の作業部会では、ポスト京都議定書での先進国と新興国・途上国への削減義務割り当てを巡って、激しい応酬があった。欧州は、新法を通じて積極姿勢をアピールし、外交戦でも主導権の確保を目指す。