9月第4週(9/21〜9/27)(最高3つの*)
メインテーマ: | 「8月の消費者物価2.4%上昇」 |
その他のテーマ: | 「アメリカ金融機関、不良資産を切り離し」 |
「公的支援、計1兆ドル超す」 | |
「金融安定、景気回復の条件ーFRB議長の議会証言」 |
(1)8月の消費者物価2.4%上昇(9/27) ***
総務省が発表した8月の全国消費者物価指数(CPI)は、変動が激しい生鮮食品を除くベースで102.6と、前年同月比2.4%上昇した。これは、97年10月以来の高水準だ。ガソリンや食料品の価格が高止まりし、消費者心理の悪化を招いている。
CPIが前年同月を上回ったのは、11ヶ月連続だ。日銀が物価安定の目安とする「0〜2%」も2ヶ月連続で上回った。生鮮食品を含めたCPI(2.1%上昇)の伸びへの貢献度を品目別に見ると、ガソリンが0.69%分に達した。各社が値上げした電気代とガス代、灯油を含めたエネルギー全体では1.36%分あった。原材料価格高騰を背景とした値上げが続く食料は、0.89%分であった。9月以降はガソリンの値下げなど、物価の押し下げにつながる例も出てきている。ただ、景気後退局面に入る中で、賃金は伸び悩んでおり、内閣府が調べる消費者心理の指標は、過去最低の水準で推移している。
(1)アメリカ金融機関、不良資産を切り離し(9/21) **
アメリカ政府の不良資産買い取り案が、20日固まった。公的資金を活用し、不良資産を金融機関の貸借対照表から取り除く。ただ、金融機関が期待する価格で売却できるかどうかは不透明で、実行面での課題は多い。
これまで金融機関は住宅ローン関連の証券化商品などの価値目減りに対応して、引当金を積んできた。住宅価格が低下すると、追加損失が発生する。政府へ不良債権を売却すると、価格下落による追加損失は回避できる。
ただ、破綻している場合には経営者も交代しており、不良資産も分離しやすい。しかし、破綻していない金融機関の場合には、売却時に多額の損失が生じることを懸念し、制度の利用を見送る可能性がある。不良資産の買い取りは、一定の条件の資産について低い価格を提示した金融機関から優先して進めるとしている。
(2)公的支援、計1兆ドル超す(9/23) ***
アメリカ政府は、最大7000億ドル(約75兆円)の公的資金を活用した不良資産買い取り策の策定へ詰めの作業に入る。実現すると、連邦準備理事会(FRB)による公的支援額の単純合計は、住宅公社の救済分などを含めて1兆ドルを超える。
公的資金を使った不良資産の買い取りは、金融市場の不安を鎮める狙いがある。金融機能の立て直しに政府が介入する異例の対策である。住宅ローンなどをめぐる不良資産を放置する限り、金融機関の財務内容の好転は見込めず、市場の動揺も収まらないとの危機感が背景にある。2年の買い取り期間や公的資金の必要額にも言及し、短期間で不良資産の処分を一気に進めるための決意もうかがえる。しかし、過去の金融危機を振り返ると、金融の弱体化は、設備投資や住宅投資に表れた。そして、今回のサブプライムローン問題の衝撃は、98年のLTCMの経営危機や、90年の貯蓄金融機関の経営危機をはるかにしのぐとの見方が多い。不良資産の買い取り期間の2年を待たずに金融が正常化しなければ、景気の視界は一段と不透明になる。
(3)金融安定、景気回復の条件ーFRB議長の議会証言(9/25) **
アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が、議会証言で「市場の脅威に迅速に行動してほしい」と述べ、不良資産の買い取りを柱とする金融安定化法案の早期採択を訴えた。政府は、関連法案の週内成立へ議会と調整を続行中だ。金融機関経営者の報酬制限や、国民負担の最小化へ政府が株式取得権を保有するかどうかなどが、修正協議の残る焦点となっている。
金融安定化法案を巡っては、議会の主導権を握る民主党の主張を政府が受け入れる形で、資産の買い取りと売却の過程を監視する第三者機関の設置などが固まった。
ただ、公的資金の額が7,000億ドルと国防費を上回る額だけに、民主党を中心に議会側は経営責任の明確化や国民負担の最小化を要請している。国民負担の最小化に向けては、与野党から資産を買い取る金融機関の株式引受権を政府が取得する案が浮上している。政府が経営にある程度関与すると共に、将来の株式の値上がり益で公的資金を穴埋めする枠組みを求めている。
バーナンキ議長は、「制度をきちんと運用すれば、政府の損失は7,000億ドルを大きく下回るだろう」と説明した。政府は買い取った資産を将来売却し、差額だけを損失負担するため、買い取り費用がそのまま財政支出にはならないことに理解を求めた。 合同経済委員長のシューマー上院議員は、「法案可決への合意は形成されつつある」と表明した。金融安定化法案は、週内にも可決される可能性が高い。