9月第2週(9/7〜9/13)(最高3つの*)

メインテーマ: 「住宅公社2社救済、瀬戸際の歯止め策」
「欧州経済、低迷続く」
その他のテーマ: 「銀行にマネー滞留」
「アメリカ財政赤字、最大の4,380億ドルに」

[金融情勢]

(1)銀行にマネー滞留(9/9) **

 国内景気の減速を背景に、企業活動や株式市場に資金が向かわない傾向が鮮明になってきた。7月末の民間銀行の預金残高は、貸出金を150兆円弱上回り、過去最高水準となった。「貯蓄から投資へ」の流れが停滞している。預金に対する貸出金の比率を示す預貸率は、約7割に低迷している。株式市場や企業の設備投資にお金が回らなければ、日本の経済成長の足を引っ張りかねない。

 全国の銀行の預金は7月末で549兆円だ。これに対し貸出金は404兆円にとどまり、預金の超過額は、最高だった6月末に比べやや減少したが、145兆円に達する。2000年に20兆円程度だった預金超過額は、02年からの金融危機後に増え続け、預貸率は100%前後から70%台に低下した。サブプライムローン問題を受けた相場低迷で、株式や投資信託などのリスク資産を避けた個人のお金は預金に集まっている。一方、銀行貸出は、05年末から増加基調である。8月の民間銀行の貸出残高は、2.0%増加した。ただ、大企業が原材料高で、運転資金の調達を迫られる受身の資金需要だ。長期の貸出金は伸び悩んでいる。設備投資向けの貸出金は、07年夏頃まで前年比2〜3%のプラスだったが、その後失速し、7月末の残高は73兆円と前年比で横ばいにとどまる。

 中小企業向け融資も、昨年後半から減少基調が続いている。企業は守りの気持ちが一段と強くなっているという。銀行が融資基準を厳格化していることも、貸出に低迷につながっているとの見方もある。

 日本の家計は、預貯金を中心に約1,500兆円の金融資産を抱える。投資への流れが今後も停滞すれば、企業への成長資金が回らなくなる恐れもある。


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[アメリカ経済]

(1)住宅公社2社救済、瀬戸際の歯止め策(9/9) **

 アメリカ政府は、経営難に陥った住宅金融二公社に政府管理という究極の救済策に踏み切った。二社合計で2,000億ドルの優先株購入枠は、企業救済としては空前の規模だ。それでも住宅価格は下げ止まらず、景気も悪化するなか、今回の措置で金融不安が一掃できるかはなお未知数だ。

 大統領選を控え不人気な救済策を行わざるを得なかったのは、金融危機の連鎖でブッシュ政権が瀬戸際に立たされたためだ。世界の株式市場は、先週、売りの大破に襲われ、連邦住宅抵当公社、連邦住宅貸付抵当公社はいずれも株価10ドル割れの危機水準となった。株式だけでなく、国債並みの扱いを受けてきた両社の債券も売られだした。

 危機は重層的だ。米大手証券リーマン・ブラザーズは経営難に陥り、他の金融機関も住宅関連の損失処理に追われている。米地銀の破綻も相次ぐ。アメリカ政権は、政府管理という形で住宅公社への「暗黙の政府保証」の履行を迫られた。財産や経営の保全者として両社に乗り込むが、国有化や破綻処理と紙一重である。

 アメリカでは、07年のサブプライムローン問題表面化から、ほぼ1年で政府が両公社の債務超過防止を確約するなど、日本に比べ確かにスピード感はある。しかし、問題の根っこにある住宅価格はなお下げ続けている。住宅価格下落が金融機関の自己資本を傷つけ、貸し渋りを通じ企業や家計の足を引っ張る。8月の失業率が跳ね上がるなど、アメリカ経済の7割を占める消費の先行きも厳しさを増している。

 民間金融機関の経営が立ち行かなくなる前の段階での公的資金注入は、やはり納税者の理解は得られない。金融機関が実体経済の足かせになる局面はなお続きそうだ。


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(2)アメリカ財政赤字、最大の4,380億ドルに(9/10) ***

 アメリカ議会予算局は、09会計年度(08年10月〜09年9月)の財政赤字が4,380億ドルに膨らむとの見通しを発表した。これまでの最高額である04年度(4,130億ドル)を上回る見通しだ。対GDP比は3.0%に達する。住宅公社救済などで支出が膨らめば、赤字拡大が加速する可能性もある。

 減税などの景気対策やイラク駐留経費も重荷となり、財政赤字は07年度の1,610億ドルから08年度に4,071億ドル、対GDP比2.9%に拡大する見通しだ。GDP比の赤字は拡大基調だが。5〜6%台だった1980年代よりは小さい。

 財政見積もりの前提となる実質経済成長率は、07年度の2.0%から08年度が1.5%、09年度が1.1%に減速する。


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[欧州経済]

(1)欧州経済、低迷続く(9/11)***

 欧州景気の低迷が、今年後半も続く恐れが出てきた。欧州連合(EU)の欧州委員会(政府)は、経済予測でユーロ圏15カ国の08年の実質成長率を1.3%に大幅に下方修正した。実質でマイナス成長に落ち込んだ4〜6月期以降もほぼゼロ成長が続くとの判断を示した。ドイツ、スペイン、イギリスは、景気後退に陥るリスクがあるとしている。

 アルムニア欧州委員は、「1年以上に及んだ金融混乱や資源価格の急上昇、住宅市場の低迷などがユーロ権の経済に悪影響を与えた」と、景気減速と物価上昇の同時進行に警戒感を強めている。欧州委員会が4月に見込んでいたユーロ圏15カ国の08年の実質成長率は1.7%で、今回は0.4%の大幅な下方修正だ。EU27カ国の実質成長率も、当初予想に比べ0.6%低下の1.4%に減速した。ユーロ圏は、07年まで新興国向けの輸出増勢などに支えられて堅調だったが、アメリカの景気後退や不安心理拡大から設備投資や個人消費が弱含んでいる。

 原油や食料価格の高騰による物価上昇も大きな懸念材料だ。欧州委は、ユーロ圏の08年の消費者物価上昇率が今春予測に比べ0.5%高い3.6%になると想定した。 ユー圏では4〜6月期の域内総生産(GDP)が、1999年の通貨統合以来初めてマイナス成長となった。

 日米に続き、欧州のの景気減速感が今後さらに強まる懸念が出ている。


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