10月第5週(10/26〜11/1)(最高3つの*)
メインテーマ: | 「アメリカ0.5%追加利下げ、FF1%過去最低に」 |
その他のテーマ: | 「日経平均、一時バブル後最安値」 |
「鉱工業生産7〜9月1.2%マイナス、三・四半期連続で下落」 | |
「追加経済対策、事業規模最大の27兆円」 | |
「アメリカ、7〜9月期マイナス0.3%成長」 |
(1)日経平均、一時バブル後最安値(10/27) ***
東京市場で日経平均株価が、一時、03年4月28日につけたバブル経済崩壊後の最安値7,607円を下回った。節目と見られていた7,500円も一時割り込んだ。麻生首相は、緊急市場安定化策のとりまとめを指示した。主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁は、円の過度な変動を懸念しているとの共同声明を発表した。東京外国為替市場の円相場は、1ドル=94円台で取り引きされており、海外市場で一時90円台まで進んだ円高は一服している。
金融危機を引き金に世界景気が後退局面に入るとの見方は根強い。バブル崩壊後に7,600円台まで落ち込んだ日経平均は、デフレ脱却期待を背景に07年7月に18,261円まで反騰したが、1年3ヶ月で6割下落し、振り出しに戻った格好だ。08年はじめからの下落率は約5割で、欧米の主要指数よりも下げがきつい。
政府は、銀行保有株の買い取り再開など緊急市場安定化策の実施方針を打ち出したが、市場の反応は、ひとまず限定的であった。
輸出企業が今期業績の前提としている為替レートは、1ドル=105〜100円が中心だ。円高が想定より速いスピードで進み、企業業績の先行き不安が広がっている。投資家の慎重姿勢は引き続き強い。
(1)鉱工業生産7〜9月1.2%マイナス、、三・四半期連続で下落(10/29) ***
経済産業省によると、9月の鉱工業生産指数は105.8となり、前月比1.2%上昇した。ただ、7〜9月期の指数は前期比1.2%マイナスと、三・四半期連続で下落し、10月以降の生産も低下基調が続く見通しだ。世界的な金融危機の影響が実体経済に波及し、景気は当面回復の糸口をつかめない状況が続きそうだ。
経産省は、鉱工業生産の基調判断を前月までの「弱含みで推移」から「緩やかな低下傾向で推移」と三ヶ月ぶりに下方修正した。三・四半期連続のマイナスは、日本経済が景気後退局面にあった01年1〜3月期から10〜12月期まで以来約7年ぶりだ。
業種別には、半導体製造装置を含む一般機械、自動車などの輸送機械、IT関連の電子部品・デバイスなどの三業種が、外需の伸びの鈍化を背景に、全体の生産を大きく押し下げた。
(1)追加経済対策、事業規模最大の27兆円(10/31) ***
政府は、アメリカ発の金融不安による景気減速などに対する追加経済対策を決定した。融資枠拡大などを含めた事業規模は、過去最大の規模の約27兆円だ。実質的な財政支出となる真水は約5兆円で、財源には財政投融資特別会計などの「埋蔵金」を活用し赤字国債の発行は回避する。
対策の名称は、「生活対策」である。福田内閣が8月末に決定した総合経済対策の事業規模11.7兆円を大幅に上回り、98年に小渕政権がまとめた緊急経済対策に並ぶ。内需拡大に向けた家計支援や金融市場の安定化、地方の活性化支援(一般財源化した道路特定財源で1兆円を地方へ)を打ち出した。赤字国債の発行を避け、財政健全化との両立も明記した。ただ、約七千億円は建設国債の発行で賄う。
家計への緊急支援策では、全世帯を対象に総額二兆円の「生活支援定額給付金」を今年度中に現金かクーポンで給付する方針で、4人のモデル世帯で6万4千円になる見通しだ。子育て支援では、第二子以降の未就学児に年間3万6千円を「子育て応援特別手当」として支給する。
今年末に期限切れする住宅ローン減税は延長し、税額控除可能額を過去最高水準まで引き上げる。最大600万円とする方向だ。証券優遇税制は、上場株式などの譲渡益や配当への税率(本則20%)を10%に軽減する仕組みを来年以降3年間延長する。
中小企業への資金繰り支援では、対策の事業の大半となる約21兆円を充て、信用保証協会による緊急保証枠や政府系金融機関による貸付枠を30兆円規模に拡大する。
金融市場の安定化対策では、株価の乱高下を避けるため、空売り規制の強化を行う。また、金融機能強化法により、公的資金注入枠の2兆円からの拡大検討も明記した。
(1)アメリカ、0.5%追加利下げ、FF1%,過去最低に(10/30) ***
アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は、29日の公開市場委員会(FOMC)で最重要の政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.5%引き下げ、年1.0%とすることを全会一致で決定、即日実施した。8日の緊急利下げに続き、三週間で二回の利下げをする異例の措置だ。日銀や欧州中央銀行(ECB)も利下げを検討しており、日欧米の中央銀行は金融危機の克服へ国際的な政策協調を強化する。
FF金利が年1.0%まで下がったのは、04年6月以来、4年4ヶ月ぶりで、過去最低となった。FRBの利下げは、サブプライムローン問題が深刻化した昨年9月以降9回目だ。FF金利の下げ幅は、1年強で4.25%に達した。
FOMC終了後の声明は、個人消費の落ち込みを主因に「経済活動は著しく減速している」と指摘した。企業の生産性の低下や、輸出見通しの鈍化にも触れ、景気判断を一段と下方修正した。金融市場の混乱が消費をさらに抑制するリスクに言及し、景気後退は不可避との見解を事実上明らかにした。声明は、今回の利下げや各国中央銀行との協調行動が信用収縮の改善につながるとしながらも、今後も必要に応じ行動すると述べ、FF金利のゼロ%台への引き下げを視野に、一段の金融緩和も辞さない姿勢を示した。
FRBは、民間金融機関向けの貸出金利の公定歩合を年1.75%から0.5%引き下げ、年1.25%とすることを決めた。
(2)アメリカ、7〜9月期マイナス0.3%成長(10/31) ***
アメリカ商務相によると、7〜9月期の実質国内総生産(GDP)の速報値は、年率換算で前期比0.3%減だった。マイナス成長は、07年10〜12月期以来だ。金融危機の影響が本格化する08年10〜12月期もマイナス成長になれば、景気後退が確定する。
世界では、日本とドイツが4〜6月期、英国が7〜9月期にそれぞれマイナス成長で、日欧米の主要国が、ほぼ同時期にマイナス成長に突入した。
アメリカでは、7〜9月期にGDPの7割を占める個人消費が17年ぶりにマイナスに転じた。設備投資、住宅投資など内需は総崩れで、成長を支えてきた輸出も鈍化した。