10月第3週(10/12〜10/18)(最高3つの*)

メインテーマ: 「住宅市場、低迷さらに」
その他のテーマ: 「イギリス4行に6兆円資本投入へ」
「独仏も注入策急ぐ」
「アメリカ、まず大手9行に公的資金注入」

[住宅]

(1)住宅市場、低迷さらに(10/16) ***

 国内住宅市場が、一段と低迷し始めた。金融危機で世界的株安が進んだ9月以降、消費者心理の後退や融資環境の悪化で売れ行きがさらに鈍っており、08年の分譲マンションの全国発売戸数は、92年以来、16年ぶりに10万戸を割り込む見通しだ。家電などの耐久消費財の需要にも波及しかねず、政府・与党は、年末までの住宅ローン減税の延長・拡充などが検討課題に浮上してきた。

 不動産経済研究所によると、9月のマンションの発売戸数は、前年同月比53.3%減の2,427戸、近畿圏も43.8%減の2,047戸となった。首都圏は13ヶ月連続の前年割れで、マイナス幅が50%を超すのは96年10月以来、約12年ぶりとなる。発売戸数と共に売れ行きも低迷している。発売戸数のうちどれだけ売れたかを示す契約率は、9月は首都圏で60.1%、近畿圏も62.4%にとどまり、好不調の目安となる70%を大きく割り込んだ。

 不振の要因の一つは、価格の高止まりだ。資材価格の高騰で首都圏の平均販売価格は、前年同月比6%上昇し、所得が伸び悩む消費者にとり、手が届きにくくなっている。追い打ちをかけたのが、金融危機だ。銀行も融資に一段と慎重になり始めたと、不動産各社は指摘する。

 首都圏の売れ残り戸数(販売在庫)は一万戸を超す高水準が続き、マンション各社の資金繰りを厳しくしている。そのため、2〜3割前後の値引き販売に乗り出すところも出ている。戸建住宅や貸家なども状況は同じだ。建設経済研究所は、改正建築基準法の影響で、07年度に103万5,000戸に落ち込んだ新設住宅着工戸数は、08年度には115万8,000戸に回復すると7月時点で予測していたが、景気動向を踏まえ近く下方修正する方針だ。

 家具など関連市場も含めると、住宅市場の規模は50兆円程度である。その動向が、景気に与える影響は大きい。


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[アメリカ経済]

(1)アメリカ、まず大手9行に公的資金注入(10/15) ***

 ブッシュ大統領は、金融機関への資本注入を柱とする総合的な金融安定化策を発表した。金融安定化法による最大7千億ドルの公的資金のうち、2,500億ドル(約25兆円)を資本注入に使う方針で、JPモルガン・チェースなど大手9行に1,250億ドルを先行注入する。銀行間取り引きの保証や預金保護の拡大など、欧州並みの幅広い安全網も設ける。欧米主要国が、グローバルな危機打開へ足並みをそろえた。

 ブッシュ大統領は、「今回の措置により、企業や個人が融資を受けやすくなる」と強調した。政府介入の強化は、危機を克服し実体経済の底割れを防ぐための一時的措置と説明した。欧州も約37兆円の公的資金注入枠を設けるほか、日本も公的資金注入制度を検討しており、日米欧の制度が出そろう。

 資本注入の2,500億ドルは、全米の銀行の自己資本の約2割に相当する。政府は、議決権がない優先株を年内に購入し、経営への介入を抑えながら、金融機関の自己資本増強を支援し、企業や個人への貸し出しを促す。資本注入を受ける銀行は、経営者の報酬を制限する条件がつく。

 アメリカ政府は、金融システムの根幹を担う大手にまず資本を注入する。そして、中小銀行に順次拡大する考えだ。投入する公的資金は、新たに国債を発行して調達する。

 一方、アメリカ連邦預金保険公社(FDIC)は、銀行間取引などの焦げ付きを保証する新たな制度を導入する。09年6月までの銀行・貯蓄金融機関の債務が対象で、12年6月まで保証する。貸倒れ懸念から銀行間取引が収縮していることに対応する。欧州と足並みをそろえ、銀行間取引の正常化を目指す。預金者向けの安全網では、中小企業が利用する無利子の決済性預金(当座預金)を、09年末まで全額保護する。


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[国際金融市場]

(1)イギリス4行に6兆円投入へ(10/13) **

 イギリス政府の包括的な銀行救済策を受け、RBS、バークレイズ、ロイズTSB,HBOSの大手英銀四行が自己資本への公的資金注入を受け入れる見通しとなった。一部銀行は政府の株式持分が5割を超え、配当方針などで政府の監視下に入る。13日にも、各行が正式申請する。

 英紙によると、公的資金注入は四行合計で最大350億ポンド(約六兆円)となる。バークレイズは、公的資金とは別に中東の政府系運用ファンドにも出資交渉中という。他の三行も増資し、いずれも政府が保証する。

 政府は、大手行以外にも公的資金を注入することになる予定だが、投入総額は当初の500億ポンドから750ポンドに増やす予定だ。


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(2)独仏も注入策急ぐ(10/13) **

 フランスは、経営危機となった銀行を公的管理化に置く仕組みの導入を固めた。ドイツも公的資金の注入などを柱とする銀行救済策の策定を急ぎ、週明けにも具体策を公表する。ユーロ圏15カ国の首脳は、緊急会議で包括的な共同計画を策定する。

 ドイツは、資本不足となった金融機関への資本注入を柱とした包括策をまとめる方針だ。信用供与枠などを合わせた対策の総額は、数十兆円規模になるとの観測が浮上している。フランス政府は、経営危機になった銀行に迅速に資本を注入したり、経営者を交代させたりなどして一時的に公的管理下に置く仕組みを検討している。週明けにも法案を議会に提出する。

 ポルトガル政府も、200億ユーロ(約2兆7,000億円)規模の救済策の毛等に入ったことを明らかにした。


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