11月第3週(11/9〜11/15)(最高3つの*)

メインテーマ: 「温暖化ガス排出量昨年度最高に、京都議定書達成遠く」
その他のテーマ: 「街角景気、最悪に」
「公取委、鋼板3社を告発」

[景気動向]

(1)街角景気、最悪に(11/12) **

 内閣府の景気ウォッチャー調査によると、景気の実感を示す「街角景気」の指数が、2000年1月の調査開始以来、最悪の水準に落ち込んだ。家計は株価の大幅下落で消費が冷え、企業では円高により業績悪化を懸念する声が目立った。景況感は、さらに悪化してきた模様だ。

 景気の現状示す10月の「現状判断指数」は22.6と過去最低となり、前月比5.4ポイント下がり7ヶ月連続の低下となった。内閣府は、この調査を受け、9月までの「現状は厳しい」から「景気の現状は急速に厳しさを増している」と表現を下方修正した。


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[環境問題]

(1)温暖化ガス排出量昨年度最高に、京都議定書達成遠く(11/13) ***

 環境省によると、07年度の国内の温暖化ガス排出量は、前年度比2.3%増の十三億七千百万トンと過去最高を記録した。温暖化ガスを出さない原子力発電所の停止が響いた。京都議定書の目標達成へのハードルは高い。京都議定書の基準となる90年度比で8.7%増となった。

 同議定書では、日本は08〜12年度平均の温暖化ガス排出量を90年度比で6%減らす目標を課されており、07年度比では13.5%の削減が必要となる。政府は、必要削減量の一定部分を海外からの温暖化ガス排出枠の購入や森林吸収などで満たす計画だ。これにより、07年度比で5%分減らす計算になり、残る8.5%分の削減が課題となる。

 今後の排出量左右する第一の要因は、原発の稼働率向上だ。07年度の国内原発の稼働率は60.7%と、前年度比で9.2%低下した。過去最高の98年度の84.2%を維持していたと仮定すれば、07年度の排出量は5%程度押し下げられていたと環境省はいう。東電の原発が今後再開すれば、大きな削減効果をもたらす可能性が強い。

 もう一つは、景気の動向だ。日本の経済成長率と温暖化ガスの排出量はほぼ連動している。08年に入り、日本経済は急減速しており、排出量の伸びも鈍る公算が出てきた。

 急速な原油高や自動車の省エネ化などを背景にした石油消費の減少も、CO2削減には追い風だ。07年度のガソリン国内販売量は前年度比で2.5%減り、08年度上期も前年同期比4.7%減少した。価格はここへ来て下落に転じたが、ガソリンの需要はまだ低迷が続くとの見方が多い。

 しかし、景気など外部要因をあてにするだけでは、景気が回復したときに排出量が大幅に増える恐れもある。


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[競争政策]

(1)公取委、鋼板3社を告発(11/11) **

 建材向け亜鉛めっき鋼板を巡る価格カルテル事件で、公正取引委員会は、価格カルテルとして17年ぶりの刑事告発に踏み切った。市場の89%という支配的シェアを占める大手メーカー五社によるカルテル維持に、経営トップが絡んでいたことも判明した。鉄鋼業界は、過去にも繰り返しカルテルで行政処分を受けており、根深い横並び体質が問われそうだ。

 告発対象は、06年出荷分からの1トン当たり一万円、約10%分の値上げだ。4〜6月に一斉値上げで合意していた疑いで、日新製鋼、淀川製鋼所、日鉄住金鋼板の三社が告発された。

 関係者によると、亜鉛めっき鋼板は大手だけで九割近く占める寡占市場だ。しかし、02年ごろから安値競争になり、同年8月、社長が集まり価格改定の協調に同意した。協調値上げが本格化するのは、原材料となる亜鉛の国際価格が上昇した05年ごろからだ。この間大手各社は、好業績を上げていた。 一方で、鋼板を購入する中小の板金業者は、過去十年、毎年数百社が廃業した。板金の業界団体は、「値上げ分を転嫁できずバタバタと倒れた」と打ち明ける。こうした実態を考え、公取委は刑事告発という厳しい姿勢で臨んだ。

 鉄鉱石の調達価格や大口顧客への販売価格を決める際も、最大手の新日本製鉄の交渉結果に、各社が準じる。そんな鉄鋼業界の横並び体質がカルテル多発の背景にあるとの見方は多いが、公取委幹部は、「順法精神が欠けているのは明らか」と指摘した。

 今回の事件は、公取委に不正を自主申告すると課徴金が減免される課徴金減免制度が端緒だ。06年1月導入の同制度は、落札できなかった社に不満が残る談合摘発で成果を上げてきたが、参加各社が平等に利益を得られるカルテルでも威力を発揮した。今回は、JFE鋼板が最初にカルテルを申告した。淀川製鋼所と日鉄住金鋼板も申告した模様だ。公取委は、各社から資料や証言を得て告発したが、一番手のJFE鋼板を告発しなかった。

 制度導入後、計179件の申告があり、申告により独禁法違反で摘発した件数は10月までに24件に及ぶ。


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