11月第2週(11/2〜11/8)(最高3つの*)

メインテーマ: 「ユーロ圏、景気後退」
その他のテーマ: 「上場企業21%減益」
「日銀の利下げ」
「欧州の協調利下げ、50年ぶり低水準」

[企業部門]

(1)上場企業21%減益(11/2) ***

 上場企業の業績悪化が一段と鮮明になってきた。日本経済新聞社が08年4〜9月期決算を集計したところ、連結経常利益は前年同期比21%減った。世界景気の減速、急激な円高、原燃料高が企業の重しとなった。下期は減益幅がさらに広がりそうで、25%減益になる見通しだ。09年3月期通期では、23%減益が見込まれ、7期ぶりの減益が確実だ。


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[金融市場]

(1)日銀の利下げ(11/2) **

 日銀は、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を年0.5%程度から年0.3%程度に引き下げた。八人の政策委員の賛否が同数となり、白川総裁が議長権限で決定した。

 日銀が利下げした理由は、金融危機が消費や生産にも影響を与えるようになり、株価が急落し、円高が大きく進み、景気下支えと市場安定化のためだ。

 10月8日には、欧米が協調利下げをした。しかし、日銀は、政策金利が年0.5%程度と低水準だったこともあり、利下げには慎重だった。しかし、アメリカの大手証券のリーマン・ブラザーズの破綻をきっかけに、欧米で信用不安が深刻になり、国内の株式市場に影響が広がり、日銀はこのまま放置できないと考え、利下げした。

 政府の追加経済対策も10月30日に発表され、財政と金融が歩調を合わせた格好だ。欧米と金融政策で協調する姿勢を示したことになる。ただ、企業の設備投資意欲を刺激したり、消費を拡大する効果は不透明とみられている。

 暮らしへの影響としては、預金金利が下がるので、多くの預金を持っている人は金利収入が減る。また、変動金利で住宅ローンを組んでいる人や、これから住宅ローンを借りる人の負担はやや軽くなる。最近の大手銀行などの変動型ローン金利は、現在年2.875%だが、0.2%下がるとみられる。期間20年の変動金利で二千万借りた場合、当面の年間返済額は二万四千円近く減少する。

 我が国の利下げは、円安要因になる。円安は物価上昇につながる。しかし、原油価格はが値下がりし、ガソリンなどの値段は下がっている。新興国の景気減速で需要が減少しているためである。日銀も物価上昇懸念は薄れたと見ている。


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[EU経済]

(1)ユーロ圏、景気後退(11/4) ***

 欧州連合(EU)の欧州委員会は、ユーロ圏(通貨ユーロを使う15カ国)とEU27カ国の秋季経済見通しを発表した。

 世界的な金融危機を受け、ユーロ圏の実質域内総生産(GDP)成長率は、08年4〜6月期以降、前期比で二・四半期連続でマイナスとなり、景気後退期に入ると予測した。ユーロ圏の景気後退は、99年の通貨統合以来初めてである。4〜6月期は前期比0.2%減だったが、7〜9月期も0.1%減のマイナス成長を見込んだ。10〜12月期も0.1%減と予測している。

 EU全体についても、4〜6月期はゼロ成長だったが、7〜9月期、10〜12月期ともマイナス0.1%に悪化し、年内の景気後退入りを予測した。

 これに伴い、08年の年間成長率は、ユーロ圏で1.2%、EU全体は1.4%となった。09年1〜3月期は、双方とも0.1%のプラス成長に転じるとしているが、09年の年間成長率は0.1%と0.2%となり、厳しい見通しを示した。

 ユーロ圏主要国では、ドイツ、フランス、イタリアが08年7〜9月期で景気後退入り、スペイン、ポルトガル、非ユーロ圏の英国、スウェーデンなども10〜12月期に景気後退入りするとみている。


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(2)欧州が協調利下げ、50年ぶり低水準(11/7) ***

 欧州の中央銀行は、6日協調利下げを実施した。イギリス中央銀行のイングランド銀行は、主要政策金利を1.5%引き下げ、1955年以来半世紀ぶりの低水準である年3.0%にした。欧州中央銀行(ECB)も、ユーロ圏の主要政策金利を0.5%引き下げ、年3.25%にすることを決めた。スイスとデンマークも0.5%、チェコも0.75%それぞれ政策金利を引き下げた。

 欧州の中銀が協調して大幅に利下げすることで、景気後退が不可避となった欧州経済を下支えする姿勢を明確にした。協調利下げは、10月8日にアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)などと打ち出して以来だ。日銀も10月末に約7年半ぶりに政策金利を引き下げるなど、各国の中央銀行が一致して金融緩和を進めている。ECBのとりシェ総裁は、「0.75%の利下げも検討した」と語り、追加利下げの可能性を示唆した。各国の中央銀行の協調利下げが続く可能性もある。


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