5月第4週(5/18〜5/24)(最高3つの*)
メインテーマ: | 「6大銀行34%減益、サブプライム後も逆風」 |
その他のテーマ: | 「景気「踊り場」据え置く」 |
「欧州各国、環境対応車を優遇」 |
(1)景気「踊り場」据え置く(5/23) ***
大田経済財政担当相は、景気の基調判断を「回復はこのところ足踏み状態にある」とした5月の月例経済報告を提出した。02年から続く景気回復が一時的に停滞する踊り場との判断を、2ヶ月連続で据え置いた。ただ、輸出と住宅建設の判断を下方修正し、成長のけん引役である外需の鈍化に警戒感をにじませた。特に注意する点として、アメリカ経済や株式市場の動向、原油高の三つを挙げた。
判断を据え置いた生産や設備投資、個人消費なども先行きに不安がある。原油価格上昇で企業収益が圧迫され、設備投資は、1〜3月期に三・四半期ぶりに前期を下回った。3月の鉱工業生産指数も前月比3.4%減と2ヶ月ぶりに減少した。企業の生産活動が再び上向くかどうかが注視される。
(1)欧州各国、環境対応車を優遇(5/19) **
環境対応で世界に先行する欧州で、CO2の排出量を基準にした新たな自動車税制の導入が相次いでいる。ドイツは、09年からエンジン排気量を基準にした税制をCO2基準に変更する。フランスなどは、CO2排出量が少ない自動車購入への優遇税制を設けた。いずれも環境対応車の税額が少なくて済む。
ドイツでは、走行1キロメートル当たりの排出量が100グラム未満の自動車は、自動車税が免除になる見込みだ。新基準の導入は、CO2排気量が少ない日本車に有利に働く公算が大きい。アイルランドが、今年7月にドイツと同様の税制を導入、フィンランド,ベルギーも続く予定だ。
CO2基準の自動車税を導入済みのイギリスは、ロンドン市内中心部に車で入る際の混雑税を見直す。現在の税額は8ポンド(約1,600円)だが、10月から同120グラム未満の自動車は免除され、CO2の排出が多い場合、最大25ポンドに上がる。
自動車関連の税制がCO2基準に移れば、自動車メーカーは軽量化やエンジン性能の改良などを通じ、低燃費でCO2排出量が少ない車の開発に力を入れる方針だ。
欧州連合(EU)欧州委員会は、12年までに走行1キロメートル当たりのCO2排出量を現行の2割減となる130グラムに抑える数値目標を提案している。達成できない場合は、自動車メーカーに制裁金を科すことも検討している。日本では、排ガス中の窒素酸化物や粒子状物質が少なく、燃費効率のいい自動車を対象に、自動車税と自動車取得税を軽減している。CO2排出量に直接連動した税制は採用していない。
(1)6大銀行34%減益、サブプライム後も逆風(5/21) ***
大手銀行6グループは、08年3月期の大幅減益に続き、09年3月期も厳しい経営環境にさらされそうだ。各行は、サブプライム関連の損失処理はほぼ終わったとみているが、今期の予想増益幅は13%にとどまる。けん引役となる貸出業務は、利ざやなどの大きな改善を見込みにくく、貸し倒れ増加の懸念もある。主に、個人を対象にした収益基盤の広がりも期待薄で、成長への道筋はなお視界不良としている。
収益押し上げ効果が見込める日銀の利上げは当面ないというのが、大手行の共通の見方である。最大手の三菱UFJフィナンシャル・グループの場合、0.25%の利上げで600億円程度の収益押し上げ効果があるという。06年にゼロ金利政策が解除され、三メガ銀行は、昨春の時点で1年後の政策金利を1%台前半と見込んでいた。しかし、利上げはなく、6グループ合計で数千億円の利益が幻となった。
目だって増えたのが、不良債権処理損失だ。前期比4割増であった。金融危機当時に比べると小規模だが、今期はさらに膨らむ可能性が強い。
投資信託の銀行窓販は、98年の解禁以来右肩上がりで伸びてきた。しかし、サブプライム問題に端を発する株式市場の混乱などにより、前期比6グループの販売額は2割以上減った。このように強い逆風の中で、銀行の収益は当面伸びないだろうというのが大方の見方である。