5月第3週(5/11〜5/17)(最高3つの*)
メインテーマ: | 「1〜3月実質GDP3.3%成長」 |
その他のテーマ: | 「自動車保有、初の減少」 |
「1〜3月、ユーロ圏成長年2%台後半」 |
(1)自動車保有、初の減少(5/16)**
日本を走る自動車の数が減少し始めた。全国の自動車保有台数は、最新統計の2月末まで3ヶ月連続で前年同月比マイナスとなった。これは、自動車普及が加速し始めた1960年代前半以降始めてである。人口減や消費者のクルマ離れが背景と見られる。自動車保有の縮小が本格化すると、保険、整備、燃料など25兆円を超す関連市場の頭打ちが避けられないが、交通量の増加を前提にする道路整備政策の見直しなど広範な影響を及ぼす。
軽自動車、二輪車を含む全国の自動車保有台数は、2月末で7,943万台と前年同月比0.2%減った。新車販売台数は、90年の777万台をピークに減少傾向が続き、07年は90年比で3割減となった。保有台数の減少は、新車販売台数が、廃棄などで登録抹消される車の数を下回り始めたことを示す。若年人口が減少し、電車などの利用率が高い都市部への人口集中や、ガソリン高による維持費高騰も消費者のクルマ離れに歯止めがかからない状況となっている。
毎年の販売のフローだけでなく、保有というストックも減少に転じる影響は、出荷額が年50兆円(輸出含む)規模の国内自動車産業だけでなく年25兆円超の関連産業に及ぶ。自動車保険や車用品などは競争激化による価格下落などで市場が縮み始めており、保有減はこれに拍車をかける。日本の二酸化炭素の約2割を占める運輸部門の排出量削減加速という環境面の好影響の一方、道路政策の見直しが不可避になるとの見方も強い。10年間で59兆円という現在の道路整備中期計画は、車の交通量のピークが20年であるという02年に策定した交通需要推計が前提である。自動車保有の減少が続けば、この推計値を大きく下回る可能性が出てくる。
(1)1〜3月実質GDP3.3%成長(5/16)***
内閣府によると、1〜3月の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.8%増、年率換算で3.3%増と三・四半期連続でプラス成長となった。アジアや欧州向けの輸出が好調であったほか、物価高の逆風下で個人消費も底堅く推移した。ただ、07年度の実質成長率は1.5%(名目0.6%)と06年度を大きく下回った。また、原油高や世界経済の減速など、08年度の成長持続には不安材料が山積している。
生活実感に近い名目は、前期比0.4%増、年率で1.5%増であった。名目が実質を下回り、デフレの象徴とされる名実逆転は、五・四半期連続となった。
GDPの5割強を占める個人消費は、0.8%増であった。暖房需要の伸びで、電気料金が増えたほか、国内旅行などが好調であった。名目賃金に雇用者数をかけた名目雇用者報酬は、前年同期比1.4%増えるなど所得環境が改善し、個人消費を支えた。
一方、設備投資は、0.9%減と三・四半期ぶりのマイナスとなった。企業は原油高や円高で収益を圧迫されており、設備投資の先行きは不透明感が高まった。改正建築基準法の影響による現場の混乱が落ち着いてきた住宅投資は、4.6%増と五・四半期ぶりにプラスに転じた。外需は輸出が4.5%増と、十二・四半期連続のプラスであり、輸入は原油高により2.0%増えた。
(1)1〜3月、ユーロ圏成長、年2%台後半(7/16)***
欧州連合統計局によると、ユーロ圏15カ国の08年1〜3月期の域内総生産(GDP)が実質ベースで、前期比0.7%増加したと発表した。金融不安でアメリカでは景気減速が鮮明であるが、新興国向けの輸出に支えられた欧州は、年率換算で2%台後半高めの成長率を維持した。しかし、金融不安やインフレ加速といった不安材料を抱え、先行きへの警戒感は強い。
景気を牽引しているのは製造業を中心とする輸出産業である。ドイツの1〜3月期の輸出額は、前年同期比で5.8%増で、ユーロ高の中で、EU域外への輸出も9.4%伸びた。
失業率も改善傾向にあり、技術者などの不足が深刻である。
それでも景気の先行きには慎重な見方が多い。消費者物価上昇率は3%超と、欧州中央銀行(ECB)の政策目標である2%未満を大きく上回る。食料品や燃料費の上昇が目立つ。
活発な賃上げは、企業のコスト増となるほか、最終製品への価格転嫁を通じてインフレ率をさらに押し上げる恐れがある。
アメリカ経済の動きが新興国に波及し、欧州に響いてくるまでは、タイムラグが1年ぐらいある。欧州委員会の報道官は「4〜6月期には減速するだろう」と述べており、景気の下ぶれ懸念は消えていない。