3月第4週(3/16〜3/22)(最高3つの*)

メインテーマ: 「景気、踊り場入り」
その他のテーマ: 「アメリカ、0.75%追加利下げ」

[景気動向]

(1)景気、踊り場入り(3/29) ***

 大田経済財政担当相は、関係閣僚会議に景気の基調判断を2ヶ月連続で下方修正し、回復は足踏み状態とした月例経済報告を提出した。回復を牽引してきた企業部門の動きが弱まっていると判断した。アメリカ経済の減速や金融市場の混乱が、日本の景気回復を鈍らせている。同相は、景気は踊り場的状態にあるとした。

 今回の景気回復は、02年2月に始まり戦後最長である。踊り場になれば、02年末から03年半ばと、04年末から05年半ばまでに続き3回目となる。踊り場は景気の回復が一時的に停滞する状態を指す。月例報告では、足踏みや横ばいなどの表現で踊り場と同じ状態を示している。

 景気判断は、生産の動きに左右される度合いが大きく、企業部門の変調が全体の判断を2ヶ月連続で引き下げることにつながった。1月の鉱工業生産指数が前月比2.2%低下し、生産は横ばいと判断した。原油高によるコスト増により圧迫される企業収益は3ヶ月ぶり、設備投資は6ヶ月ぶりに判断を引き下げた。

 先行きについては、景気は緩やかに回復していくと期待されるとした。アメリカ経済の減速は明らかであるが、日本の輸出はアジアや中東向けの伸びが大きく、全体では増加を保っている。改正建築基準法の施行に伴う現場の混乱が落ち着いてきたため住宅建設が持ち直しつつあることも、回復を下支えする要因になる。個人消費は横ばいとの判断を据え置いた。

 ただ、3月に入り急速に円高が進み、原油価格の高騰とあわせて企業収益への懸念が強まっている。3月の月例経済報告では、アメリカ経済や原油価格の動向については、2月に続いて景気の下ぶれリスクが高まっているとの表現にとどめたが、先行きの不安感は強まっている。


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[アメリカ経済]

(1)アメリカ、0.75%追加利下げ(3/19) ***

 アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、最も重要な政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.75%引き下げ、年2.25%ととすることを賛成多数で決定し、即日実施した。

 金融機関向けの貸出金利である公定歩合も、16日の0.25%の引き下げに続いて、FF金利と同様に0.75%引き下げ、年2.5%とする。この利下げで、FF金利の誘導目標から物価上昇率を差し引いた実質金利はほぼゼロとなった。アメリカでは、01年9月の同時テロから04年にかけて実質金利がゼロかマイナスであった。1回に0.75%の大幅利下げは、1月22日に続き、90年代以降で2度目である。FRBの声明は、金融市場は引き続きかなりの緊張状態にあるとし、金融機関の貸し渋りや住宅市場の調整で、経済成長は向こう数四半期は下押しされるとの見通しを示した。

 FF金利下げは、サブプライムローン問題の表面化で金融緩和に転じた昨年9月以降、6回目である。約半年で下げ幅は約3%に達した。利下げのピッチは、ITバブル崩壊後の01年1月以降の利下げ局面よりもやや早い。


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