3月第2週(3/2〜3/8)(最高3つの*)
メインテーマ: | 「アメリカ景気懸念でドル安懸念」 |
その他のテーマ: | 「EU独禁政策厳格化」 |
(1)EU独禁政策厳格化(3/5)**
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が、企業のEU競争法(独禁法)違反への厳格な姿勢を強めている。3年に及んだ係争でマイクロソフトを屈服させたのに続き、半導体大手のインテルにも近く独禁法違反の是正措置を命じる可能性が出てきた。価格カルテルへの制裁金は、数年前の5〜8倍に増え、日本企業が摘発されるケースも増えてきた。欧州委員会の動きからは、厳罰主義で巨大な経済圏を統括する思惑が伺える。
昨年カルテルに絡んだ企業が命じられた制裁金は、計33億3,400万ユーロだった。05年までは、年間5億ユーロ前後だったが、06年は約18億4,600万ユーロに増え、昨年はさらに1.8倍に膨らんだ。カルテル1件当たりでは、制裁金額は倍増した。欧州委は、株主は制裁金のコストを意識すべきだとし、今後もカルテルには巨額制裁金で臨むと警告する。 拡大下のEUで、急速に広がるEU市場の独禁法違反を防ぐには、巨額の制裁金で抑止力を高めるのが手っ取り早い。協力的な企業には、制裁金の免除や大幅な減額を認める制度の積極的な活用からも、効率的に競争政策を進めたい欧州委の考えが見える。
公正な市場を目指す競争政策は、EUの基本原則だ。欧州統合の出発点であるローマ条約(1957年)にさかのぼるEUの基本原則である。
(1)アメリカ景気懸念でドル安懸念(3/2)***
アメリカ景気の先行き懸念で、ドルの先安感が強まっている。投機筋のドル売りが進み、対ユーロで1ユーロ=1.5ドルを突破,対円でも1ドル=103円台と約3年ぶりの安値まで下げた。原油などに流れるマネーは商品相場を押し上げており、景気減速と物価上昇が同時に進むスタグフレーションへの警戒感が、ドル安に拍車を掛けている。
1月のアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ以降、ドル安の動きは一時止まっていたが、ここへ来て再び加速してきた。アメリカ景気の冷え込みを示す経済指標が相次いでいるからだ。住宅価格下落、株安、そして、企業の設備投資の先行指標となる耐久財受注額の1月の前月比5.3%減などである。さらに、FRBの利下げ観測が根強いこともドル安要因となっている。
アメリカ金融市場は、アメリカ政策金利が今年前半のうちに2%に下がることを織り込み始めた。一方、欧州中央銀行(ECB)は、域内のインフレ懸念から利下げには慎重との見方が多い。ユーロ圏の政策金利は4%なので、欧米の金利差が広まり、ドル売り・ユーロ買いが広がりやすい環境が続く。