6月第3週(6/22〜6/28)(最高3つの*)

メインテーマ: 「アメリカ利下げ休止、欧州利上げ観測」
その他のテーマ: 「大企業景況一段と悪化」
「上場企業、4割実質無借金」

[景気動向]

(1)大企業景況一段と悪化(6/24) ***

 内閣府と財務省による4〜6月期の法人企業予測調査では、大企業全産業の景況判断指数はマイナス15.2と、前期に比べ5.9%下がった。原材料の値上がりが企業の収益を圧迫し、二・四半期続けて04年の調査開始後の過去最低を更新した。全産業では、08年度に増収減益を見込んでおり、企業の景況感は一段と悪くなっている(景況判断指数は、前期と比べた景況が上昇と答えた企業の割合から下降と答えた企業の割合を引いて算出する)。

 4〜6月の景況判断指数は、すべての企業規模、業種で大幅なマイナスとなった。中小企業に比べ景況感のよい大企業が二ケタのマイナスになったのは初めてである。

 大企業では、一般機械、自動車、精密機械器具の指数が低下し、原材料に使う金属や化学品の値上がり分を価格に十分上乗せできず、収益が悪化している。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

[企業部門]

(1)上場企業、4割実質無借金(6/25) **

 上場企業の財務改善が進んでいる。手元資金が有利子負債を上回る実質無借金企業は、08年3月期末に全体の4割を超え、連結決算での業績開示に移行した00年3月期以降で最高となった。バブル崩壊後、過剰債務が経営の足かせとなったが、リストラや景気回復で収益力を高め、負債返済を進めた。総資産に対する有利子負債依存度も三割を切り、金利上昇への抵抗力も増している。

 調査対象は、全国上場企業1,595社だ。実質無借金企業は、654社と全体の41%を占めた。景気が底入れした02年3月期末時点では31%台だった。総資産に対する有利子負債依存度は、前期末で28%程度にまで低下し、40%を超えていた90年代初めのバブル崩壊時に比べ負債の圧縮が進んでいる。実質無借金になると、社債の格付けが上がり、低コストで資金調達できるなど財務の機動性が増す。金利負担の軽減で業務改善にもつながる。  今後は、積み上がった手元資金を設備投資や株主への還元など、企業価値の向上に振り向けることが一段と求められる。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]

[世界金融市場]

(1)アメリカ利下げ休止、欧州利上げ観測(6/27) ***

 アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は昨年9月以降の利下げを休止したが、インフレ警戒姿勢と同時に住宅・雇用情勢の悪化から早期利上げは難しい状況だ。一方、インフレ警戒を強める欧州中央銀行(ECB)は次週の理事会で利上げに踏み切る構えだ。ECBが0.25%利上げすれば米欧の政策金利差は2.25%とECB発足以来最大となる。欧州の利上げ先行は、一段のドル安を招き、原油高に拍車をかける可能性がある。26日のニューヨーク市場でも,ドル安・株安・原油高が進んでいる。

 サブプライムローン問題に端を発したアメリカ金融不安は、最悪期は脱したとの見方が広がる一方で、原油や食料の値上がりによるインフレ懸念が世界経済のリスクとして市場で強く意識されている。欧米中央銀行は、景気配慮からインフレ警戒へと軸足を移しつつある。日米欧は、今月中旬の主要8カ国(G8)財務相会合でインフレ懸念を共有し、原油高とドル安阻止の姿勢でおおむね一致した。

 アメリカでは、インフレ懸念は強いが、住宅市場の不振や雇用減少など景気の先行き不安は強く、早期利上げは難しいとの見方が強い。一方、ユーロ圏の景気は底堅く、1〜3月期の実質成長率は年率2%台後半だ。5月の消費者物価上昇率は、99年以来の高水準になり、ECBとしてはインフレ阻止へ利上げを急がざるを得ない情勢だ。

 各国の政策協調も簡単ではない。原油高への対応を協議した産油国・消費国の緊急閣僚会合でも即効策は決められず、G8財務相会合でも日欧米が確認したインフレ阻止の政策協調も具体策は打ち出せていない。


[先頭] [Home] [今週のトピック目次]