6月第1週(6/1〜6/7)(最高3つの*)

メインテーマ: 「原油高騰、市場が警報ーアメリカ経済変調」
その他のテーマ: 「G8財務相共同声明、原油・食料高「重大な試練」」

[アメリカ経済]

(1)原油高騰、市場が警報ーアメリカ経済変調(6/14) ***

 アメリカ経済の変調に、グローバルな市場が警戒感を強めている。雇用に代表されるアメリカ景気の悪化や、原油など商品価格の高騰に処方箋が見つからない。

 5月の失業率の悪化により株価が400ドル近く急落し、ドルも売られた。原油価格が10ドルあまり急騰し、1バレル=140ドルに迫った。

 アメリカと世界経済の減速が控えていると見れば、原油高騰は異常であり、年初から40ドルもの上昇は実体経済とのバランスを欠いている。商品市況の裏側にあるのが、減速を背景とした金融緩和により供給されたマネーが原油市場に流れ価格を押し上げているということである。アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は、リスクに気がつき軌道修正に動き出していた。しかし、インフレと雇用悪化というジレンマに直面したFRBや政府は身動きが取れない。

 現状は一見すると不況下の物価高(スタグフレーション)に見舞われた1970年代の石油ショック当時に似ている。しかし、アメリカなど主要国の賃金は落ち着いており、二ケタの賃金上昇がインフレに拍車をかけた70年代とは根本的に異なる。日本が典型だが、企業によるコスト上昇分の価格転嫁はあまり進まない。商品価格の上昇で潤った資源国向けに、日欧米などからの輸出が増えているため、世界経済は一服というところである。

 しかし、雇用悪化がアメリカ景気全体の足を引っ張るようだと、サブプライムローン問題だけでなく、90年代の日本のように不況型の不良債権が膨張しかねない。


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[世界経済]

(1)G8財務相共同声明、原油・食料高「重大な試練」(6/15) ***

 大阪市での主要8か国(G8)財務相会合は、原油や食料の価格高騰を「重大な試練」と位置づけ、世界的なインフレ圧力の増大に懸念を示した共同声明を採択して閉幕した。

 原油高対策を強化することで一致し、産油国に生産能力の拡大を求めるだけでなく、在庫などの情報開示を充実させて市場を透明化し、価格高騰の原因を究明する方針を確認した。高騰の一因として指摘される投機マネーについて、先進国が連携して商品先物市場の調査を強化することを確認した。国際通貨基金や国際エネルギー機関に共同で、投機マネーが原油高騰に及ぼしている影響を分析し、次回会合で報告するように求めた。

 声明では世界経済について「引き続き不確実性に直面している」と指摘した。原油や食料などの物価上昇圧力が、景気の先行きを下ぶれさせる懸念を共有した。そして、商品価格の上昇は政策選択を難しくしているとして、引き続き警戒するとともに適切な協力をとるとの姿勢で一致した。


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