6月第1週(6/1〜6/7)(最高3つの*)
メインテーマ: | 「5月のアメリカ失業率悪化5.5%」 |
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「アメリカ金融機関、不安消えず」 |
(1)月次GDP、4月0.3%減(6/3) ***
日本経済研究センターによると、4月の月次国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除いた実質で前月比0.3%減り、3ヶ月連続で前月を下回った。内需の柱である個人消費と設備投資がともに振るわず、成長を牽引してきた輸出も3ヶ月連続で減った。3ヶ月連続の減少は、景気後退局面にあった01年7〜10月以来である。
内閣府が公表した1〜3月期のGDPは、実質で前期比0.8%増と高い伸びだった。ただ、月ごとのGDPをみると、1月が前月比1.3%増と大きく伸び、2月、3月と前月比マイナスであった。4月も減少したことで、日経センターは景気が2月から減速したと分析している。
4月の月次GDPをみると、個人消費は0.3%減、設備投資は0.5%減と4ヶ月連続のマイナスで、企業が投資に慎重になっていることがうかがえる。輸出も0.6%減と3ヶ月連続のマイナスだ、アメリカ経済の減速の影響がじわりと出ている。
(1)アメリカ金融機関、不安消えず(6/3) ***
2日のニューヨーク株式市場では、大手銀行トップの引責辞任や大手証券の信用格下げを受け金融機関の経営不安が再燃し、ダウ工業株三十種平均は一時二百十ドル下落した。サブプライムローン問題は峠を越えたとの見方も出ていたが、関連損失に歯止めがかからず、先行きの収益環境も厳しさを増している。
辞任を発表したのは、アメリカ東部を本拠とする大手銀行のトンプソン最高経営責任者(CEO)だ。住宅ローン業務の損失拡大で1〜3月期に赤字決算に転落し、株主の批判が強まっていた。また、貯蓄金融機関(S&L)大手のワシントン・ミューチュアルのキリンジャーCEOも、赤字決算への株主の批判が強く、辞任すると発表された。一方、格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も、大手三社の信用格付けをそれぞれ一段階引き下げると発表した。格下げ理由として、S&Pは、大手証券の収益の落ち込みが予想以上に長引く可能性を指摘した。住宅ローン関連資産や高リスクのローン債権について、処理は進んだが残高はまだ大きく、評価損が利益を押し下げると分析した。
サブプライムローン問題が表面化してから一年がたつが、アメリカ金融機関の損失計上は続いている。住宅価格は下げとまらず、住宅資産を投資対象に組み込んだ証券価格も下がり続けているためだ。
これに加え、アメリカ景気の減速で一般企業や個人向けローンで不良債権が増えてきた。サブプライム以外の資産にも劣化が広がり、処理が追いついていない。このような中で、新規の事業拡大も難しく、体力のない地方銀行の破綻も増加している。
(2)5月のアメリカ失業率悪化5.5%(6/7) ***
アメリカ労働省の5月の雇用統計によると、失業者数の増加により失業率(軍人を除く)が5.5%と前月比で0.5%上昇した。非農業部門の雇用者数は4万9千人減少し、5ヶ月連続でマイナスとなった。減少幅は市場予測平均より小さかったが、雇用情勢は一段と悪化しており、景気低迷は長期化しそうだ。失業率が5.5%まで上昇したのは、04年10月以来で、約3年半ぶりだ。前月比で一気に0.5%上昇したのは、86年2月以来22年ぶりだ。
5月は建設業が3万4千人減、製造業が2万6千人減など、主要民間部門が軒並み減少した。短期雇用の受け皿となっていた小売も2万7千人減と落ち込んだ。雇用が増えたのは健康関連のサービスで3万3千人増などである。政府部門は1万7千人増で、民間部門の低迷を下支えする構図が続いている。