7月第2週(7/6〜7/12)(最高3つの*)

メインテーマ: 「持てる国へ富の大移転」
その他のテーマ: 「サミット、世界経済首脳宣言、危機感は共有」
「サミット閉幕、<2050年温暖化ガス半減>アメリカも合意」

[国際会議]

(1)サミット、世界経済首脳宣言、危機感は共有(7/9) ***

 主要国首脳会議(洞爺湖サミット)が8日採択した首脳宣言の経済部分は、金融不安や一次産品高騰などによる複合危機に警鐘を鳴らした。宣言では、世界経済が深刻な試練や不確実性に直面していると明記し、その原因である原油・食料価格の高騰について、「強い懸念」との文言を加え、危機感の強さをにじませた。アメリカの金融(finance)不安と表裏の関係にある原油(fuel)・食料(food)価格上昇という「三つのf」の負の連鎖については、宣言は「諸問題が相互に関連している」とはっきり認めた。その上で危機回避の真剣な取り組みを求めている。

 厳しい現状認識を共有したが、具体論では踏み込み不足が目立ち、国際協調の限界も露呈した。トウモロコシを含む食料不足の原因として、消費国が批判しているバイオ原料の取り扱いは曖昧のままだ。8日の討議では、食料を原料としないバイオ燃料への構造転換が容易ではないことを印象付けた。投機資金流入による原油高への影響についても、関連を認める日本・欧州と認めたくないアメリカとの対立は根深い。


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(2)サミット閉幕、「2050年温暖化ガス半減」アメリカも合意(7/10) **

 主要国首脳会議は、福田首相が議長総括を発表して閉幕した。首相は、地球温暖化ガス排出量を2050年までに半減する長期目標を世界全体で共有し、国連で採択を求める合意について、国連での交渉に弾みをつける貢献ができたと強調したそして、13年以降の温暖化対策の枠組み、すなわち、ポスト京都議定書の交渉加速に期待を表明した。

 排出量削減の基準年に関しては、、「我々の認識は現状から50%」との見解を示した。


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[国際経済]

(1)持てる国へ富の大移転(7/11) ***

 原油価格が高騰し、石油の輸入国から産油国に流れ出す「企業や国民の稼ぎ」は過去二度の石油危機をしのぐ。あふれるマネーの使い道を探る資源国、その資金の取り込みを狙う非資源国があり、巨富の奔流を日本も無視できない。

 1バレル140ドルの原油価格が今年いっぱい続いたとすると、産油国に入る代金は、約200兆円と昨年の7割増だ。これが、原油高で流れ込む巨額のマネーである。購買力を増した産油国は、海外への投資だけでなく海外からの製品輸入も行う。JPモルガン証券の分析では、中東産油国は原油輸出で得た代金の七割を工業製品などの輸入に回す。この資源国への売り物を扱う業界では、原油高特需の現象も見られる。国内インフラの整備を進める産油国は、プラントや重機だけでなく、自動車、ハイテク製品の輸入を急拡大している。この分野で競争力を持つ日本は、欧州と並ぶ勝ち組だ。しかし、日本の産油国向け輸出は中東とロシアを合わせて07年度で5兆円程度である。原油高で流出する富の額の25兆円(08年度)には遠く及ばない。輸出増の恩恵を受けない大多数の中小企業は、原料高で収益が減り、設備投資や人員の削減を迫られる。

 金の出し手、モノの買い手として、グローバル経済の表舞台に躍り出た資源国の存在は、力学構造を激変させ、世界経済を揺さぶり始めた。これを追い風とする知恵と工夫が、日本に求められる。


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