2月第4週(2/10〜2/16)(最高3つの*)
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(1)ドル全面安、世界経済の不安定要因(2/29)
ドル安に拍車がかかっている。28日には、対ユーロ相場が1ユーロ=1.51ドル台後半に下落し、連日で過去最安値を更新した。主要通貨に対するドルの総合的な価値を示す実効レートも過去最低水準にあり、全面安となっている。アメリカで、景気後退と物価上昇の同時進行の懸念が強まっているのが背景だ。対ドルで、通貨が上昇する日欧経済に悪影響が及び、世界経済の不安定要因になる恐れがある。
アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が算出するドルの実力指標の名目実効レート(対主要通貨、73年3月=100)は71と、昨年11月に並ぶ過去最安値圏にある。ドル安基調はサブプライムローン問題が深刻化した昨年夏から鮮明になった。
原油先物が1バレル=100ドル超の最高値を更新し、景気停滞とインフレが並存するスタグフレーションの懸念も浮上している。FRBが追加利下げを示唆したことも、高い金利を求めドル以外の通貨に乗り換える投資マネーの動きを加速させている。 ドル全面安が進むと、アメリカの輸出を増やしアメリカの景気の下支えとなるが、日欧の輸出減となり景気悪化懸念が強まるだろう。日本やユーロ圏は今年の実質成長率が1%台に減速する見通しで、ドル安がさらに冷水を浴びせる恐れもある。
湾岸主要国は、自国通貨のドル連動性(ペッグ制)を維持してきたが、自国通貨も連鎖安し、輸入価格が上昇しインフレが深刻である。
(1)中国輸出額、WTO加盟で5倍(2/25) ***
中国の年間輸出額が、01年12月の世界貿易機関(WTO)加盟から6年で約5倍に拡大した。07年の通関輸出額は、前年比25.7%増の1兆2,180億ドルで、アメリカを抜き、首位のドイツに次ぐ世界2位に浮上した。
中国のWTO加盟が世界貿易を刺激した結果、経済のグローバル化が急速に進んだ。世界全体の輸出額は、03年以降2桁の伸びを続け、01年から06年までの5年間で2倍に増えた。倍増に20年以上かかった80年代以降に比べ伸びが飛躍的に増加した。
中国の輸出額は、04年に日本を抜き世界第3位となり、07年は日本の1.7倍となった。2,622億ドルで過去最大となった貿易黒字は首位のドイツには及ばなかったが、今年はドイツを抜くのは確実と見られている。
WTO加盟国・地域は、151に達しロシアなど約30カ国が加盟交渉を続けている。新規加盟国は輸入関税削減など自由化措置を義務付けられる一方、最恵国待遇の恩恵を受けられるため、輸出がしやすくなる。グローバル化を進め、世界貿易の拡大に弾みをつけてきた仕組みだ。
中国は輸入関税を01年の15.6%から05年の9.7%に下げるなど、自由化を実施した。安い労働コストに着目した外国企業の進出をテコに、原材料・部品を輸入・加工して世界に進出する「世界の工場」の地位を築いた。中国の輸入額は、07年に9,558億ドルと01年比約4倍に増えた。
今年は、日米欧の景気減速に伴い、中国の輸出にブレーキがかかる懸念も大きいが、IMFは10%成長を見込んでいる。ただ、今後は市場開放や人民元切り下げなど自由化を求める圧力も一段と強まりそうだ。