2月第4週(2/10〜2/16)(最高3つの*)

メインテーマ: 「景気判断引き下げ、生産・輸出にかげり」
その他のテーマ: 「日本の原子力発電の現状」

[景気動向]

(1)景気判断引き下げ、生産・輸出にかげり(2/23) ***

 政府が月例経済報告で景気判断を1年3ヶ月ぶりに引き下げ、景気の先行きの警戒感を鮮明にした。アメリカのサブプライムローン問題が、企業の生産や輸出に打撃を与え始めているからだ。戦後最長の景気回復局面は、7年目に入り正念場を迎えた。

 日本の景気回復は、自動車や電機など輸出企業がけん引役となってきた。しかし、輸出はここに来て陰りの色が濃くなってきている。07年10〜12月期の輸出額は、アメリカ向が大きく減少した。産油国やアジアなどの新興国向けが好調で全体はプラスだが、勢いは鈍っている。輸出が減れば企業の生産も打撃を受ける。電機業界などは、北京五輪を控える08年は販売増の見込みだったが、期待はずれに終わる可能性も出てきた。

 一方、消費者の心理は、政府の判断より一足先に悪化し始めている。内閣府の消費動向調査によると、先行き半年間の購買意欲を示す消費者態度指数は、07年2月から下落傾向を続けている。賃金が伸び悩む中、ガソリンや食料品など生活必需品の値上げが止まらないことが大きな理由だ。今のところ、個人消費はかろうじてプラス基調を維持しているが、今後も物価上昇や賃金抑制が続けば、消費者が財布のひもを締めるのは確実だ。GDPの5割以上を占める個人消費が落ち込めば、景気の後退局面入りが現実味を帯びてくることになる。


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[エネルギ−市場]

(1)日本の原子力発電の現状(2/20) **

 原子力発電所の設備利用率が伸び悩んでいる。原発は、発電時にCO2を排出しないため、京都議定書の温室効果ガスの削減目標に向けた国の計画は、原発の設備利用率を87〜88%まで向上させるとしているが、実現は厳しい状況だ。

 原発は55基あり、電力10社の発受電電力量の約3割を占める。全国平均の利用率は、06年度で69.9%である。東電の原発トラブル隠しの影響を受けた03年度には59.7%にまで落ち込み、事故やトラブルなどで大きく変化している。昨年の中越沖地震で柏崎刈羽原発の7基がすべて停止し、東電の07年度の設備利用率は45%程度になる見込みである。運転再開のメドは立っていなく、08年度も全体の利用率を押し下げる要因となる。

 原発の利用率が落ちると、CO2の排出量が多く、燃料コストも高い火力発電を利用することとなり、環境、業績両面で影響は大きい。


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