12月第2週(12/7〜12/13)(最高3つの*)
メインテーマ: | 「冬交渉企業、ボーナス3.67%減」 |
その他のテーマ: | 「7〜9月GDP改定値、マイナス1.8%に下方修正」 |
「一般歳出、初の50兆円台」 | |
「与党税制大綱原案ー住宅減税、経済効果4兆円」 | |
「WTO交渉ー例外品目最大6%に」 |
(1)7〜9月GDP改定値、マイナス1.8%に下方修正(12/9) ***
内閣府が9日発表した7〜9月期の国内総生産(GDP)改定値は、実質で前期比0.5%減、年率換算で1.8%減と、二・四半期連続のマイナス成長となった。民間企業が持つ在庫の伸びや設備投資が見込みより少なかった。生活実感に近い名目は前期比0.7%減、年率換算で2.7%減だ。
実質GDPの前期比0.5%減への寄与度は、内需がマイナス0.3%で、輸出から輸入を差引いた外需はマイナス0.2%だった。内外需とも成長を押し下げる構図は、二・四半期続き、内閣府は「日本経済が弱いことが確認された」と説明した。
(1)一般歳出、初の50兆円台(12/9) **
2009年度予算編成で、社会保障や公共事業など政策的経費に充てる一般歳出が、当初予算ベースで初めて50兆円に乗る見通しとなった。来年4月から基礎年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げることなどに伴い歳出が大きく膨らむ。一方、景気後退で国の税収は40兆円台に急減する見込みだ。財政の目安となる基礎的財政収支は、大幅に悪化が確実で、政府が努力目標としている11年黒字化はさらに遠のく格好だ。
今年度当初予算(47.3兆円)からの伸び率は、約6%だ。今年7月に決めた概算要求基準(シーリング)では、一般歳出の上限を47.8兆円に設定した。こうした中、基礎年金の国庫負担割合を来年度から二分の一に引き上げる方針を固め、必要な2.3兆円の支出を社会保障費に計上することとなり、一般歳出が大きく膨らんだ。
道路特定財源の一般財源化も、一般歳出を押し上げる要因だ。これまでは、ガソリンなどにかかる揮発油税収入の四分の一に当たる約7,000億円を、地方に配る臨時交付金の原資として道路整備などのために特別会計に直接投入していた。来年度からは、一般財源化により、この分も一般歳出の公共事業費に繰り入れる方向だ。
ただ、基礎年金の国庫負担増は、将来の給付水準を維持する上で避けられない課題だ。道路財源の一般財源化も、本来は不要な道路財源を削り、財政の透明性を高めるための改革だ。財政規律を維持する上で、無駄な歳出を省く努力が欠かせない。
予算全体の規模を示す一般会計総額も、当初予算ベースでの過去最高を更新し、80兆円台後半となる見通しだ。一般歳出の大幅な伸びに加え、麻生首相が指示した地方交付税の増額が影響する。
歳出の伸びとは対照的に、景気後退で歳入は大きく落ち込む。今年度の一般会計税収は、当初見込みの53.6兆円から約6.5兆円下回る見通しだ。来年度の税収見積もりは、47兆円前後に下がり、新規国債発行額は33兆円程度まで増えそうだ。
(2)与党税制大綱原案ー住宅減税、経済効果4兆円(12/10) **
長期優良住宅を11年末までに新築し入居した場合、所得税額から差引ける金額は、10年間の合計で最高600万円になる。所得税から引ききれない部分は、住民税からも控除できる仕組みを導入し、所得が多くない人でも恩恵を受けられるようにする。
新制度で優遇を受けられるのは、09年から13年までに入居する人だ。マンションも対象となる。新たに住宅ローンを利用する人に限られる。耐震性や省エネなどの性能が高い長期優良住宅については、10年間で最高600万円の税額控除が受けられる。年間で60万円税金が安くなる計算だ。これは過去最高の減税で、現在の優遇策の160万円から大幅に拡充する。一般住宅については、最高500万円(年50万)円の控除が受けられる。国土交通省は、この住宅ローン減税で、年間4兆円程度の経済波及効果があると見ている。
耐久性が高い優良住宅を購入した場合には、お金を借りなくても減税される投資減税も利用できる。耐久性などが優れた優良住宅は、一般に普通の住宅よりも建築費が高いため、割高になった部分(かかり増し費用)の10%をその年の所得税から差引く仕組みだ。ただし、11年末までに入居する必要がある。証券税制では、株式の譲渡益と配当に対する軽減税率(10%、本則20%)を11年まで継続する。小口投資家に対しては、株式配当などの一定額を非課税にする制度も今後導入する方向だ。ハイブリッド車など環境に配慮した車については、2年程度に限定して自動車重量税や自動車取得税を軽減する。
(1)冬交渉企業、ボーナス3.67%減(12/13) ***
日本経済新聞社がまとめた2008年冬のボーナス最終集計(622社)によると、一人当たりの税込み支給額は、82万1,747円となり、前年比マイナス0.80%と6年ぶりに減少した。春夏の労使交渉で冬の支給額を決めている企業は、0.70%増と横ばいだったが、世界景気の後退が顕在化した後の冬交渉で支給額を決めた企業は、3.67%のマイナスだった。
冬交渉企業と春・夏交渉企業の平均支給額の差は、9万2,424円と決定時期の違いで大きな差がついた。企業は、人件費抑制を急いでいる。
輸出型を中心に減額が多い冬交渉企業の中で、内需関連企業が健闘している。08年12月期に大幅な営業増益を見込むアサヒビールは、算出基準に沿って冬ボーナスを12.34%増やした。
(1)WTO交渉、例外品目数最大6%に(12/7) **
世界貿易機関(WTO)は、多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)の年内大枠合意に向け、農業と鉱工業品議長がまとめた貿易自由化ルールの最終案を発表した。今週中にも始まる閣僚会合のたたき台となる。農業では、関税削減の例外扱いとなる重要品目数は、全体の4%が原則と明記し、これに2%は上乗せできるものの、計8%を主張していた日本の要求は認められない形になった。
金融・経済危機の中で保護主義の台頭を防ぐ上でも、ドーハラウンドの大枠合意は国際的に重視されている。WTOのラミー事務局長は、「もはや非現実的な要求をする時ではなく、世界的な問題解決に向けて結集すべきだ」と訴えた。
重要品目数が6%に限られると、日本は1,332品目の農作物のうち約80品目しか例外品目として指定できない。他の品目は、関税の大幅引き下げの対象となる。関税率が200%超の品目が101あることなどを背景に、石破農相は、ラミー事務局長らに8%にするように要請したが、反映されなかった。 一方、7月の閣僚会合が決裂する主因となった発展途上国の特別セーフガード(緊急輸入制限)の記述は曖昧だ。今回の閣僚会合でも、発動条件である輸入の増加率を巡って、アメリカとインドが対立する可能性がある。
鉱工業品では、14産業を対象に、自発的に関税をお互いにゼロにする制度に参加を表明している国を公表した。自動車産業では、関税撤廃を表明したのは日本のみで、実現は困難になった。
ラミー事務局長は、最終案に対する各国の反応を確かめた上で、13日にもジュネーブで閣僚会合を始める。