4月第4週(4/20〜4/26)(最高3つの*)

メインテーマ: 「3月の消費者物価1.2%上昇」
その他のテーマ: 「日銀、利上げ姿勢後退」
「WTO交渉、進展の機運」

[金融市場]

(1)日銀、利上げ姿勢後退(4/22)***

 日本銀行は、30日にまとめる「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」で、08年度の実質成長率の予測を1%台半ばにする見通しだ。半年前の前回リポートの2.1%から大幅に下方修正する。また、内外経済の不透明さを映し、金融政策の運営では利上げの方向性を示していた表現を後退させる。

 日銀は展望レポートで、先行き2年程度の経済・物価見通しとリスク要因を分析した上で、金融政策の方向性を示す。通常は、政策委員9人がそれぞれ実質経済成長率や消費者物価の上昇率を示し、中央値などを公表する。いまは副総裁と審議委員が各一人空席の異例の状態となっている。

 08年度の実質成長率の予測を下方修正するのは、景気が当面減速を続け、その後改善しても緩やかな成長にとどまると分析しているためだ。09年度も成長率はあまり高まらないとの見方が出ている。日銀は、これまで経済の基調としては、1%台半ばから1%台後半とされる潜在成長率を上回る実質2%成長が続くと見ていた。しかし、今回は09年度まで潜在成長率並みになるとの予測である。

 金融政策のスタンスは、景気の減速懸念を受け、当面は政策の方向性に予断を持たないとの姿勢を示すと見られる。これは、利上げに慎重であることを意味する。

 消費者物価指数も前回の数字を修正する可能性がある。08年度の予測は、前回0.4%の上昇であったが、今回は上方修正する方向だ。原油など急ピッチで上昇した分が、消費者物価などに徐々に波及してくると見られるからだ。


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[物価水準]

(1)3月の消費者物価1.2%上昇(4/25)***

 総務省による3月の全国消費者物価指数(CPI)は、変動の激しい生鮮食品を除くベースで100.8と、前年同月比1.2%上昇した。6ヶ月連続のプラスで、石油製品と食料品の価格上昇が目立つ。上昇率は、10年ぶりの大きさとなった。食料とエネルギーを除く指数も0.1%上昇と9年半ぶりに上がり、素材の値上がりを発端とする物価高のすそ野が広がってきた。同時に発表した07年度のCPIは、100.4と前年度比0.3%上昇した。06年度より0.2%拡大し、3年連続のプラスとなった。


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[WTOとFTA]

(1)WTO交渉、進展の機運(4/21) **

 世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)で、焦点の農業と鉱工業品の貿易自由化ルールが大筋合意に達する機運が高まってきた。日欧米などによる農業交渉が進展したためで、5月にもジュネーブで非公式の会合を開き、各国に政治決断を迫る公算が大きい。

 農業分野では、大幅な関税削減を例外的に小幅にとどめられる「重要品目」の扱いが焦点だ。現在の議長案では、「有税品目または全品目のうち4〜6%」を、重要品目にする案などが示されている。重要品目は、一定量は無税か低関税で輸入する枠を設ける。具体的な枠は、国内での消費量に応じて決めるが、計算方法をどうするか課題となっている。たとえば、コメの場合、関税をかける区分は「精米」や「玄米」など17に区分化されている。しかし、閣僚会合・交渉で、数字を詰める前の作業はほぼめどがついたという。農業分野の進展を待っていた鉱工業品でも、途上国の関税率引き下げには、柔軟に対応する方向で交渉がまとまる可能性が出てきた。

 ドーハ・ラウンドの合意期限は、現在の08年末まで4度も先送りされてきた。今回の閣僚会合も3月にもと見られていたのが遅れた形だ。ラミー事務局長は「大筋合意が可能という感触があれば召集する」としているが、会合が6月項にずれ込む可能性もある。


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